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【改稿】転生したら悪役令嬢の兄になったのですが、どうやら妹に執着されてます。  作者: 陽七 葵
第一章 学園入学まで

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決意

 真っ白で高貴な食器が並んだ長いテーブルに、これまた真っ白なテーブルクロス。端には使用人数名が直立している。

 テレビでしか見たことがないような食堂に感動を覚える。思わず感嘆の声を漏らしてしまうほどだ。


「どうぞ」


 フィオナがちょこんと座る横の椅子を引かれ、ぎこちなく座る。


「おにいさま、体調はよろしいのですか? お花を摘む時には気をつけますね」

「う、うん。ありがとう……」


 恥ずかしい。穴があったら入りたい。虫を見ただけで卒倒するなんて。

 こんな頼りないお義兄ちゃんでごめんよ……。


「あ、お父さま、お母さま!」

「待たせたね」


 白髪交じりの栗色の髪を無造作に分けたフツメンの男性と、陶器のような白い肌に絹のようにさらさらとした煌めく銀色のロングヘアにラピスラズリのような瞳の美しい女性が仲睦まじそうに入ってきた。


 実母の顔は知らないが、俺は完全に父親似だとすぐに分かった。


 政略結婚って良いな。こんな美人な奥さんと結婚出来て。

 そんな失礼なことを考えていたら、父が俺の方を向いた。まさか、心の声が読まれてる!?


「クライヴ、聞いたぞ。記憶がないのは本当なのか?」


 良かった、読まれていなかった。


「はい、身体は元気なのですが」

「まぁ、心配ね。あなたどうしましょう」

「とりあえず食事をしながら考えようか」

「そうね」


 それぞれ席に座り、食事を始める。体が覚えているのか前世の記憶のおかげか、テーブルマナーは問題なさそうだ。


(うっま!!)


 肉のジューシーなこと。

 容姿はモブだが、高貴な家に産まれて将来安泰。人生イージーモードじゃん!


 前世の人生が終わったと思うと辛いが、今の状況を改めて振り返ると悪くない気がしてきた。可愛いフィオナもいることだし、言う事なし。


(でも何か引っかかるんだよな……)


 フランセーン王国、フィオナ・アークライト、悪役令嬢……?


 は? 悪役令嬢?


『先輩、これ私がハマってるゲームなんですけどね、第二王子のルートがまじ好きなんですよ』

『お前こういうのするんだ』

『息抜きに良いんですよ。悪役のフィオナって実は可哀想な子で——』


 思い出した……前世で職場の後輩がやってた乙女ゲーム。


『TRUE LOVE~君だけを見つめて~』


 ——舞台はフランセーン王国。中世ヨーロッパをモチーフにしており、ファンタジー要素も含まれている。


 主人公アリスがドキドキワクワクな学園生活を送りながら攻略対象と真実の愛を見つけていくゲーム。


 攻略対象は四人、正統派の第二王子クリステルと、わんこ系幼馴染のアルノルド、女たらしのステファン、ヤンデレ系の第一王子アレン。

 第二王子クリステルの婚約者フィオナ・アークライトは悪役令嬢として登場。


 全ルートは分からないが、クリステルルートでは婚約者がヒロインと仲良くなっていくのを見て、嫉妬に狂ったフィオナがヒロインに嫌がらせをして二人の仲を切り裂こうとする。その悪事がバレてフィオナは断罪される。


 ——確かこんな乙女ゲーム。


(マジか! うわー、もっとちゃんとあいつの話聞いときゃ良かった)


 まさか自分が身をもって体験するとは……。

 くだらないと思って、右から左だったよ。俺の馬鹿!


 だけど、せめて転生するならイケメンの攻略対象じゃないの? なんでこんなモブ顔? ルイの方が、何倍も良い男なんですけど!!


 とはいえ、ここがあの乙女ゲームの中とは限らない。それでも仮にフィオナが悪役令嬢だった場合、隣にいる可愛い俺の義妹が国外追放、一家没落、牢獄送り、最悪死罪。考えるだけでもゾッとする。


 イベント等、乙女ゲームの内容はまともに分からないが、俺が義兄としてフィオナの将来を守ってみせる!


 一人意気込んでいると、フィオナが心配そうな顔で聞いてきた。


「おにいさま、なんにも覚えてないの? わたくしのこと嫌いじゃない?」

「ごめんな……でもフィオナは大好きだよ。俺の為にお花摘んできたんだよね? こんなに可愛い義妹嫌いになれる訳ないだろ」

「お父さま、お母さま。わたくし、今のおにいさまの方が良い!」


(え? 前の俺ってまさか最低なやつだったの?)


 ルイの方をチラリと見ると、笑顔で頷いている。


 俺ってば何してるんだ! こんな可愛い義妹に酷いことするなんて。


 嫉妬か? 義妹は母似で絶大な美貌を持つのに対し自分はモブ顔。言わずもがな、誰もが義妹を可愛がるだろう。

 嫉妬に狂った義兄に虐められて性格歪んで悪役令嬢……ある。大いにある。俺のせいじゃないか!


 もしや、今回の青虫騒動はフィオナの意趣返しだったりして……。素直な良い子に見えるのに、既に性格が歪み出しているのか? 


 とはいえ、まだ四歳、修正が効くかもしれない。


「そうは言ってもな。クライヴが困るだろ、なぁ? 精神の類は教会に行って診てもらえばどうにかなるかもしれんぞ」

「俺……いえ、僕は五年分の記憶より、これからが大切だと思います。一から勉強し直して立派な後継者になれるよう精進致します。そして、フィオナを砂糖よりも甘くとろっとろに可愛がっていくつもりです!」

「お、おう。凄い心意気だな。最後の方は良くわからんが様子をみるか」

「あらあら」

「やったー! おにいさま大好き」


 ひとまず話がまとまった。これから、俺は義妹を寵愛して寵愛して寵愛しまくる!

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