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不殺の賢者〜高校生は不殺主義で異世界を生きる〜  作者: 水坂鍵
第2章:魔の襲来と魔術学校
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第20話:初陣

 第20話です。


 投稿するの忘れてました……。




 『異世界の英雄』。

 それは、この世界において、言葉以上の重大な意味を持つ。


 誰もが一度は耳にする言葉であり、人によっては何度も耳にする。


 『異世界の英雄』とは、『神の使い』。

 この世界を救うために、人類に与えられた切り札。それが異世界の英雄である。


 実際の所がどうであれ、『異世界の英雄』は人類の希望なのである。



 そんな異世界の英雄が、「ハント王国によってついに召喚された」と言う噂は、主に冒険者などの間で広まっていた。

 ハント王国は混乱を避けるため、現段階では一般の人間にはそれを公表していない。だが、その状態がまもなく終わろうとしていた。




            *




「──どうやら、()()()()()()()のようですね」

 ハント王国王女は会議室にて、国の重要な人間と共に話し合っていた。


「──では、ついに発表なされるのですね?」

「ええ、それにふさわしいタイミングは、今でしょう。──『Sランク英雄』が、無数の魔物を退ける今こそ、です」


 王女は、貴族と思われる男に、そう言う。


「…………だが、その──ヨルカワ、だったか?その異世界の英雄は本当にこの数の魔物を倒せるのか?……確かにSランクの英雄であるのだから、戦闘能力はあるのだろうが……。話によれば、相手は『低〜中程度の魔物が5百体以上』いると聞くが……」


「通信魔法で伝えられただけなので、確かなことは言えませんが、まぁ流石に5百体以上は少し盛っていると思われます。向こうもかつてないほどの事態に困惑しているのでしょう」


「……しかし、仮に5百以上はいかないにしろ、それに近い数相手に1人の人間が敵うとは思えないのだがな。……しかも、まだ17かそこらの若者だ。この世界に来てから間もない。レベルだって十分ではないのではないか?やはり、王国から冒険者や騎士団などの増援を呼ぶべきではないのか、王女」


 男は王女の意見には賛成できずにいた。

 それも当然だろう。はっきり言って、普通に考えたら男の方が正しい。いくら異世界の英雄とは言え、1人でその数相手に戦うと言うことは、一般人は一体すら倒せないであろう魔物を自分1人で背負わなければならないことを意味するのだから。


「──いえ、大丈夫です。むしろ、これは1人でなければなりません。少なくとも、異世界の英雄の力以外を使ってはいけません。これは、異世界の英雄が()()()()()()()()()()()戦いでもあるのですから」


「…………」


 男は黙る。


 いくら()()()()()()()()()()()()()()とは言え、1人の若者にそんなことを求めてしまって良いのかと、考えてしまう。



「──えー、ではそろそろこの会議は終了とさせて頂きます。私はやることがありますので。では」


 男が悩んでいるうちに、会議は終了した。




           *




「……」

 俺の目の前にいたのは、予想を遥かに上回るほどの魔物たちだった。


「……ギルド支部長の話では、『低〜中程度の魔物約500体』って話だったんだが……」


 明らかに、それよりも多い。


「『生命探知』」


―――――――――――――――――――

【魔法名】『生命探知』・レベル1

【効果】自身を中心として、半径5キロメートルまでの生物を自身の目の前に表示する。ただし、どの生物を表示するかは選択できる。また、生物の特徴により表示を分けることができる。

【魔力消費】100

【属性】光/サポート

―――――――――――――――――――


 俺は『生命探知』で、俺を中心とした半径5キロメートルに存在する『すべての()()、そして意思疎通のできるすべての生物』を表示する。


 通常、魔物は知能が低いため人間とは意思疎通ができない。


 そのため、魔物とは別に意思疎通ができる生物を別に表示することで、俺の攻撃の巻き添えを防ぐ狙いだ。

 また、仮に意思疎通ができるほどの知力の魔物がいた場合は、その魔物は別の表示になる。


 これにより、[意思疎通ができる生物は絶対に殺さない]という自分の中のルールを守ることができる。


「──始めるとするか」

 俺は杖を取り出す。

 そして、『生命探知』を確認した。


(……どうやら、海岸に向かって5キロメートル以内には今のところ意思疎通ができる魔物はいないな)


 これならば、割り切っていく。

 俺は、なるべく意思疎通のできない生物であっても殺すことはしたくない。──だが、どうしても殺さなければならない場面は確かに存在する。


 それは、『自分が殺されそうなとき』。そして、『自分が対処しなかった場合、他の誰かが死ぬとき』だ。


 前者は、俺は既に克服している。このために授かったのではないかと言うくらい、異世界の英雄の力は俺に合っていた。

 だが、問題は後者だ。


 例え俺が殺されたり何か危害を加えられたりする心配がなくとも、()()()()()()()()()()()誰か、大事な人などが危害を加えられることがあるからだ。


 これについては、もうどうしようもない。

 俺は()()()()()()

 俺が他人の行動を支配することなど、できない。


 意思疎通のできる者を一時的に『洗脳』することならできるかもしれないが……。結局、それでは意味がない。



 だから、今回は殺す。ゴブリンの時もそうだった。

 俺には、これ以上のことはできない。



 魔物を全て追い払うことも考えた。

 だがそれだと、根本的な解決にはならない。

 もし俺がいなくなった後、再び攻めてきたらどうなる?


 よくよく考えてみれば、ゴブリンのときは俺はサポートするだけで、実際に殺したのはクラスメートたちだった。

 俺は今まで、なんやかんだ逃げていたのだろう。


「……ふーー」


 だが、俺が今やらなければ、()()()の人間が死ぬ。


「……」



 俺の、()()だ。




 ―第20話 完―

 お読みいただきありがとうございます。


 pv、ブックマーク、ポイント評価ありがとうございます!

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