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第23話:『2年Cクラス対Sクラス』④.終

 3週間ほど空いてしまいましたが、第23話です。




「──さて、私の昔話は大体これで終わりです。いかがでしたか、イディアさん?」

 

 イディアの目を見ながら、メーレスは語り終えた。

 


「…………………」

 イディアは、言葉が出なかった。

 今まで真実だと思っていた『正義』が、覆されたような気分だった。



「……まぁ、良いの。貴女の気持ちは私には分からなくても、誰でも複雑な気持ちになるであろうことくらいは分かるわ」

 メーレスは、どこか諦めたような笑いを見せる。



「……なんで、今になって私に、こんな話をしたの?」

 イディアはこの時点で既にほぼ理解していた。

 何故、この場で王女が話しかけてきたのかを。



「──私はもう半分諦めかけてたの」

 メーレスは再び、真剣な顔で話し始める。


「……でも今日、私の『計画』を遂行できると確信したの。──そう、あなた達の担任の先生は、間違いなくこの世界の人間族とはかけ離れた力を持っている。そして、あなたたちも変わった。私は第一王子フール=ア=レストをこの国の国王にさせたくないの。だから、協力してほしいわ。もちろん、目的が達成された場合の報酬は期待してもらって構わない」


 彼女はそのまま、イディアへと手を伸ばす。

 イディアがその手を握ることを期待しているようだった。



「…………あんたの言い分は分かったわ……。……でも、私たちが貴女にされたことは変わらないじゃない。結局、私たちに退学にするだのなんだの言ってきたのも、あんたの作戦だったわけ?」


「その通りよ、イディアさん」

 メーレスは即答した。


「……はぁ……」

 イディアは、ため息をつく。


(ここまで言い切られると、呆れの感情が出てくるわね……なんか気に食わないんだけど…………というか、そもそもメーレスが言っていることが本当なのか分からないし……本当に今まで芝居だったんなら、今この瞬間だって芝居をしている可能性もあるだろうし)


 今までの仕打ちを考えると、今のメーレスが芝居をしているのではないかとどうしても思ってしまう。



 ──だが、メーレスの次の行動で、イディアの心が再び大きく揺さぶられる。


「この国を救うためには、それしかないわ。この国を守ることが、私の王族としての使命なのよ。…………だから、協力して頂戴」


「……!?」


 イディアは衝撃を受けた。

 あのメーレスが、自分に向かって頭を下げたのだ。



「……先ほどからこちらを観察している貴女の担任の先生にも、協力をお願いします」

 メーレスは、後ろを振り返る。



「──ああ、話は聞いていた」


 そこにいたのは、闇魔法で自身の姿を消し、中央へとやってきた(おさむ)だった。




           ***




(……さて、どうしたものか)


 話は試合開始時に遡る。


 俺はイディアとメーレスの様子をもうしばらく見ようと思っていたのだが、どうやら様子がおかしい。二人は何やら深刻な様子である。


(……プライベートの会話、とかではないよな?……少し、()()()()()()


 二人は今、おそらく固有スキルで隠蔽されているので、それを解かないように俺だけが会話が聞こえるようにしないといけない。


 何かいい方法はあるだろうか。


「……お」


────────────────────────

【魔法名】視覚遮断(しかくしゃだん)


【属性】闇/サポート


【魔力消費】一分間当たり500


【効果】自身を視覚によって捉えられないようにする。


【範囲】自身

────────────────────────


 ちょうど良い魔法があったので、俺はそれを発動する。

 また、これだけだと少々不安なので、プラスで『聴覚遮断(ちょうかくしゃだん)』も使っておいた。


 そして俺は、イディアとメーレスの元へと向かっていった。




           ***




「──ああ、話は聞いていた」


 二人の会話を聞いていたら、メーレスが急に後ろを振り返ったので、内心びくっとしたことは秘密だ。

 なぜ気づかれたのだろうか。



「ヨルカワ先生……いえ、異世界の英雄ヨルカワ様。この国を守るために、力をお貸しください」


「……え!?」


「知っていたのか?」

 俺がメーレスに尋ねる傍らで、イディアが驚いていた。



「いいえ。ですが、ここまでの情勢を見ていれば、どんな無能でも分かりますよ」


「そうか」

(……まぁ、流石にここまで情報が流れていたらわかるか。と言うか、そろそろ言ってもいいのだろうか?王女様に聞かなくては)



「…………」

(無能…………)


 狙っていたわけではないのだが、イディアが少々ダメージを受けた。



「申し訳ありませんが、もうあまり時間がありません。いつまでもここで隠蔽していると、あの第一王子の部下に感づかれる可能性がありますから。この場で協力してくれるか、答えをください。報酬は、私が差し出せるものならなんでも差し上げます」


「……」


 メーレスは、かなり焦っているように見えた。

 それほど、時間がないようだ。


(……これはかなり重要なことだから、本当なら熟考したいところだが、あまり時間がないようだ)


 ここは、俺のスキル『感覚強化』が告げているのかは分からないが、この魔法を使うことに決めた。


「……『感情(エモーショナル)()一体化(インテグレーション)』」



────────────────────────

【魔法名】感情(エモーショナル)()一体化(インテグレーション)


【属性】光/サポート


【魔力消費】4500


【効果】対象の大まかな感情を自身に宿す。


【範囲】対象と自身

────────────────────────



「……なるほど。分かった。協力しよう」


 どうやら、メーレスの感情は、『恐れ』『期待』『希望』が入り混じっている。嘘をついている人間の感情ではない。だから、協力する。


「本当ですか!」

 メーレスは珍しく、感情を表に出した。


「……あ、ああ」


「……あ……失礼、取り乱しましたわ。申し訳ありません。では、また、お話しましょう。これからよろしくお願いします、ヨルカワ様」





           ***





 決勝戦大将戦。


 あの会話の後、メーレス対イディアの試合は、激戦の末、イディアが勝利した。

 とは言っても、メーレスはそもそも勝つことが目的ではなかったようで、イディアに勝ちを譲ったように見えた。


 イディアは不満足気であったが、一応全力で戦ったということで、無理やり納得したようだ。



 これによって、決勝戦は1勝1敗1引き分けとなり、2年CクラスとSクラスの同率優勝が決定した。



 -第23話 完-

 お読みいただきありがとうございます。


 遅くなって申し訳ありませんでした。もう少し書くスピードが早くなると良いです。


 第3章はあと数話で完結となります。


 pv、ブックマーク等、ありがとうございます。

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