エンディング
俺は国枝さんを待つ.あの公園の球体オブジェクトの上で.どうせあの人はやって来る.
「やあ.角谷くん」
国枝さんはいつのまにか僕の前にいた.
「どうも国枝さん」
彼女は,にやりと笑う.僕はこの人の手の上で転がされているだけかもしれない.
「終わりだね」
「何がですか.殺人のことですか」
「いいや,この世界が終わるのさ」
「君は誰も殺しちゃいない」
「俺は舞島さんを殺しましたよ」
「舞島さんがもともといなかったら?」
「何を言ってるんですか」
「舞島なんて人物は,そもそも存在していなかったんだよ」
「じゃあ,俺が今まで接していた人は誰なんです?」
「君の妄想」
国枝さんはビシッと俺を指さしてそんなことを言った.妄想?俺の?
「君はおかしな景色を見たことがあるんじゃないか」
思い当たる節があった.
「それは,不明瞭な君の妄想だ.そして,舞島は明瞭な妄想だった」
「君のクラス,君の隣の席の人物に話を聞いた」
「君は,ぶつぶつと独り言を話してくるということを」
国枝さんは,笑う.笑い事じゃない.
「君は気づいていないだけで,妄想と現実の曖昧な世界にいた.いや,みな水槽の中の脳のような存在だったなら皆妄想の世界に生きているとも言えるな.言い換えよう.皆が共通しているものを君は共通していなかった」
「君は.......」
国枝さんの言葉にモヤがかかる.聞こえない.いや何かが聞こえているけど,言葉として認識されない.
「だから,君は........」
国枝さんが消えていく.うっすらと輪郭がぼやけて透明になっていく.
「幸福に生きよ」
最後に聞こえた.その言葉だけが耳に残る.
公園に一人だった.家に帰って寝る.明日は学校だ.
今日は早起きをしてしまった.パンに一杯のコーヒーを摂取して学校にいく.
「おはよう」
「おはよー」
教室には舞島さんがいた.今日も彼女はいたずらっ子のような笑顔を見せた.




