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彼はトリガーを引いて、それから

furry研究会部誌No.10に寄稿。

「旅の方ですね。ニューシティへようこそ」

 ニューシティでは銃の所持は許可されていた。

 入国審査を無事に終えたアーネスト・パンタグリュエルは、審査官から歓待の言葉を受ける。

「ここはニューシティというのか」

「知らずに来たのですか?」

「ああ、行き先のない旅をしているからな」

「それならば幸運ですね。私は、ニューシティほど満ち足りた街を知りませんから。どうぞ楽しんで」

 アーニー(これが彼の愛称であるが)は再びビークルに跨ると、ニューシティ内部へと走る。先程までの自然のなすがままだった荒野の道なき道と比べて、つるつるにコンクリートを垂れ流して固めた道路では、タイヤもむしろ張り合いがないらしい。

 ライオン、シカ、オオカミ、ネズミ、数多の種の獣人が混じり合い、調和して生きるニューシティでも、アーニーは目立っていた。耳は黒、手足も黒、顔では目元と鼻だけが黒、尻尾も含めたその他毛皮の大半は白。遠目に見れば柔らかに見えるが、近づけば彼は確かにクマの仲間であり、剛質な体をしていることがよく分かる。

 ニューシティにアーニーが、ジャイアントパンダが現れた。それはこの街においてとても珍しい種だったのである。



 アーネスト・パンタグリュエルという存在について話をしたいと思う。

 アーニーはバイクに乗って、あちこちを旅している。彼がなぜ旅をしているのかは誰も知らない。もしかすると理由はないのかもしれない。彼は銃が得意だ。彼はとても利己的で、それでも彼の行為は結果として、いつも誰かを助けてしまう。彼はひねた性格の風来坊で、それでもみんなに好かれる。

 アーニーは幼いある時私の頭の中にやってきた。ある時からアーニーが、ごく自然に私の頭の中で生き始めた。初めは名前も姿も持たないような存在だった。それの生きざまに目を向けるうち、まずそれが男であることが分かった。大人であることも分かった。乱暴者らしいということも、パンダであることも、アーネスト・パンタグリュエルという名であることもやがて分かった。そうして彼と向き合ってきて、気が付けば私は大学生になっていた。

 小説を書き始めたことに、特別な理由はなかった。大学に入ると文芸を取り扱うサークルに勧誘されて、何の気なしに入って、他の会員に流されるまま私も書き始めた。頭の中でずっと一人の存在を創りあげてきた私のことだから、物語を考えるのも好きだったのだろう。無機的なキーボードを叩いて記号をひとつひとつ出力すると、それが有機的な意味を持つ文章になる。文章が集まって、物語になる。そのことに不思議な快楽を感じたから、ボタンを押したら餌が貰えることを学習した生き物みたいに、私はキーボードを叩くようになった。

 いくつかの作品を書いた。うまくやった。自分自身、それらが嫌いじゃなかった。私は自分の思うまま、自分の好きなものを作品に込めているつもりだったけど、実は意図的な取りこぼしがそこに存在していることに、最近まで気づいていなかった。私はアーニーを作品に書いたことが無かった。他のあらゆる構想よりもずっと、彼が一番初めに存在したのにも拘わらず。

 アーニーが私の頭の中から、私を見つめていた。それがどういう視線なのか、暖かいのか冷たいのか、私はまだそれを考えて創っていなかった。ただアーニーが見ている気がする。アーニーは今でも私を見ているのに、そういえば、私はどれだけアーニーのことを見てきただろうか。創るのではなく、視線を返すことをしてきたか。

 だから、彼という存在について話をしたいと思う。今更かもしれないけど、それが私のライフワークになる。そんな気がする。

 アーニーがパンダの獣人であるということに、そもそも何かの意味があるわけではなかった。そういう設定が降って湧いて、ただの人間であることよりもそれが素敵に感じたから、幼い私はそれを採用した。どうやら私がそういう、獣人全般というものが好きらしいと知るよりも、ずっとずっと前の出来事だ。

