表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
96/157

第2話:昔話

 第2話です。


 一応24時間以内には投稿できましたが、予定より少し遅れたのは、昨日本気で吐き気が凄かったからです。申し訳ありません。




 攻略開始から早3時間。

 北愛花(きたあいか)三河龍太郎(みかわりゅうたろう)立山未来(たちやまみく)の3人は、階層をつなぐ階段(ダンジョンにおいて、階段は安全地帯であるのが一般的)で休息していた。



「あまり無理をしすぎない方が良いわね。今日はこのあたりにしておきましょう」

「そうですね、疲れましたし……」

「死と常に隣り合わせなのは大変よね。でも、それに見合うほどの収穫が既にあったわ。この調子でいきましょう」


 第一階層を突破した時点で、3人はたくさんの『宝石』を手に入れていた。


 しかも、ただの宝石ではなく、自身のステータスを上げることのできる宝石だ。

 これにより、3人のレベルは既に80から110程度になっており、各種ステータスも大幅に上昇していた。



「……ちゃんと1ヶ月後までに帰れるでしょうか、少し不安になってきました……。死なないと良いのですが……」

「大丈夫。私たちは異世界の英雄なんだから、そう簡単に死んだりしないでしょ?」


 愛花が不安げに呟くと、未来(みく)が寄り添う。


「……zz」

 ちなみに龍太郎は既に寝ていた。



「……そうですよね」


「──それに、愛花が帰らなかったらきっと夜川(よるかわ)君が困るはずよ」


(おさむ)さん、ですか……。この世界に転移するまで、最近は(おさむ)さんにあまり話しかけられてなかったですし……。もしかしたら心配していないかもしれませんけど……」



「そうかしら?でも二人ともすごい仲良いでしょ?幼馴染なんだっけ?」

 このダンジョンという特殊な空間。そして龍太郎が寝ているのもあって(一応男子女子でエリアを区切った)、珍しく未来(みく)は少し会話の熱が入っていた。



「あ、はい、そうです。たまたま同じ病院で生まれたらしくて、幼稚園からずっと同じでした。とはいってもちゃんと喋るようになったのは小学校からですが」


「そう言えば高校で2人が話しているところをあまり見なかったけれど、なんでかしら」


「ああ、それは何と言うか……単純に少し話しかけづらかったというか」

 愛花(あいか)は少し頬を赤らめながら顔を背ける。



「……なるほど。つまりそういうことね」

「え?」

「なんでもないわ」


「そうですか……?…………あ、そうです、せっかく時間がありますから、昔話でもしましょうよ」




          ***




 ──時は(おさむ)愛花(あいか)が小学校六年生の時に遡る。



 5月。小学六年生となり、もうすぐ中学校へと進学するようになる頃。

 愛花は親の指示で学習塾へと通っていた。


 彼女は勉強は好きではなかったが、彼女の親は彼女がテストで悪い点を取ると激怒し、家から彼女を追い出した。

 そのため、学習塾へと真面目に通う他なかった。

 

 今思うと、彼女にとって親は恐怖の象徴でもあったのかもしれない。



 そんな学習塾から家への帰り。


「……ふぁ……勉強めんどくさいのですが……その合間に読めるライトノベルは最高ですね」


 学習塾から帰る際にこっそり本屋で本を購入した彼女は、その本のことで頭がいっぱいになっており、いつものルートを外れてしまっていることに気付かなかった。



「──ねえキミィ、小学生かな?悪いけど、金貸してくんねぇ?」

「………………え?……な、なんですか……!」


 愛花(あいか)は、突然大学生くらいの男5人組に話しかけられる。



「お金だよ~、お金。持ってるでしょ?」


「……持ってないです」


「あ゛?じゃあその手に持ってる本はどうやって買ったんだよ?少しはもってんだろ、金?」


「……っ!!」


 男の一人に威嚇された愛花は、とっさに後ろへ走り出す。

 だが小学生の速さでは、巻くことができなかった。


「……あのさぁ、まじでそういうの無理ぃ……とっとと金出せよガキが!!」


 男は愛花に掴みかかる。



「……はぁ……たまたまお前を見つけていつもと違う道に来てると思ったらこれか」


 そんな時、後ろから若い声が聞こえた。



「……あ?」

「あ、(おさむ)さん!?」



「……お前、本当に絡まれやすいな……。ちょっと前は上級生のやつに絡まれてたろ」


 そこにいたのは、愛花と同じ当時小学六年生だった(おさむ)だった。



「……すみません」

「ほら、道外れてるからとっとと帰るぞ。俺だって知ってる道は迷わないしな」

「あ、はい。……でも、大人たちが……」


 愛花は、男たちの方を指さす。

 前に上級生にいじめられそうになったときは先生がいたので何とかなったが、今回は味方の大人がいない。



「──あのさぁ……良い加減にしろや!!!おめぇも金置いてけや、このクソガキがぁぁぁ!!!」

 男5人組は、かなりイライラした表情で、そう叫ぶ。


「……はぁ……もう大人なんだから、少しは心も成長したらどうなんだ?」

 だが、(おさむ)はそれをものともせずにそう言い放つ。



「て、てめぇぇぇぇ!!!!!!!!?!!!!!死ねやぁぁぁ!!!」

 その結果逆上した男は(おさむ)へと殴りかかる。


「……本当に分かりやすいな」


 (おさむ)は、男の拳を避けると、すぐさま男の急所に最も効果的に攻撃を放つ。


「ぐう?……おえあ、?」

 男は倒れる。


「……っ、てめぇ!!」 

「……」


 そしてすぐさま、攻撃してきた他の男たちも無力化する。



「…………」

 愛花は、驚いて言葉が出なかった。

 自分たちより圧倒的に大きい相手をここまで一方的に倒すことができるのか、と。



「……警察も呼んだ。正当防衛だしこれで一件落着だな」


 だが、当の(おさむ)は軽い。



「正直、相手が強かったら不味かったが、こいつらは強くなくて助かった。妹を守るために勉強した知識が役に立ったな」


「……そ、そうですね」


「どうかしたのか?」


「い、いえ、ありがとうございました」


「友達なんだから、そんな固くなくていいだろ?」


「あ、は、い」


 こうして、カツアゲ事件は幕を閉じた。




          ***




「──っていうことがあったんですが、その後も(おさむ)さんには助けて貰いっぱなしでしたね。勉強も彼に教えてもらってましたし」


「なるほどね」


「……まぁ、彼がここまで方向音痴だとは思ってなかったんですけど……」


「ふっ……」


「じゃあ今度は、未来(みく)の昔話でもして下さいよ」


「あ、そうね。じゃあ明日の休憩のときでも、しましょうか」


「楽しみです」




 ―第2話 完―

 お読みいただきありがとうございます。


 第3.5章は、パーティーメンバーの掘り下げができたら良いなと思ってます。


 第4章は割とすぐ始まるので、ご期待下さい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