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第5話:鎮魂と無限

 大変遅くなりましたが、第5話です。



『今、君たちがやるべきことはただ一つ。──私を、殺せ』


 目の前のフロアボス、溶岩の魂(デス・ソウル)は、そう言うと、炎をより一層輝かせた。

 それはまるで、寿命を迎える星のようだった。


『さあ、ここまでやってきた実力を見せてみろ』



「……分かりました。では、いかせていただきます!!!!」

 未来(みく)は、右手には自身の魔力で作った小型の魔剣を構える。また、左手には魔力を貯めて魔法発動の準備がされている。


 今、戦いが始まった。


「『アイス・ブレード』!!!」


 未来は、即座に『アイス・ブレード』の魔法を使用し、左手で狙いを定め、球の注意を引くと、その瞬間に球へと一気に接近する。



『……そんなものか?』


「……っ!?ぐばっ!?」


「未来!!?……っ『ハイ・ヒール』!!!!」


 だがデス・ソウルは、その接近を完全に読んでおり、逆に未来が炎属性と地属性が融合した物理攻撃により吹き飛ばされた。

 未来は吐血するが、すぐさま愛花が回復魔法をかけることにより、復活する。


(……勝つわ……絶対に。私たちは、彼に負けてはいられないのだから……!!)





            ***





 ──戦いは、数時間に及んでいた。

 時計がないため、正確な時間は分からないが、長期的な激戦であることは間違いない。


 一瞬でも気を抜いたら殺される。

 そのくらい、異次元の戦闘が行われている。


──

【種】『溶岩の魂デス・ソウル』


【レベル】500


【種ランク(世界基準)】SS+


【種ランク(異世界の英雄基準)】ランク、レベルの低い者は死亡する。

──


 その存在は、伊達にレベル500を超えていない。


 スキルも非常に強力だ。『爆炎支配』のスキルは、デス・ソウルのステータスを底上げし、さらに炎属性の魔法、魔法を伴った物理攻撃を無効にする。

 そのため、戦いに参加できるのは、実質未来(みく)だけだ。一人で対抗できているのは前のフロアで龍太郎が手に入れ、未来に渡された杖があるからだった。

 そして愛花(あいか)は、未来が力尽きることがないように、ひたすら回復魔法を発動し続けた。



 そして遂に、デス・ソウルの一瞬の隙をついて、未来の魔剣攻撃が命中した。


『…………』


 デス・ソウルの核が魔剣によって砕かれる。


 その瞬間、彼は崩壊し始めた。


『……数百年だ。長かった……ようやく……終わることができる……。最期に……「英雄」に、感謝を……』


 そう言い残すと、球だった体は完全に砕かれ、カケラと、なって舞い上がっていく。


 彼には顔が無いので、その表情を見ることはできない。

 だが確実に、その心情は、『幸福』だった。


 彼は、懲役数百年の長い牢獄から解放されたのだ。





           ***





 戦いが終わった後。

 次のフロアへと続く階段の踊り場にて、3人は休息をとっていた。


「……はぁ……今回は本当にしんどかったです……」

「……そうね。この世界に来てから、初めてここまで死を覚悟したわね」

「……zzz」


「あ、そういえば。デス・ソウルを倒したら、最後に彼(?)が何か落としましたよね?」

 愛花は、収納から小さな板のような物体を取り出す。


「……どうやって使うんでしょう、これ?」

 その物体は、縦5cm、横1cm、厚さ1cmほどで、手のひらに収まるくらいのサイズだ。

 色は赤い線が入った銀色で、見た目では何に使うのか見当もつかない。


「──『鑑定』」



──

【名称】魔炎の剣  


【種類】武器/魔道具


【効果】物理攻撃力を5倍にする。


【備考】自身の魔力を流し込むことにより、炎属性の剣に変形する。


【制限】炎属性適応者のみ使用可能。

──



「え、5倍!?」

「凄いわね。炎属性ということは、三河(みかわ)君に渡した方がよさそうね。──三河(みかわ)君……は寝てるわね」

「起きたら渡しますかー」

「そうしましょう」




           ***




 ──ダンジョンに入ってから、9日目。

 デス・ソウルを倒した3人は、その後順調に第6~9階層をクリアし第10階層を目指していた。


「うわ」

 第10階層への階段は、これまでと明らかに異なっている。

 いやそもそも、これは階段と言って良いのだろうか。

 目の前にあるのは、明らかに()だった。

 

 穴は複数あり、その穴の後ろには、穴につき一つの立て札が確認できた。


「えーと、看板がありますね」

「──あ!?愛花(あいか)ちょっと待って!!」


「ふえ?──うわぁぁぁぁ!?」

「愛花!?」


 愛花が穴の目の前に立った瞬間。

 愛花、未来、龍太郎の視界は閉ざされた。





 ~愛花サイド~


「──ん……ここは?」

 ここはどこだろう?

 私、さっきまで確か…… 


「未来と龍太郎君は?」

 さっきまで一緒にいたはずなのに、2人の姿が見当たらない。

 

「あ……」

 あたりを見回すと、今の状況が理解できてきた。

 どうやらここは、ダンジョンの新たなフロアみたいだ。


 私の目の前には、大きな扉。

 その扉には、『第11階層:無限回復エリア』とある。

 

「……これまずいですね」

 私は『回復』属性の魔法しか使えないのに、どうやって敵と戦えば……。

 こんな時、2人がいてくれれば……。


「というか、もしかして、これって3人とも違う階層に飛ばされた?」

 よく考えると、さっきの穴の看板には、それぞれこの世界の生物が持つ『属性』が書かれていた。

 これは、もしかして個人個人に与えられた試練……?


「……どのみち、ここをクリアできなかったら死ぬだけですしね……ああ、もう!!やってやればいいんでしょ!!!」


 愛花は、勢いよく扉を開けた。

 まぶしいくらいの光が、愛花を包む。



「──よく来ましたね、人間の少女」

「え……!?」

 その瞬間、柔らかだが威厳を感じる声が聞こえた。


「……あなたは……?」

 声の主が見えた。


「ここまでこれる人間は初めてです」

 声の主は、美しい女性だった。

 真っ白な衣装を身にまとい、髪や肌も白い。


「ついて早々に申し訳ないですが、これから『試練』を始めます」


「……え、ちょっと、どういうことですか?というか、貴女だれなんですか???」

 

「私は、神様ですよ、この世界のね。『回復の神』、と言ったほうが良いかしらね?北愛花(きたあいか)さん?」



 -第5話 完-

 お読みいただき、ありがとうございます。

 この章は、あと2話で完結します。

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