 この設定は私の好きなことに忠実なものであるから、きっと何よりも大切な部分だ。しかしそれが同時に、私がアーニーを書くことを躊躇してきた大きな理由であることに、パソコンに向かって頭を悩ませるとすぐ気づいた。

 言葉の世界は通常、外見を表現する能力を持たないからだ。敢えてそれを書くということをしない限り、言葉は外見という要素を抜きにしても何の問題もなく成立する。実際私が書いた作品の冒頭を見ても分かる。物語の舞台が獣人の世界であり、アーニーもその世界の住民であるという事実を説明しなくても、開始から何行かの文章は問題なく成立している。むしろ説明を故意に入れない限り、永遠にその事実が読む人によっては分からないかもしれない。

 チェーホフの銃、という言葉をサークルの先輩から聞き齧った。よく分からないけど、作劇の理論のことらしい。舞台に弾が装填されたライフルが出てくるなら、それは物語中で発砲される──活用されるべき要素である。そのようにしてつまり、物語の中に不要な要素を出してはいけない。確か、そんな感じの意味だったと思う。ロシア文学にまつわるエピソードらしいけど、私はあんまり詳しくない。

 でも言おうとしていることはよく分かる。アーニーは銃を携帯しているけど、それは今書いている小説の作中では悪漢に向けて使用される予定だった。そうでなければ第二文でわざわざ、彼が銃を持つことに言及する必要はない。

 では、それ以降の部分はどうか。ニューシティが獣人の街であること。アーニーがパンダであること。作者の分際で言わせてもらえば、本来、それらは絶対に必要な要素ではないのだった。チェーホフが言うところの発砲されない銃だ。私がそれを好きだから入れただけの要素でしかなかった。

 私は獣人が好き。裏返せば、獣人が好きでない人にとって、私のこの理由は理由にはならない。人が何かが好きであることは、それを好きでない他者にとって、知ったことではない全く無意味な事象なのである。そのため個人の好きの感情は、他者の中でその好きの対象の存在を保証してくれない。

 だから敢えて、獣人であることに意味を付与しなくてはいけない。意味なく獣人が好きなのに、そこに意味付けが必要になる。動物の生態や社会的なイメージやらを利用して、「意味ある獣人」を書かなくてはいけない。

 ……それが、癪だった。私の大切なアーニーのことだから、なおさらだ。だからこそ、意味付け自体に反抗する意味付けと言うものが、あってもいいはずだ。

 彼という存在について話をしたいと思う。

 


 黒服のうちの一人が構えていたはずの銃が床に落ちて、がらがら音を立てた。そのやかましい音が耳に届いて初めて、先ほど耳に届いた閃光のような鋭い音が銃声であったことに、その銃声の射手以外がようやく気付いた。

 黒服たちは見回す。自分たちの誰かが銃を暴発でもさせたのか、と疑う。

 そうこうしている間に、またがらがら大きな音がした。また別の黒服の銃が叩き落されていて、その直前に確かに銃声がした気がする。それは繰り返し何度も続いた──黒服たちは、徐々に戦う武器を奪われていた。銃を拾おうとしても、また銃声がして、床の遠くへ銃は滑って行ってしまった。

 黒服たちは、そのことの意味を理解して、立ちすくむ。今この煩雑で薄暗い倉庫のどこかから自分たちを襲撃している銃使いは、頑なに武器しか狙わない。そして姿を見せない。つまりそいつは、自分たちの命をもいつでも容易く奪うことができる──と。


「なにその銃。変じゃない?」

「勘違いするなよ小僧。銃も確かに特注だが、何より俺がすごいんだ。死にたくないならその辺でじっとしておけ」

「何者なの、おじさん」

「お兄さんな。愉快な旅人のお兄さんだ。ま、ちょうどいいから助けてやる。俺もさっきはあの黒いバカどもに迷惑かけられたんでね」

「……ありがとう」

 小声で言葉を交わす。

 倉庫の奥に、先ほどまで黒服に追われていたゾウの少年と、アーニーは潜伏している。音を立てずにアーニーはしばしば動き回っては、あちこちから黒服たちを銃撃で威嚇している。奥へと追いつめられているはずの不利を、アーニーは認識しない。ここから先に立ち入ってきたなら殺す。その意思を込めて、棚や人の隙間を潜り抜けて、彼は不気味なほど精度の高い威嚇射撃を重ねた。

