第28話:決着
第28話です。遅くなりました。おそらく改稿します。
「だから────死ぬが良い、愚かな人間よ」
「そうか。なら、俺も本気でやろう」
──まず、今の状況を整理しよう。
俺は、おそらく進化(?)したセルフィシュと戦うことになるが、少なくとも先ほどまでの能力は持っているだろうからセルフィシュを対象とする魔法は効かないと考えられる。
となると、俺は身体強化系統の魔法で自身の体を強化し、半ば『ゴリ押し』的な戦い方をしなければならないだろう。
「──ふふふ!!では、始めるとしよう、一方的なまでの虐殺伝説を!!!」
「……っ!」
セルフィシュは、俺に向かって巨大な魔力を込めた魔法を放とうとする。それも、一瞬でだ。
(──だが、レベルが大幅に上がったおかげか、『身体機能完全強化』のおかげかは分からないが、そこまで遅れを取ることはなさそうだ。スピードにもついていけている)
だが、逆に言えば魔物1万体近くを無力化して上げたレベルと、『身体機能完全強化』があっても、相手が止まって見えるほどではなかったのだ。(もっとも、レベルを上げることで反射神経が良くなるのかは分からないのだが)
つまり、目の前の存在は本当の意味で俺にとってかつてないほどの強敵ということなのだろう。
「──!!」
俺は杖を構えて、魔法の展開を始める。
この魔法は、使ったことはないが身体強化系の(俺が今使える)魔法の中で【魔力消費】が最も多い。きっとかなり強力な魔法のはずだ。
―――――――――――――――――――――
【魔法名】超越
【属性】サポート
【魔力消費】50000
【範囲】自身のステータス。
【効果】30分持続。自身のステータスの数値を上げる。効果が切れると、1分間ステータスが元の10分の1になる。
―――――――――――――――――――――
「────『超越』」
「───────────────────は?」
(……今……何が起きた?)
セルフィシュは、平から得体の知れない『何か』を感じ取っていた。
そしていつのまにか、彼の目の前には『それ』がいた。
「──……なん……だ……貴様は……」
余りにも異質すぎるその気配に、セルフィシュは言葉をうまく発することができなかった。
それはもはや、人間の放つ気配ではなかったのだ。
「──急に何だ?俺は平だって言ったはずだが」
(…………そういう……問題……では……なかろうが……!!!)
「──俺なりに考えた。残念ながらお前自身には俺の得意な魔法は効かない。だが、『これ』ならどうだ?」
その瞬間、平は、握りしめた自身の拳を、セルフィシュに叩きつけた。
*
「──ぐ……ぐばっ……!?」
一瞬で、セルフィシュは口から血を吐きながら吹き飛ばされる。
「残念だが、俺はお前が反省する気になるまで、とりあえずこうやって俺に勝ち続けて心を折らせることしかできない」
「──ぐ……」
「────じゃあ、もう一度聞く。降参する気はあるか?ここで降参して、自身がしようとしたことを反省してくれるなら、俺はもうお前を殴らなくても済む。手をこれ以上汚さなくて良いんだ」
「ぐぁ…………!」
「────まだやるのか?」
「……私は、誇り高き魔人。人間ごときに負けることなど、許されるはずがないだろう!!」
「…………そうか、なら、一回話し合わないか?もう少し話し合えば何か気づくことがあるかもしれな──」
「『ワープ』」
「……待て!!」
突如として、セルフィシュの真下に魔法陣が出現する。
「……っ『全てをかき消す光』!!!!!」
俺はその得体の知れない魔法を排除するため、『全てをかき消す光』を発動する。
だが─────
「戦いは、お預けですね」
女の声が聞こえたと同時に、セルフィシュはどこかへと消えていった。
*
「───何があったんだ……!?」
俺は自身の思考を恥じる。また同じ過ちを犯してしまった。
(──『ワープ』という言葉が聞こえた。つまり瞬間移動系統の魔法で、セルフィシュを誰かが連れて行ったということか?そもそもそれは誰だ?……仲間の介入を考えていないとは……何をしてるんだ俺は!)
「──『ワープ』か……『全てをかき消す光』で無力化されなかったということは……魔法の対象はセルフィシュ自身と言うことなのか?それとも俺の魔法発動が遅かったのか?……いや、もしくは」
俺は、セルフィシュがいた所を見る。
「…………」
(……俺のミスで、またあいつは誰かを……)
「……」
俺は拳を握りしめた。
勝負には勝った。防衛にも成功した。
にも関わらず、何とも言えない感情に襲われる。
──『生命探知』により、魔物の危険は去ったことは確認したため、レメディの住民のためにも、俺は戦場を去った。
―第28話 完―
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