第25話:セルフィシュ=ロウ
第25話です。2日に1回投稿継続中。
「私は【上位魔人第4席】の『セルフィシュ=ロウ』。私に直々に殺されることを、誇りなさい。人間」
セルフィシュと名乗るその魔人は、早くも俺を殺すという宣言をした。
「……そうか。俺は平だ。言っておくが、俺はお前を殺さないからな」
これだけはあらかじめ言っておかなければならない。例え相手がどんな罪を犯そうと、殺す気はない。
「……正気ですか、貴方?」
セルフィシュは、俺を睨みつけた。
「……やれやれ、少し強いくらいで調子に乗られるのは困ったものですね…………仕方ありません、特別にお教えいたしましょう」
そして、俺にさらに近づいてくる。
「──私はね、魔法を無力化することができるんですよ」
「……なんだと?」
「その言葉の通りですよ。私は"私を対象とする魔法をすべて無効化する"ことができる固有スキル『魔法除去』を持っているのです!!…………そう、たとえあの『幻想のベノム=ディラーション』であっても、私の力の前にはひれ伏すのみ!」
「…………」
「私は貴方に魔法を使えても、貴方は私に魔法を使えない。これで勝ち目があると思いますか?」
全ての魔法を無力化。それがもし本当だとしたら、俺にとってかつてないほどの強敵ということになる。
しかも、本人は普通に魔法を使えるとは。
「……ですから、残念ながら貴方に勝ち目はない。『魔法使い』ではどう抗っても私には勝てないのですからね!!!」
「……っ」
セルフィシュは、話終わったタイミングで一瞬にして平へと接近した。
そして、何やら青白いオーラを纏った自身の拳で、平へ渾身の一撃を与えた。
「貴方は人間にしては高位の『魔法使い』だけあって、防御魔法は得意だったようですが、これはどうですかね!!」
「……ぐっ!?」
平は、衝撃でその場から一気に後方へと飛ばされる。
「────おやおや……こんなものですか。……やはり人間という生き物は、弱い。ステータスもどうせ低いのでしょう」
セルフィシュは、既に勝利を確信していた。
「ふむ……どうやら、力もないらしい。これではあまりにもつまらないが……本来の目的を果たすことはできるでしょうね。……さて、トドメといきましょう」
セルフィシュがそう言った瞬間。
「────……っ!?!?」
セルフィシュの目の前に、平が立っていた。
*
(……どういうことだ?あの一瞬で防御魔法を張ったというのか?ふむ……少し手加減しすぎたか)
「さっき、お前は自分を対象とした魔法を全て無力化すると言ったが、それなら攻撃魔法を使わないだけだ」
「……何?」
(どういうことだ?魔法を使わない、だと?ああ、そういうことか)
「さっきも言った通り俺はお前を殺さない。……だが、お前を反省させる都合上、多少の怪我は仕方ない」
目の前の魔法使いは続ける。
「大人しく降参して反省し、2度と侵攻してこないと誓えるのなら俺は許しても良いが、今降参しないなら、痛くても我慢してくれ。どうする?」
「……降参だと?……笑止!!我ら誇り高き魔人属が人間ごときに降参するなどありえないと思え!」
「……まぁ、それはそうか。俺も、変に反省したふりをされても困るからな」
敵は杖を構えた。
「……やれやれ、本当に、愚かだ。どうやら貴様は『あの程度の魔法』を防いだくらいで調子に乗っているよだな。貴様が命をかけて街を守ったあの魔法────あれは確かになかなかのものだったが、所詮貴様は人間なのだ。虚勢を張っているようだが、もう魔力はほとんど残っていないのだろう?」
(ようするに、こいつにはもう打つ手がないのだな。だから魔法使いなのに魔法を使わないなどと訳の分からない見栄を張っている。内心、我が降参することを期待していた、と言ったところか)
「…………」
「ふむ、図星のようだな。──とは言え、俺が街に向かって放った魔法は大したことのない魔法だったが、あの数を防いだのだ。だから虚勢を張るのをやめてその事実を誇って死ぬことだな」
私は、手元に魔法陣を展開した。
「死の手土産として、先程の大したことのない魔法ではなく、私が『本物の魔法』を見せてやろう。────【炎神よ、我に力を寄越せ】『エンシェント・フレア』!!」
そして、先程の無数の魔法全てを合わせたものと同じくらいの魔力を秘めた人類にとって伝説級の魔法が発動する。
「──街を護ろうとする人間の英雄よ、死ぬが良い!!」
―第25話 完―
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