 しかし牽制の効果は、数秒だった。やがて七人いる黒服の中のリーダー格と思われるクマは、恐怖に満ちた場の雰囲気を踏みにじって倉庫の探索を開始する。

「怯むんじゃねぇ。ターゲットはゾウのガキ。そんくらいなら、腕っぷしだけで確保できんだろ。銃使いは無視しろ。手空いたやつから銃拾え。撃たれて死んだらどうせそれまでだ。タマ張る覚悟してねぇ奴がここにいるわきゃねぇよなあ?」

 クマが強引に檄を飛ばすと、他の黒服も、後に続いて各々倉庫をあちこち探し始めた。

 あの手の奴らに特有の、語気の強い大きな声はアーニーたちの方までよく届いていた。ゾウの少年が怯えて、腕に掴みかかってくるのをアーニーは感じて、それを振り払った。

「意外と引き下がるな、奴ら。仕方ねえ。やるか」

「待ってよ、おじさん。置いていかないで……」

「いーや、置いていくね。そこで待ってな小僧」

「無茶だ。あのクマやばいんだ。それに他にもいっぱいいる……パンダのおじさんじゃ勝てない……」

「パンダだってクマだろ。アホか」

「でも、パンダは……戦うの得意じゃないでしょ?」

「知らねーよそんなの。じゃあ俺はパンダじゃない」

 アーニーは隠れるのをやめた。敵に向けるのではなく、ただ一度銃を適当に撃って、自分の位置を知らせた。

 腹を括った黒服が数人、音の方へ駆け寄る。彼らは暗闇の中にアーニーを見つけた。白黒の体に闇が落ちて、白すら黒く、黒はさらに黒く、目元が闇に呑まれて虚空のような男。

「い、いたぞ! パンダ野郎だ!」

「パンダだぁ⁉ 銃奪え! そうすりゃゴミだ!」

「やれっ、かかれっ!」

 黒服が迫る。アーニーは決して、彼らに銃口を向けない。彼はただ棒立ちで、

「ったく、どこが満ち足りた街だ。とんだパンダ差別の街じゃねーか。ものを知らんな、こいつらは」

 もう何もする必要はなかった。

 その時、棚の一つがぐらぐら揺れて、中身のたっぷり詰まった段ボールが落下する。鈍い音を立てて段ボールは落下した──黒服たちの上に。

「……ぐわぁ⁉」

「おい何が、うわぁっ!」

「ひぃ、痛ってぇ、死ぬ……」

 動き出すと同時に放った銃弾は、跳ねて、棚の一つを叩いていた。そうして棚からこぼれた箱は、示し合わせたかのようにちょうど黒服を押しつぶした。

「こんくらいで死ぬかよアホ。根性なしのクソチンピラが」

 黒服が三人落ちたのを見て、吐き捨ててアーニーはその場を立ち去る。歩きながら二発、またそっぽへ銃撃。

「な、どこから⁉」

「邪魔だてめぇっ……ぎいいっ!」

「リーダー、逃げ……」

 遅れて、もう三人箱の下敷きになった。跳弾は、また別の遠くの棚を射抜いていた。

「何してる、グズども──⁉ グ、ガアッ……!」

 クマの脳天にも落下物が命中する──が、彼は倒れなかった。眼を血走らせて荒い息を吐き、アーニーを見つけて突進する。

「クソがっ、クソ野郎が! パンダなんてこの街にはいねぇ! 誰だてめぇは、誰──」

 ──彼の怒声が最後まで届くことはない。

 今度は、棚が丸ごと一つ倒れ掛かった。クマの巨体を覆いつくして、棚が押しつぶす。

「パンダだ。お前らの街にも、お前らの頭の中にもいない生き物だ。知らんだろうが、パンダとはこの世で最強の生き物のことを言う」

「バカ、言、え……」

 アーニーの声を聴く。そこで、クマの意識は落ちる。勝敗は決した。

「終わったぞ。出てきな小僧」

 倉庫の隅から、ゾウの少年が這い出る。種族故か、年頃よりは大きな図体を彼はずっと丸め込んでいた。

