第16話:いじめin異世界 case.2 没落貴族②
遅れてすみません。第16話です。
近く改稿するかもしれません。
5年前のある日のこと。
イディアの家は、伯爵家ということもあり、庭は広く、建物もまた大きかった。
その庭で、当時10歳だったイディアは1人でボール遊びをしていた。
だが突然、家の端の建物から、大きな音が聞こえた。
「えっ……?」
そして、辺りに爆風が吹き抜ける。
「……!?」
そのあまりの勢いに、思わずイディアは少し吹き飛ばされた。
そして、爆風が止み、イディアは何とか起き上がる。
「……お父さん、お母さん?」
イディアの目の前にあったのは、今まで住んでいた貴族の家ではなかった。
家からは火の手が上がり、建物は今にも崩れそうだった。
「……っ」
イディアは、父と母のいる本館へと走り出す。
幸い、本館まではまだ火の手は回ってきていなかった。
イディアは、本館へと入っていくと、父と母を探すべく動き出した。
「……お父さん、お母さん……!」
そして、父と母がいつもいる部屋に到着する。
「……!」
イディアは、扉を開けた。
「…………えっ?」
そこにあったのは、体中に短剣を突き刺された、ついさっきまで、自分の父と母だったものだった。
「……ひっ……いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!?!?!?!?!?」
***
その後。
父と母、そして全ての使用人を失ったエンブル伯爵家は、貴族の爵位を剥奪された。
当然、イディアは露頭に迷うことになったが、そのとき助けてくれたのが、冒険者ギルドだったという。
何でも、冒険者ギルドは孤児なども受け入れることがあるようで、イディアは魔法の才能があったこともあり、かなり良い扱いを受けることができたのだ。
だが、それから3年経っても、あのとき何が起こったのかは分からずじまいだった。
そして、3年半が経ったある日、イディアはある冒険者から噂を聞いた。
その噂の内容は『この国の王女メーレス・ア・レストは、エンブル伯爵家と何かについて揉めていた。そのため王女派の人間によって伯爵夫妻は消された』と、いうものだった。
「…………」
イディアは、最初はまさかと思っていたのだが、似たような話を何度か耳にするようになり、疑いを持つようになっていった。
そして、それを確かめたいと思うようになった。
半年後。
ついに、イディアは、『魔術学校』に入学した。
理由は2つ。
もともと魔法が比較的得意だったから。
そしてもう一つ、この学校にいるという『メーレス・ア・レスト』と、直接話をするためだった。
「……すみません、少しよろしいでしょうか?」
「おやぁ?何でしょうか?」
ついにイディアは、メーレスに話しかけた。
この学校では、一応全ての人間は平等ということになっている。
だから、王女に話しかけることも、伯爵家の人間ではなくなった自分でもできたのだ。
「──」
イディアは、包み隠すことなく、メーレスに問いかけた。
例え不敬だとしても、真実が知りたかった。
だが──
「おやおやぁ、貴方、あのときの小娘でしたかぁ。せっかく生かしてあげたというのに〜」
「……へっ?」
メーレスから返ってきた言葉は、イディアの想像とは全く違うもとだったのだ。
「……それは……どういう……」
「そのままの意味ですわよぉ。貴方の父親は、私に協力しなかった──だから、ね」
「…………」
イディアは、ただ呆然と、何が起こったのか、分からない様子だった。
「……それって……ただ、自分のことを拒んだから……殺したって事ですか……?私の父と母は……そんなことだけで、殺されたんですか!?」
だが、少ししてイディアは激怒し、メーレスを問い詰めた。
それに対し、メーレスは──
「……おやおやぁ、『殺した』なんて、そんな下賤なことを言わないで下さいな。私は自らの手を汚したりなんかしませんわよぉ?貴方の父親と母親、使用人、全員──────『ただぁ、運が悪くてぇ、炎魔法が誤爆してぇ、運が悪く、家が全焼してぇ、運が悪く、たまたまそこに入ってきた強盗に襲われて、亡くなってしまった』それだけの話なのですからぁ」
「……っ!!」
ついに耐えきれなくなり、イディアは目の前の『悪魔』に自信が打てる最高の魔法を放つ。
──が、しかし、メーレスは、その場から一歩も動くことはなかった。
「ぐばっ!?」
そしてその代わりに倒れたのは、イディアだった。
***
「──以降私は、王女との面会はできなくなりました。私が一方的に危害を加えようとしたことになっているみたいです。……本当、笑えますよね……結局、私は何もできなかった……。先生に強くしてもらっても、勝負にすらならなかった……」
「……」
思っていたよりも暗い話だったな。
メーレスには色々と聞いてみたいことができた。
「取り敢えず、イディアさんはどうしたいですか?」
「……え?」
イディアは、俺の言葉が予想外だったかの様な顔をした。
「……どうしたい……、ですか?」
「ええ」
「それは…………もっと、ちゃんと確かめたいです……それに……もし本当にあの王女がやったなら……せめて罰を受けて欲しいです……あの女は王族だから……、多分このままじゃあ何の罰を受けることもない……」
「なるほど」
俺だったら、もしかしたら──
「イディアさんのやりたいことは大体分かりました。──ただ、一つ良いですか?」
「……はい?何でしょうか?」
これは、何となく聞こえてきたことなので自信はないのだが。
「イディアさんが『退学』になるということについても、お話しましょう」
10分後。
「──分かりました。では、これで面談は終わりにします。」
イディアの意思は聞いた。
俺は、後はやるべきことをこなすだけだ。
―第16話 完―
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