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第12話:占拠

 第12話です。





「……は?」


 気づいた時には既に、俺はスタジアムにいなかった。


「……どこだ、ここは?」




          ***




「────え!?ヨルカワ先生!?どこに!?」


 スタジアムから突然霧のように消えてしままた(おさむ)を、司会の女性が見つけようとするが、見つからない。


「……『転移』……だと?」


 レイトもまた、(おさむ)が突然消えたことに困惑する。


(……転移魔法を使用したというのか?……いや、しかし……『転移』……だと?書物でしか見たことすらない。そこには人間の力では到底再現し得ないと書いてあったはずだが……)



 ──レイトが考えながら辺りを見回したその時だった。


「────はいっ、どうも、こんにちハァァァァァァ!!!!」


「……なに!?」


 スタジアムに突如として黒い影が降り立った。

 どうやら、黒いマントを被った人間たちのようだ。



「え、ちょっと!?誰ですか貴方たち!」


 司会が困惑し、その者たちに問いかけようとした瞬間。


「──はぁーい、ちょっと黙っててねー!」

「……へ?……んふ!?」


 司会が、一人に一瞬で拘束される。

 また、その人間の手には、鋭くとがったナイフが握られていた。



「さ・ら・にぃー!!!!こんなものまでプレゼント!!!!!!!!」


 違う一人がそういうと、たちまちスタジアムは『黒い幕』に包まれた。


 音や光が遮断され、辺りは静まり返る。



「──はい、改めまして、どうもこんにちは。我々は『暗黒の救済者』レメディ支部でぇす!!!!」



「……なんだと?」


(『暗黒の救済者』、だと?最近世界的に表に出てきているテロ組織ではないか)



「私は支部長でリーダーの『ザーク』!!我々の要求は2つでぇーす!!!1つはこの『ハント王国国立魔術学校レスト王国校』に保管されている〈秘術の書〉。もう一つはここにあるありったけの『魔力石』でぇす!!!!!もしも、それらを渡してもらえないのなら、ここにいる者を1人ずつ公開処刑して差し上げましょう!!!!」


 支部長を名乗る若い男が、要求を大声で伝える。

 それにより、この場は混沌へと向かっていく。



「……貴様ら、見ておれば随分と勝手なことをしてくれたじゃないか」


 そんな中、レイトはリーダーを名乗る男の前に立つと、杖を向ける。


「全員拘束させてもらう!!『サンダーウォール』!!!」


 そして、そのまま全員に魔法を放った。

 


 のだが───


「……何……?」

「──へへっ!!残念ですねぇーー!!」

「──ぐはっ!?」


 魔法は何故か発動せず、ザークは尋常ではない速さでレイトに蹴りを入れた。



「──はいっ、もう一度ちゅうもーく!!!!我々が先程皆様に差し上げたプレゼント!!!その中身は何と!!『我々以外の人間のステータスを100分の1にする空間』でございますっ!!!!!」

「……な、なんだ……と……?」


 ザークは、再び大声で宣言する。



「──選択するのは皆さんです。大人しく渡すのも、1人ずつ殺されるのも、皆さん次第!!!さあ、楽しい時間の、始まりです!!!!」




          ***




 ──首都レメディの地下にて。


「……ん?『これ』の正体が知りたいのか?いいぜ、教えてやるよ。『これ』はな──」


 男がそう言いかけると、後ろから新しい男が入ってくる。


「あ、支部長!」

「どうかしたかい?」

「実は、『これ』について話そうかと」

「ああ、そう言えば『これ』の担当は君だったねぇー」


「はい、精一杯頑張ります!」

「そうだね。じゃあ、僕はまた行ってくるから、説明よろしくねぇー」

「了解しました!!」


 男が立ち去る。



「──で、『これ』ってどういうものなんだ?」

「それはな──」


 先程の男は、ニヤリと笑う。



「──対象を無理やり『神の領域』へ転移させるモノらしい」




 ―第12話 完―

 お読みいただきありがとうございます。


 2日空いてしまいましたね……。


 pv、ブックマーク等、ありがとうございます!

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