エッセイの感想欄を肴に飲む酒は美味い
小説家になろうのエッセイジャンルは感想欄までが作品だと思う。
日常の気付きや新しい発見、珍しい体験の共有を目的としたエッセイは良い。新たな学びが得られる。そういう作品の感想欄は平和だ。共感や賛辞などのポジティブな意見で埋まっている。仕事の休憩中に読んで元気をもらうのに向いている。
己の主義主張や好き嫌いについて書いたエッセイは感想欄も熱い。そこにはバトルがある。
1人自宅で缶ビールと枝豆片手にバトルを眺める。気分はボクシングの採点者だ。エッセイの筆者がチャンピオンで、感想欄に書き込んだ読者はチャンピオンに挑む挑戦者だ。
貴方の主張はここに共感できるけどこの部分はどうかと思う、と挑戦者がパンチを打ち込めば、読んでくださって嬉しいがそういう意味で言ったわけではないとチャンピオンがカウンターを返す。火花散るインファイトもあれば、華麗なステップでパンチを躱すアウトボクシングもある。泥試合か名勝負か読んでみなければ分からない。
アルコールに身を任せながら独断で判定を下す。この勝負はチャレンジャーの勝ちだな。
勝負の余韻に浸りつつ、次のリングを求めてエッセイを探す。
冷静になった瞬間に敗者は自分となる。良い歳してごっこ遊びに時間を潰すダメ人間の姿がそこにはある。