第14話:算術
第14話です。短めです。
「……そう言えば、港町の方はどうなってるんだ?あれから続報がないが……」
広く、豪華な作りの部屋で、1人の男が数人の男、女に語りかける。
「……これはまだ確定した情報ではないが、その近くにいる知り合いの話では、どうやら、未だ全く近づける様子はないらしい……」
他の男が言う。
「……そうか……」
その男の言葉を聞いて、話を持ち出した男は黙ってしまう。
(……もし、本当にそうなのであれば……、もしかすると……ここも……)
***
「皆さん、おはようございます」
「「おはようございます」」
「全員いますね。良かったです。先日はすみません。流石に疲れていたもので」
俺は今、朝のホームルーム中である。
昨日は、本当なら最後までいようとは思ったのだが、『プログラム』などの疲労が予想以上だったため、授業が終わるとすぐに寮へと戻ってしまった。
俺は取り敢えず、セイレにまたいじめられていないかを確認しつつ、出欠と授業の確認をする。
(おお、そうか、ついに今日は『算術』の通常授業の日か)
昨日はすぐに寮に帰ったが、ただ休んでいたわけではない。
ちゃんと準備はしていたし、なんなら数日前に準備は既に終わっている。
「では、1時間目と2時間目は私の『算術』なので、よろしくお願いします」
***
「……さてと」
俺は、教室の黒板を確認する。
どうやら、この世界にも黒板はちゃんとあるらしい。
「うん、使い勝手は変わらないな」
俺が元いた世界のものとほぼ変わらないようなので安心した。
俺が今いるのは、2年Cクラスの教室なのだが、その造りは大学の講堂に近い。机は段々になっていて、教室のどこ位置からも前の黒板が見えるようになっている。
「それでは、始めますので、準備をお願いします」
俺の声かけで、生徒たちは自分の席へと座る。
そして、ここでチャイムが鳴った。
「はい、では、始めたいと思います」
俺は、授業を終えて開始する。
初めて普通の授業をするので少し緊張しているが、準備をしっかりとしてきたので、なんとかなるはずだ。
「では、まず皆さんに新しい教科書を配ります」
「「?」」
生徒たちの頭の上に?マークが現れる。
それも当然だろう。新任のよくわからない教師が急に新しい教科書を配るとか言い出すんだからな。
「この学校の教科書は正直分かりにくいので、私が使っていた教科書をアレンジしました」
そう。この学校の『算術』の教科書、前にも言ったが、とにかく分かりづらい。
だから、元の世界の『算数』の教科書を少しアレンジしたものを、全員分作成した。『数学』ではなく『算数』と言ったのは、元の世界で言うところのそのレベルだからである。
ちなみに、この世界には『コピー機』がないが、それの代わりとなる魔法『コピー』が存在するので、教科書作りに困ることはなかった。
「はい、では早速ですが、配られた教科書の1ページ目を開いてください」
そして、ついに俺の初授業が始まったのだ。
そして──
「ふぅ……ようやく終わったな……」
講義は、3時間にも及んだ。
俺の担当する『算術』の授業は、今日は1時間目と2時間目だったのだが、思った以上に疲れた。
この学校では元の世界の大学のように90分授業なのだ。単純計算で3時間連続で授業をしたことになる。
だが、時間だけはあったため、かなり有意義な時間を過ごすことができたのではないだろうか。
具体的には、この3時間で元の世界の小学生中学年レベルの『算術』はできるようになっていた。
「さて……、3時間目は休憩で、4時間目は『魔術実戦』か。少し職員室で休んだら食堂に行くか……」
ー第14話 完ー
お読みいただきありがとうございます。
文字数と丁寧さを取るか、投稿頻度を取るか……。




