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第14話:国王の反抗

 第14話です。





 ──エキシビションマッチの決着から1時間後。


 現在ハント王国国立魔術学校レメディ校のスタジアムは、依然として『暗黒の救済者』を名乗る人間らによって占拠されていた。



「はぁ……あー、まだですかぁぁー?遅いなぁ?」


 リーダーを名乗るザークは、呆れたような口調で、司会の女性の口をナイフで軽く突く。


「ひぃぃぃ……」

 女性は泣きそうになっていた。



「話し合いさせるために数人解放したのにさぁ、少し遅すぎませんかねぇ?逃げたのかなぁ?」

「……その要求はこの国にとって重大すぎるものです。多少遅れるのは仕方がないでしょう」


 今、校長のレイトと付き添いの教員数名は、レスト王国の王城へと話し合いに向かっている。


 その間ザークの目の前には杖を突き付けられた教員たちが立たされており、いつ殺されてもおかしくない状態になっている。

 また、観客席、医務室、控室も既に制圧されている。



「──はぁ……仕方がないなぁ……じゃあ、あと1時間にしまぁしょう。あと1時間で決まらなかったらこの場でどんどん殺してくから」

「……っ」


(これは……まずいですわね)

(ひぇぇぇ……)

 人質の教員たちはその言葉に身震いする。

 その中には、(おさむ)とエキシビションマッチで戦った平と同い年のアクアや、生徒の治療にあたっていたポーラなどもいた。


「こちらとしてもねぇ、早くモノをくれればそれで良いんですけどねー」


(……そんな簡単にいく問題ではない……秘術の書といい、魔力石といい……国力に関わってくる)


「……ああ、もしも国王がバカだったらどうしようかなぁ……王国の騎士とかをひたすら集めて突っ込んでこられても困るんだよな〜。君たちも賢明な王であることを祈ろうな。……こんな場所じゃあ、私たち以外の人間は本当に無力なんだから。王城から増援を呼んだって無意味だよ」




          ***




「──マジで遅えな……通信魔法で「あと1時間」って送ったんだけどなぁ」


 ザークがこの魔術学校の通信魔法使いに無理やり王城へと通信させてからちょうど1時間ほど。

 未だにレイトたちは戻ってこない。


「……仕方がない、か」


 ザークは、再び通信魔法使いを集める。

 そして、大声で叫んだ。


「──これより、王城と通信を行う!!!生放送だ」

 ザークがそう言うと、スタジアムに王城の広間が映し出される。



「……!?なんだ、これは!?」

 広間にいた国王が、それに気づく。


「──さて、もう待つのが面倒くさいからここで聞こうか。要求を飲むか、国王様?」

 ザークは、通信魔法の画面越しにそう尋ねる。


「……そうか、貴様が『暗黒の救済者』の支部長とやらか?」

 国王は落ち着きを取り戻した。


「ああ、そうそう。でもそんなことはどうでも良い。『秘術の書』とありったけの『魔力石』をくれるのか、それが一番大事なこと」


 ザークは、鋭い目で国王を見る。



「その要求だが────飲むことはできない」


 国王は、淡々と答えた。


「当然のことだ。我が国の宝や軍事力を渡すと言っているに等しいのだ。そんな要求など、飲めるはずがない。」

「……へぇ」


 ザークは表情を変えない。


「──それに、この時間にある程度結界の解析が完了したのだ。これで結界内に入ることくらいなら簡単にできる」

「…………」

「まぁ、まだ結界内の効果は打ち消せてはいないが。とは言え、我が王国最強の騎士、魔術師たちのことだ。『ステータスを100分の1にする』というバカげたはったりは置いておいて、多少の能力低下など、気にするに値しない」


 その発言を国王がした時、その後ろで校長──レイトは、苦虫を嚙み潰したような顔をしていた。



「……ああ、なるほど」

(……どうやらこの国王様は、俺たちが張ったこの結界の効力を信じていないらしいな)


 ザークは理解する。

 レイトの表情は、国王が自身の言ったことを信用していないがために大勢の人間が死ぬかもしれないことに対してのものだったのだろう。



「はっ!もう騎士たちはスタジアムへと到着するぞ?貴様らの負けじゃ!」

 愚かな国王は、既にニヤニヤと笑いながら勝ち誇った表情を浮かべている。



「……ふっ」

 それを見て、ザークも嗤った。


(はははっ!!これは面白い!実に滑稽だ!)




          ***




 ──その数分後。

 スタジアムの中に、続々と王国騎士団と王国魔術師が入ってきた。


「──これより、『暗黒の救済者』を名乗るテロリストたちを拘束する!!!」


 騎士団長と思われる男が、スタジアムに響き渡る声でそう宣言した。自身のステータスが100分の1になってしまっているなど、微塵も思っていない。


「──お前がリーダーか?」

 そして、中心部に立っていたザークに剣を向けた。


「……そうだと言ったら?」

「貴様を拘束させてもらう!!我々の手にかかれば、殺さずとも貴様を無力化することなど、容易いのだからな!!!」



「……そうかぁ……いいねぇ……その表情!!!」

 ザークは、不気味に微笑んだ。



 ―第14話 完―

 お読みいただきありがとうございます。


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