第23話:ある冒険者の記録②
第23話です。短め。
──その戦いを一言で言えば、『遊び』だった。
戦っている本人がどう思っているかは分からない。
だが、こんな言い方をしては失礼だとは思っても、どうしても遠くから見守っている我々にとっては、遠くで戦っているその男の姿は、『悪魔』のように見えた。
(恐ろしい…………)
思わず、そう思ってしまったのだ。
自分たちが住んでいる大切な街。
それを救おうとしてくれている『彼』には、本来感謝しかないはずだった。
もっと言ってしまえば、そもそも、あの数相手に1人でなど、最初から勝てるわけないと思っていたのだ。
最初私も助けになろうと思ったのだが、ハント王国の命令により動くことができなかった。
正直、1人で戦い死ぬ運命にある『彼』を、私は最初哀れんでしまっていたのだ。
……だから、『彼』がピンチになったら、私が彼を連れてそのまま退散しようと思っていた。
だが──────予想外の自体が起きてしまった。
「…………まさか……あれほどなんて……」
『彼』───異世界の英雄は、一瞬にしてほとんどの魔物を停止させたのだ。
そんなことは、最高ランクの『Sランク』冒険者である自分ですら、見たことがなかった。
そして、『彼』はさらにおかしなことをした。
『彼』が杖を向けてもう一度何か魔法を発動すると、何故か魔物たちは力が抜けたようにその場に倒れていったのだ。
「……何が、起こったの?」
私は思わず、そう呟く。
呆然としていた私だが、しばらく経つとその意味が分かった。
(……死んでる……)
近くの魔物の魔力を『見た』ところ、魔物は完全に死んでいた。これからまた起き上がることはない。
「…………」
私は、再びその場に立ち尽くす。
考えたくなかったのだ。
「…………これでは……まるで……」
私たちは、『彼』にいつ皆殺しにされてもおかしくないのではないか?
*
ついに『彼』は、全ての魔物を倒したらしい。
ゆっくりとこちらへ向かってきている。
正直、どうやって接すれば良いのか、分からなかった。
先程、門の前で彼を見た時と、明らかに見方が変わってしまっていたのだから。
門の前で見たときはまだ若い好青年、くらいの印象だったが、今や彼が、人間ではない得体の知れない何かだと、思っている自分がいる。
関わらない、という選択肢もあるが……。
「……でも、そんな力を持った人間がどんな人物なのか、私が見極めなくちゃ……」
私ごときでどうにかなるとは思えなかったが、もし危険人物なら、放っておく訳にはいかない。
自分で、彼がどんな人間なのか、確かめずにはいられなかった。
「……よし」
彼を恐れている自分を鼓舞し、ゆっくりと近づいている彼の方を向いたその時─────何かが見えた。
「……えっ……?」
私の頭上にあったのは────本でしか見たことのないような、『大魔法』の集団だった。
―第23話 完―
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