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第十四話 合法的な踏み倒し

ソーシャルレンディングはなぜクソなのか?

みんクレを始め多くの業者で詐欺の温床となっているのか?

その理由は『合法的な踏み倒し』が可能な制度になっているからだ。


普通の銀行も顧客の預金を担保に一般企業へ融資を行っているが、貸付金が焦げ付いたとしても預金者に被害が及ぶことはない。

銀行が融資先と結託して債権を放棄することはないし、仮に放棄しても顧客が持つ預金への請求権は失われない。

だが、ソーシャルレンディング会社は平気で顧客の権利を踏みにじるのだ。


S一味への刑事告訴を目指す俺達に、みんクレから衝撃のメールが届いた。


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弊社はグループに対して独自の内部調査を実施しましたが、現時点で抵当権が付されている不動産価値は約1.3億円程度。

それ以外に資産価値となるものは確認できず、連帯保証人の資産状況も保有する不動産等の資産は既に担保に供されているなど、現時点における債権全額の回収は困難と見込んでおります。

今後の債権の回収、訴訟に相応の時間を要することから、早期解決の一つの手段として債権回収会社サービサーへの債権の売却も検討しております。


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「これはマズい・・・!」


6億はあると聞いていた不動産や絵画の担保がいつの間にか1.3億円に減っていたことも問題だが、それ以上に注目しなければいけない個所がある。

それは『債権回収会社サービサーへの債権の売却』。


サービサーとは、焦げ付いた債権を金融機関から回収する専門業者のこと。

彼等に不良債権を捨て値で売却して債務整理することを、バルクセールと呼ぶ。


例えば、住宅ローンを組んだサラリーマンが支払いを遅延して、1000万円が不良債権になったとしよう。

まっとうな手段で回収ができないと踏んだ金融機関は1000万円全て損失にするよりはマシと思って、サービサーに50万円で債権を売却する。

債権者に成り代わったサービサーがどんな手段で返済をさせるのかはわからないが、その道のプロが借金の棒引きを提示して可能な限りの回収を試みるのだろう。

裏社会のヤーさんが恫喝して債務者から100万円でもむしり取れば、差し引き50万円の利益を得ることになる。


みんクレは元親会社を主とした融資先に対して、約31億円の債権を持っている。

法律上サービサーに債権を売却するのに債務者の了解は必要なく、どこに売却したのか教える必要もない。

みんクレは裁判を通じて1円でも多く回収すると言っているが、親会社と真面目に争うつもりがないのはわかりきっている。

こうして公表した以上、間違いなく債権売却に踏み切るだろう。

自分達の息のかかった業者に債券を譲渡すればなんら違法な手段を使わなくても返済を免除させられるのだから、やらない理由がない。


このまま放置すれば、俺達が出資した31億円の債権は二束三文で買い叩かれてしまうに違いない。

可能な限り安値で売却して、出資者には雀の涙ほどの返金で済ませる気だろう。

俺達の命金を守るためには、なんとしてでも債権の売却を阻止しなければならない。


ナユ代表の発案で俺達は要望書を作り、金融庁に送った。

出資者の許可なく債権を第三者に売却しないように、連帯保証人であるSに対して徹底的な回収を行うように求めた。

さらに全国の債権回収業者を調べて、みんクレと取引しないように呼びかけた。

「ソーシャルレンディングの債権を買えば犯罪に加担することになる」と日本サービサー協会に伝え、回収に応じないように求めた。


だが、そんな俺達の努力も徒労に終わる。

全ては遅かった。


まもなくしてみんクレは、債権の譲渡を発表。

名も知れぬ二社の入札により、売却額は9666万円に決定。

たったの1億円にも満たない。

総額31億円のうち、30億円が堂々と踏み倒されたのだ。

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