「おじ……お兄さん。本当に何者?」

「パンダが弱っちい生き物のことを指すというのなら、俺はパンダじゃない」

「……まあ何者でもいいか。助けてくれてありがとう。でもあんたこれからどうするの。旅人なら早く逃げた方がいいよ」

「いや、こいつらの親玉を叩く。こいつらは許されないことをしたからな」

「あんたも何かされたの?」

「奴らがお前を追いかけている時に──ぶつかられた。で、アイスを落とした」



 彼という存在について話をしたいと思う。

 結局彼は何者なのかと言えば、何者でもない。私の頭の中に本当にあるのはきっと彼の概念みたいなもので、入力された状況について「彼ならこうする」という結果を出力する。彼を出力するための素材がそこにあるだけだ。頭の中に彼が生きているなんてのはきっと嘘で、私が脳に信号を送れば彼がその都度シミュレートされて思い浮かべられるだけなのだ。彼の好きな人のタイプも彼の家族構成も彼の過去も厳密な設定は無いけれど、それを頭の中に注ぎ込んだらそれなりに納得のいく設定がすぐさま出力されるに違いなかった。

 その意味で、彼は自由な存在だった。

 私が愛していたのはその自由さだ、と不意に気づいた。彼は、彼という名前を背負ってなんでもできるから、そこがまぶしかった。どんなパロディでもイフストーリーでも、空想の中で彼は活躍できたのだ。

 ──私が、私がずっと嫌だったのは、アーニーに私の想定以上の、物語として強いられた意味を与えることだった。と思う。物語の中で言語化されたアーニーは、その存在が強烈に固定される。読者の中では、そのアーニーしか存在しないことになる。それは私の見るアーニーの輝きとは違うものだった。だから彼の物語を書かなかった。

 それでも今こうして書いているのは、誰かにアーニーの存在を知らせなくて仕方なかったからだ。私じゃない誰かにも、本当はアーニーのことを好きになってほしい。彼の大活躍を空想して、彼のセリフに痺れて、彼に恋焦がれてほしい。彼の言語化できない魅力の全てを知ってほしい。

 プロットを書きなぐったルーズリーフの端っこには、シャーペンで描いたアーニーがいた。私の拙い線で形作られたアーニーは当然頭の中のイメージを完璧に出現させるには至らなかったけど、それでもアーニーだ。ただぼんやりと、紙に穴が開くくらい紙面のアーニーを見つめる。目を凝らすとアーニーを構成する線が、ただの線ではなくてグラファイトの粒の集合体であることがわかった。絵に描いたアーニーにとってはその粒の一つ一つが、私にとっての細胞みたいなものだった。

 私がただの細胞の塊であるように、絵のアーニーがグラファイトの塊であるように、小説のアーニーも何かの集合体なのだろうか。例えば文字の、とか。

 それは、違う。言葉がアーニーを構成するのではなくて、既に存在しているアーニーを言葉が形作っていく。イメージの中に埋もれたアーニーの可能性を言葉が発掘していく。不完全でも、できるだけ取りこぼしの無いように、砂をはらって、細部が砕けて落ちないように。そういう感覚の方が近い。

 ……アーニーが喋っている。頭の中で、生きている、と錯覚する。彼の表す言葉は、やはり私が出力するのだ。

 完全な表現はできない。文章でも、イラストでも、それならマンガでも無理だ。音楽でも立体でも映像でも無理だ。彼という存在の全てを、頭の中にしか存在しない無限大の可能性を、この世界に表して存在させることは永遠に無理だ。表すたび、途方もなく大きな何かが欠落する。

