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どうやら寝ている間に着替えから何から全て完了させ馬車に乗せたらしい。
それにしてもそこまでされて起きない自分がこわい。
と思ったけど、そういえば公爵様は風の精霊王と契約してるからその力で眠らせたままにされたのだろう。
ちなみに説明しておくとこの世界には精霊や聖獣、魔物も存在する。
しかし、精霊王や聖獣と契約できる者達は限られている。
王家は光の精霊王と闇の聖獣と、ラヴェルディ家は風の精霊王とそれぞれ契約している。
モントバル侯爵家は大地の精霊王と、ウィルスター公爵家は緑の聖獣と、ルノワー伯爵家は空の聖獣と。
王家とこの4家門は特別なのだ。
その精霊王の力を私なんかに使うなんて。
『そう怒るでない、愛し子よ。主を困らせてくれるな』
これもヒロインだからなのか、私は精霊王と話せてしまう。
まぁ原作でルノワー家の聖獣と仲良かったしそれほど驚きはないけれど。
『その"愛し子"ってやめてくれます?いい加減』
『其方も分かっているのだろう?自分が特別な存在ということを。』
そりゃあね、ヒロインですからね。
でも、それだけではない。
私が未来を変えようと介入したからか、原作とは違うことが多い気がする。
シナリオとは違う家族、出生の話、精霊王との意思疎通。
一時は、ここはまた別の世界かもなんて思ったりもした。
でも、各家門の名前や王家に関する事柄、そして何より自分の容姿、魔力、総合的に見てもDear Venusであることは確かなのだ。
「そろそろ機嫌を直して、我らがお姫様。王立ロンバルディ学園についたよ。」
あぁ。始まってしまう。乙女ゲームの世界が。
私は空気!頑張れ空気!
『さて、入学祝いだ。』
ふわぁっ
馬車を降りようとした瞬間、暖かい風が髪を靡かせキラキラと何かが私の周りを舞っていた。
「…天使?いや、女神様?」
「すごく綺麗だ。」
ん?動かないぞ双子。どうしたんだ?
周りの人達まですごい視線なんだが?
「リア。どうやら祝福を貰ったみたいだね。」
公爵様が嬉しそうに笑ってる。
って…え?祝福?何してくれとんじゃ!
『気をつけるんだぞ。愛し子よ。』
「じゃあ私は公務があるから王宮にいってくるね!変な虫がつかないよう2人ともリアをしっかり守るように!」
「「了解」」
逃げた。逃げたよあのヤロウ(精霊王)
目立ちたく無いってあれほど…。
「リア!行くよ!」
「離れちゃダメだからね!」
「はーい。案内よろしくね!」
壁となって攻略対象から遠ざけて!