第7話: 『2年Aクラスvs2年Cクラス』②
第7話です。
「──し、勝者、テイミー=ピースフル!!!!」
(──これで2連敗……後がなくなってしまいましたね……)
シンシアは、アーロンの無事を確認すると、一安心すると共に不安に駆られる。
「正直、ここまで苦戦することになるとは思いませんでしたね。それに、流石はAクラス……というだけではないようです」
先程の2試合を見て、不自然な点がいくつかあった。
控室のシンシアは、同じく控室にいるイディアに話しかける。
「……セイレさんの試合では、何故かセイレさんの相手──フレイさんの魔法構築時間が初級魔法と中級魔法でほぼ変わらなかった点が気になりましたね。理論上、どんなに優秀な魔法使いでも、少なくとも魔法ごとに構築時間の差は出るはずなんですが……」
「そう言えば、そうね。それに私は、アーロンくんの試合にびっくりしたかな。まさかアーロンくんよりも相手の子が早く勝負を決めるとは思わなかったし」
「はい、私は何か良くないことが起こっているのではないかと思います」
「んー……」
シンシアの言葉を聞いて、イディアは「うーん……」と頭を抱えるようなポーズをとる。
「ええ、私も同感です」
「──とにかく、頑張るしかないってことね!」
だが、イディアは脳筋気味だった。
「……はい、そうですね」
***
「──さて、皆さん、ついに中堅戦!!!2年Aクラスはここまで二勝中。一方2年Cクラスはここまで二敗。Cクラスは後がありません。果たして、ここから番狂わせはあるのでしょうか!!??」
「…………ふーー」
シンシアは息を整える。
「おいおい、なんだ、この様はよぉ?俺たちが出る幕なんざ、なかったんじゃないのかぁ?」
一方相手であるグラウ=スィダンは、自身のクラスが先に2勝していることもあってか、完全に舐めきっていた。
「……では、いきます」
「──では、試合、開始ー!!!!!!!!!!」
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中堅戦
『シンシア=ハード』対『グラウ=スィダン』
『グラウ=スィダン』
茶髪茶眼。
スィダン子爵家の長男。
身長は180cmで大柄。服装は制服。
種族は『人間』。
グラウはチームの盾役として有名である。
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「……」
「──へっ、じゃあ、さっさと決めるとするか!!!!」
「……」
二人は、試合開始と同時に、魔法の構成を開始する。
シンシアの相手であるグラウは、土属性の魔法使いである。そのため、構成のスピードは火属性のシンシアが有利と言ったところか。
──しかし
「へへっ、余裕なんだよ、雑魚が!!!!【──】『ロック・ハンド』!!!」
グラウは、シンシアよりも先に魔法の構成を完了し、魔法を発動する。
この『ロック・ハンド』は、自身の腕を硬質化し、岩で覆う魔法だ。
「オラああああああ!!!」
グラウは、シンシアへと接近する。
盾役であるグラウだが、このように自身の体を土魔法で強化し、相手へ攻撃することもできる。
(なお魔術戦において、身体強化系の魔法で強化した場合のみ、直接攻撃が可能。)
「──ふっ!!!!」
グラウは、その岩で強化された拳でシンシアへと殴りかかった。そのスピードはかなりのものだ。
「……。【炎よ、この依り代に宿れ。炎の神よ、我に力を与えよ。我、ここに魔法発動を宣言する。】」
だがシンシアは、慌てずにその拳の位置を捉えた。
「──『ファイア・ランサー』」
***
「──っ!?な、なんだ!?」
シンシアに殴りかかっていたグラウは、一瞬何が起こったのかわからなかった。
グラウは自身の戦闘センスにより直観的に、シンシアから遠ざかる。
「……は?」
今、グラウの目の前には、一人の騎士が居た。
「……な、なんだ……?」
その騎士は、細長い槍を持っていた。
そして、その体は、燃え盛る炎に包まれている。
ただ、その騎士は馬にまたがっているというよりも、馬と一体化していると言った方が良いだろうか?
(……炎の騎士?……そんなものをCクラスのやつが召喚したっていうのか!?)
グラウは、目の前の存在に驚愕する。
自分の目が信じられない。
「……くそがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
グラウは、半分自暴自棄になりながら、『ファイア・ランサー』へと向かっていく。
「【──】『身体強化』!!!」
身体強化も発動させ、さらにスピードを付ける。
だが──
「……え?」
気づけば、グラウの目の前にいた騎士の姿はなかった。
「…………な……ん……だ……」
グラウは、いつの間にか意識を手放した。
「……き、決まりました!!!勝者、『シンシア=ハード』!!!!!!!」
(……ふー……やりました……やりました……先生……)
-第7話 完-
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