第20話: 決勝戦『2-C対S』②
第20話です。
(さて、この副将戦どう勝つか)
先程の試合を見る限り、ズィガさんは以外と相手を見ている。相手の出方を見て、瞬時に柔軟に対応するのが得意のようだった。
ならば──瞬時に対応できない魔法を放つ。
「【闇よ、この空間に宿れ】『ダーク・フィールド』」
ハウセは、試合開始と同時に、2年Aクラスとの対戦で見せた闇魔法を発動する。
アイの時と同様、スタジアムが闇に包まれ、人々の視界は黒く塗りつぶされる。
「……ん?詠唱短縮か。へぇ、少しはマシなやつもいんのな」
ズィガはその魔法構築の速さ、そして判断力に関心する。
実際自分の視界は今ふさがれており、これに対抗するための魔法を使うのには普通はかなりの時間と魔力が必要になる。
「……ってか、こいつの名前……どっかで……」
そんな中、ズィガはふと、目の前の男子生徒のことをどこかで聞いたことがあるような気がして、考えに耽る。
「──!!」
だが、その隙をハウセは見逃さない。
今この場で自由に動くことができるのはハウセだけだ。
「【邪剣】」
魔法で闇属性の剣を生成すると、すぐさまズィガに向かって振り下ろす。
この魔法は平がハウセに教えたものだ。
魔法使いは近距離戦になると弱いので、その対策にと思ったのだが、そもそも覚えられたのはハウセだけだった。
「【ホーリー・フィールド】」
「……っ!!」
ハウセの邪剣がズィガを撃とうとしたその時、ハウセは悪寒がしすぐさま後ろに下がる。
「俺に光属性も使わせた奴は久しぶりだな!いいぜ、お前。もっとこい!!!」
「……」
ズィガはなんと、【ホーリー・フィールド】という光属性の魔法を使用した。
それにより【ダーク・フィールド】が相殺され、全員の視界が元に戻る。
(まずいですね……もしかしたらまだ他の属性も使えるのかも、とは思っていましたが、まさか全く系統が違う光属性とは)
残念ながら、自分は闇魔法以外使うことができない。
相手が一つの属性しか使えないのであればまだ勝機はあるが、三つの属性を警戒しなければならないのはかなりきつい。
だが、やるしかない。
「【身体機能強化・闇】」
自身の使える身体強化魔法で最大の強化幅を誇る、この魔法を使う。
「……行かせていただきますね」
「ああ!とっとと来いよ!!!!!」
その瞬間、二人の姿が観客全員──いや、正確に言えば夜川平や校長のレイトなど、一部の人間を除いた全員の視界から消えた。
そして同時に、辺り一帯に爆風、熱風が巻き起こる。
観客全員が、それがこの二人の戦いのせいであると理解する。
戦いの激しさに絶句する者、熱狂する者、様々だ。
「……っ、早すぎて見えない!?」
司会者も思わずそう叫ぶ。
(……なるほど、ハウセは早めに近距離戦にもちこんだらしいな)
一方、この二人の戦いを完全に理解できているのは平一人だけだ。
(闇属性の魔法は早さも射程も本人次第なとこがあるからな。ハウセの実力なら、身体強化付きの近距離戦がベストだろう)
「……だが、ズィガも流石だな。魔術戦大会ではほとんど見られないような戦術にしっかり対応できている。…………ん?」
次の瞬間、スタジアムの上で行われていた激戦は、突然静寂を取り戻した。
「やるなぁ、お前」
「……それは……どうも」
激戦の末未だ決着がつかず、二人は再び向き合う。
「──せっかくだ、お前には俺の秘密を見せてやるよ」
「……」
「【覚醒】」
***
(……これは……まずい……)
ハウセは、目の前の光景に絶句する。
ズィガが【覚醒】と唱えた瞬間、ズィガのステータスが明らかに上昇したのが分かった。
(……王国最強の魔術師……絶対に他に理由があると思っていたけれど、まさか……)
ハウセは、ズィガのことについて調べたことがあった。
ズィガ=ア=レストは、幼い頃から『王国最強の魔術師』として名をはせていた。
もちろん、単純に強い、というのもあるが、どうやらその他にも何かあるようだった。
その一つが、3つの属性の適正があるということ。
そしてもう一つが、【覚醒】の固有スキルを保有していることだった。
「……やるしかないようですね」
ハウセも覚悟を決める。
「【闇よ、この空間に宿れ】『ダ──」
「試合終了!!!!!!!」 」
ハウセが魔法を発動しようとしたその時、審判がとんでもなく深刻な顔で叫ぶ。
「?…………あ」
「あ゛!?」
「こ、この試合、これ以上行うのは危険であるとレイト校長が判断したため、引き分けとします!!!!!」
気づけば、スタジアムの観客席は、先ほどの爆風などにより機能しなくなってしまっていた。
-第20話 完-
お読みいただきありがとうございます。
戦闘は相変わらず難しいです。
改善すべき点などは、どんどん改善していきたいと思っています。




