世界の外側の教室で
ペタペタと歩く.その緩慢な動きと対照的に目玉がぎょろぎょろと動く.見慣れた風景.錆びたガードレール,雑草の生い茂った道路わき,水面が浅い川.何も変わりない.けど,人は変わっていく.俺がそうだ.
校門をくぐり抜けて,学校の敷地に入っていく.キーンコーンカーンコーン.予鈴が鳴る.今日も一日頑張っていこう.そう思える自分はもういない.
「今日も目が死んでるね」
席に荷物を置くときにそんな言葉が聞こえてきた.隣の席の舞島さんだ.舞島さんのことは,よく分からない.何をするにしても優秀な成績を収める人間ということしか.
「舞島さんは,いつも早いね」
「角谷君が遅いだけだよ.いつも,ギリギリに来てばっかりだよね.学校に来るのは苦痛?」
「そうだね.学校に来る道中は体が重い」
「そう,それは大変ね.角谷君にかかる引力=GMm/r^2を計算したいわ」
「俺の体重は58kgだ.そもそも,そんなめんどくさい計算しなくても58×9.8でいいだろ」
「私と角谷君の間にある引力を知りたいのだけど」
「そんなもの,0に等しいに決まってる」
「そんなこというの.私の体重を知らなくて?」
「そんなに重いの?」
「殴るわよ」