 今この手記を書く私自身の性別も名前も外見も、明言する意味がないからここには書いていない。でも獣人のことが、私は意味なく好きだ。とりわけある時、意味なく私の頭の中に不意に現れたアーニーのことが、意味なく好きだ。それがアーニーだと感じられるなら、きっとなんでも好きだ。パンダ獣人じゃなくても、パンダ獣人なのが一番うれしいけど、きっと好きだ。そういう大きな大きな概念こそがきっとアーニーで、それが私の頭の中で小さな芽を出す。その芽を育てたかった。

 意味のないものは文章から切り捨てて、しかし時には意味のないことの意味を謳う。その意味が読者の誰かに届けば嬉しくて。それでもアーニーの全てに私の筆致が届かないのが悔しくて。私はきっと、そうやって何かを書いていく。

 そのことに気づいただけで、彼は許してくれるだろうか。彼の視線に、私の視線を返すことができただろうか。いつかはできればいいと思う。どうせこれからもアーニーは私を見つめていて、私は小説を書き続ける。

 以上で、彼という存在についての話はおしまい。そして私はサークルの作品提出の締め切りに無事間に合う、というわけなのだ。



 高層ビルが神経質なほど緻密な美学において配置された街並みと、そこに生きる数多の姿を持つ混沌とした動物の住民からなるニューシティが、遠ざかっていく。斯くしてアーネスト・パンタグリュエルは物語の舞台から降りた。

 目元は黒く尻尾は白く、ふわふわしていそうで剛質なパンダとしてのアーニーの体は、溶けるかのように徐々に変質していた。やがて、彼は姿を失っていく。動物の街の物語から抜け出した彼は、また彼でしかない彼──言語化不能の彼──に戻っていく。

 素晴らしく発達したニューシティの外は、寂しげな枯れ草が地平の先の先まで埋め尽くしているかのような広い荒野だった。アーニーの乗っていたはずのビークルのエンジン音のみがその地平線の向こうに消え、誰もアーニーとそのビークルの姿を見ることはなかった。

 次の街へ、アーニーは走る。

 そこは紛争地帯だろうか。お菓子の国だろうか。車が空を飛ぶ世界だろうか。また獣人の街だろうか。

 次の街へ、アーニーは変わる。

 それは人間の女だろうか。小人の技師だろうか。地質調査のロボットだろうか。またパンダの獣人だろうか。

 知るものは誰もいない。次の物語が始まるまで、誰も。何処であれ誰であれ、意味はない。一つの言葉の矩を越えたところへと、アーニーは走り去って行く。そしていつかまた、アーニーは確かに現れる。

 あるいは荒野に、銃声が一度響き渡ったかもしれない。その音はどの街にも届かない。あるいは銃は天を向いていた。この物語を俯瞰する者へ。物語を読む者へ。銃口はこちらを向いていた、かもしれない。

 ──アーネスト・パンタグリュエルは何者でもなくとも、ただそこに存在するのだと、あなたにだけ伝えようとしたのかもしれない。これもまた「あるいは」であり、やはり正確なことなど誰にも分からないのである。

 


この作品の執筆意図については完全に作中で書いてある通りです。

メタ的な部分もあくまでそういうフィクションであり、私自身の体験では決してありません。


ものすごくざっくり言えば、本作のテーマは「小説でケモノを表現するにあたって、何か題材がケモノである意味を書かなければいけない……という気もするが、『ケモノであることには何の意味もない』というアプローチも可能ではないか」というところにあります。


アーニーの物語、アーニーの物語を書くその人の物語、アーニーを書くその人の物語を読むあなたの物語、この作品はそんな3レイヤーで構成されています。最後、アーニーが天に向けて放つ銃弾は、そんな3つのレイヤーをすべてまとめてブチ抜いて、あなたまで届かせるパワーを持ったものであったはずです。たぶん

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