第21話:異世界の英雄の無双①
第21話です。
『生命探知』により分かった。
今、俺の目の前──見渡す限りの海には、約一万匹の魔物がいる。
「いや、多いな……」
さて。これらをどのようにして対処するか?
ギルドの話では500体という話だったのだが。
一応考えはあるが、実行したことがないため不安でしかない。
「まぁ……、やるしかないか」
俺は取り敢えず、着々と進行している魔物たちの身動きを封じることにした。
「……よし、あそこにするか」
そのために、一旦高いところに登ろうと考えた。
「上に登っても良いか?」
「は、はいっ!」
俺は門番に許可を取り、城壁のような建物の上へと登っていく。
「──この辺で良いか」
ちょうど魔物たちを見渡せる場所があったので、そこを定位置に決めた。
「さて、いくか」
俺は杖を構える。
「『完全なる光』」
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【魔法名】完全なる光
【属性】光/サポート
【魔力消費】3000
【効果】範囲内の生物の隠蔽を全て解く。
【範囲】自身が目視できる範囲。
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「『究極の暗黒』」
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【魔法名】究極の暗黒
【属性】闇/状態異常
【魔力消費】3000
【効果】視力、聴力を奪う。また、軽〜高程度の錯乱状態にする。
【範囲】指定した目の見える生物全て。ただし、自分が目視できる範囲にいる生物のみが対象(なお、対象そのものを目視できない場合は発動できない)。
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俺は、当時あったのか分からない中学二年生の心を擽るような魔法2つを発動する。
これらの魔法は、簡単に言えば『相手を見えるようにする』魔法と『相手の視力、聴力を奪い、錯乱状態にする』魔法だ。
『究極の暗黒』は、相手が自分の目で見えていないと発動ができない。
目視できない敵がいた場合に奇襲されても困るので、取り敢えず『完全なる光』で俺が見えるようにしたわけである。
(よし)
俺の視界には、先程まで隠蔽されていた魔物がそれなりに写っていた。
そして、それらも含めて全てが前が見えず何も聞こえずで錯乱状態に陥っている。
上手くいったようだ。
(これで良いのだろうか)
なんというか、本当に異世界の英雄の力様々だ。
俺の元々の力じゃ、こんなに上手く事に対処なんてできなかっただろう。
それを考えると、喜べないな。
今の段階では、この力は完全に貰い物の力なのだろう。
いずれは、自分の力にしなくてはならない。もっと練習して使いこなせるようにならなければ。
努力はもっと必要だな。
「──これが終わったら、修行でもするか?」
だが、取り敢えずは今は今だ。
「よし、これだとまだ『相手を無力化』したことにはなってないみたいだな」
せっかくの機会だ。
目の前には1万体を超える魔物がいる。
「……悪いが、ついでに経験値を積ませてもらう」
***
「──さてと、これで良いか」
俺は『束縛』を発動した。
それもこれまでとは違う、新しい『束縛』だ。
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【魔法名】大束縛
【属性】光/状態異常
【魔力消費】5000
【範囲】自分が目視できる範囲にいる生物のうち、指定したもの全て。
【効果】中程度の魔物の身動きを取れなくさせる。成功率は30%。ただし、相手がもともと状態異常になっている場合、成功率がアップする。
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ついこの間『束縛レベル2』が進化したのだが、なんと今回は対象が無制限になった(ただし目視できなければならない)。
成功率は30%と、魔力消費に比べてシビアではあるが、今こそ『究極の暗黒』が生きる。予め状態異常にしておいたことにより、成功率がアップする。
さらに、俺の手には杖が握られている。
杖を使って魔法を使うことによって成功率はさらに上がるのである。
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【報告】レベルが上がりました!!
【理由】魔物6521体の無力化により、固有スキル『殺しを嫌う者(レベル2)』が計6521回発動したため。
【レベル】1621→132041
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ふむ、どうやら約1万体のうち、俺が今見えていてかつ無力化されたのは6521体らしいな。
「……神様か知らないが、絶対固有スキルの中身を適当に決めたよな、これ。レベル132041って何だ……?」
俺は、もはやレベル上げの楽しみが完全に失われたステータスボードを見ながら辺りを見回した。
―第21話 完―
お読みいただきありがとうございます。
久しぶりの戦闘ですね!書いてて楽しいです。
pv、ブックマーク、ポイント評価等、ありがとうございます!!




