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第19話:決勝戦『2-C対S』①

 遅くなりました、第19話です。




 ついに決勝戦らしい。

 俺の生徒はなんと、歴代初の決勝進出を果たしたようだ。


 俺が頑張った訳ではない。

 あいつらの頑張りが、それを可能にしたのだ。


「決勝は確か中堅戦からだったな。……決勝くらいは、俺だってちゃんと見ていても怒られないだろう」


 というわけで、決勝はしっかり見させてもらおう。

 まぁ警備も本気でやるけどな。




          ***




「──さぁ、皆さん、ついにこの大会も残すところ決勝のみとなりました!!なんと今年は、歴代初、なんとCクラスが決勝へと駒を進めました!!一方、相手はこれまで圧倒的な実力差を見せつけてきたSクラス!!果たして、番狂わせはあるのでしょうかーー!?」


 さて、ついに大会も大詰めだ。

 これが終われば、残すところはあとバトルロワイアルだけになる。



─────────────────────

 中堅戦


『シンシア=ハード』対『ズィガ=ア=レスト』

─────────────────────



「──はぁ……かったるいなー、早くやっちまおうぜ」

「…………」


 スタジアムの中央でシンシアとズィガが向き合っている。


「悪いけどよ〜、俺だけこの次の試合もやらなきゃならないんで、早く負けてくれや」


 今回、 Sクラスは中堅戦、副将戦、共にズィガが出場する。

 つまり中堅戦でズィガがダウンした場合、副将戦は棄権となり、その時点で2年Cクラスの勝利が確定する。ただし、決勝に限って決着がついていても大将戦まで行う。


(……Sクラスなら、それくらいしても問題ないんでしょうね……まずは、この人に自分が敵だと認めさせなくてはいけませんね。)


「……じゃあ、はじめっかぁ!!」


 ズィガの雰囲気が変わる。

 戦闘態勢だ。


「──決勝戦中堅戦、開始!!!!!!!!」



「── 【炎よ、この依り代に宿れ。炎の神よ、我に力を与えよ。我、ここに魔法発動を宣言する】『フレイム・ランサー』」


 開始と同時にシンシアは2、3回戦で見せた『ファイア・ランサー』の上位版である『フレイム・ランサー』を発動する。


 シンシアにとってズィガは格上のさらに格上の存在であり、今まで戦うとすら思ったことがなかったのだ。当然、初めから全力。油断などできるはずがない。


「──ん?なんだ、そりゃ。炎の騎士なら、これでいいか?『帝王の激流(エンペラーウォーター)』」


 高速で接近する炎の騎士に対してのズィガの対応はシンプルだった。ズィガの水属性魔法は炎の騎士を包み込んでいく。

 そして激流はそのまま、炎の騎士を飲み込んだ。



「……っ!?」


(予想はしていたけれど、なんて威力……。それにそもそも、彼は炎属性の適正じゃなかったの?複数の魔法の適正があるなんて……。王国最強の魔術師の名は偽りないようですね)


「……!!【炎よ、この身に──」


「──遅えよ」


「……!!!!ぐ……はっ……あ゛!?」


 シンシアの意識がズィガから魔法構築へとそれた瞬間、ズィガはシンシアへと接近していた。

 気づけばズィガの拳は炎のオーラに覆われ、シンシアを打つ。


「おらっ、まだまだぁ!!!」


 ズィガは手を休めることなくひたすらに炎の拳を打ち続ける。それはまるで、早くこの試合を終わらせたいがためにやっているようだった。


「……っ……】『ファイア・ウォール』!!!!」


 シンシアは、その猛攻に屈しそうになるが、なんとか炎属性の防御魔法を発動する。


「……あ?なんだぁ。ちょっとはやるじゃねぇかよ。なら、てめぇをその壁ごと吹き飛ばしてやるよ」


 ニヤリと笑いながら、ズィガは水魔法を構築する。


「終わりだ。『激流(トレント)』」


 その瞬間、巨大な『水』が、炎の壁とともにシンシアを飲み込んだ。



「──なるほど」

 控え室の端で、中継を見ながら男子生徒が呟いた。


「『約束』通り、シンシアさんの意志は僕が引き継ぎます」

 その男子生徒──ハウセ=グリンドは、その碧い瞳を、紅く輝かせていた。




          ***




「……?」


 三回戦の後、僕は控室で突然シンシアさんに話しかけられた。


「──ハウセさん、お願いがあります」

「……何でしょうか?」


 シンシアの真剣な顔を見て、ハウセは表情をややこわばらせる。

 控室にいた他のメンバーも、シンシアへと意識を向けた。



「……おそらく……いえ、絶対に。……決勝戦の中堅戦、私は負けるでしょう」


 シンシアは静かに話し始めた。


「相手はあのズィガさんです。……正直、私には彼に勝てるビジョンが全く浮かびません。……こんなことはただの言い訳だとは思っています。ですが、2年Cクラスが勝つためには、ハウセさん、貴方の協力が必要です」

「え、ちょっと待って、これどういう話のわけ?」


 イディアは、急な展開についていけていないようだ。


「せめて、私の敗北を、唯一彼に勝てるかもしれないハウセくんに生かしてもらいたいんです」


「……なるほど、そういう話ですか」


「この中堅戦、私はズィガさんに勝つことよりも、いかに相手の戦術を表にできるかを重視したいと思っています」


「要するに、えーと、ハウセ君と協力プレイするってこと?」


「はい。これだけは言っておきたかったんです。ハウセ君、お願いできますか?」


 シンシアの顔は、いつにもまして真剣で、まっすぐだった。

 それを見て、ハウセは──


「──分かりました。でも、少し良いでしょうか?」


 了承し、同時にシンシアへと問いかける。


「この決勝戦、勝たなければいけない理由があるんですね?」

「……はい」

「その理由を聞かせてもらっても良いですか?」

「……恩返し、です」


 シンシアは、少し恥ずかしそうに答えた。


「恩返し?……なるほど、そういうことですか」

「え、どういうこと?」

「──私たちがここまで強くなれたのは、ヨルカワ先生のおかげです。でも、私たちはまだ、何の恩返しもできていないんです。私は、この魔術戦大会で優勝してこそ、ヨルカワ先生への恩返しになるのではないかと、思っています」




 ──そして、副将戦へと至る。


「僕は僕にできる最高のパフォーマンスを発揮するだけだ」


 ズィガさんの魔法属性は最低でも炎と水の2属性。まだ隠し持っている属性がないとも言い切れない。

 それに加えて、あの強力な魔法。シンシアさんの炎の騎士すら一瞬で飲み込んでしまうような威力だ。彼の表情からして、まだ余裕があるのだろう。


 それに、事前に調査した結果、少し『気になること』もあった。


 他者より圧倒的な強さを誇る相手に、自分ならどう戦う?


「──両者、出そろいました!!これより、副将戦を開始いたします!!!……はじめ!!!」





 ―第19話 完―

 お読みいただきありがとうございます。


 第3章は主人公があまり出ませんし、あまり時間がかかっても仕方がないと思うので、どんどん進めていきたいとは思っています。


 第20話は今日か明日に投稿します。

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