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不殺の賢者〜高校生は不殺主義で異世界を生きる〜  作者: 水坂鍵
第2章:魔の襲来と魔術学校
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第6話:いじめin異世界

 第6話です。





「……さてと。そろそろ授業か」


 時刻は正午。


 今日俺が担当する授業は午後からなので、今までずっと他の授業をこっそり見学していたが、問題が山積みだ。


「……食堂は……こっちか」


 昼休憩の時間なので、俺は生徒、教員が利用する学校の『食堂』へと向かった。

 ちなみに、地図は全て暗記した上、初めてここに来たときに案内してくれた通りの道を進んでいるので迷うことはない。





「……混んでるな」


 食堂は大変混雑していた。

 席は一応全生徒分と教員分あるらしい。


「……先生たちが座っているのは向こうみたいだな」

 何となく、食堂の入り口付近の端に先生方が集まっていた。

 俺は、その周辺へと行くと、さりげなく席を確保し、そのまま食堂のレジへと向かった。



「……ん?」

 俺はレジで『うどんみたいな何か』を注文し(一応名前は『うどん』となっているが、おそらく翻訳魔法でそう見えてるだけなのだろう)確保しておいた席に着くと、それを食べながら辺りを見回した。


「…………」

 何やら人だかりができていた。


「確か、あいつらは……」

 視線の先には、2年Cクラスの女子生徒1人と、見たことない生徒5人ほどが集まっていた。

 確か名前は『セイレ・アビュース』。

 クラスで1人だけ獣人だったはずだ。



「……よーう、『落ちこぼれの獣』。今日も元気そうじゃねーか」

 見たことのない生徒の内の1人がCクラスの生徒であるセイレに話しかける。


「お前みたいな『獣』には、"これ"がお似合いだぜ!!」


(……?)


 俺は一瞬、何が起きたのか、理解するまでに時間を有した。

 見たことない生徒の1人が、セイレが食べていた昼食に『何か』を大量にかけたのだ。


 その『何か』──俺がそれが何なのか理解するのに時間を有したそれは、一言で言えば『生ゴミ』だった。


(は……?)


「ほらほら、いっぱい食べろよー。お前ら『獣』にはこれがお似合いだ。ちゃんと()()()()()()()()


 見たことない生徒の1人(男子生徒)は、セイレの頭を掴むと、その『生ゴミ』が大量にかかった昼食に頭を突っ込ませたのだ。


「……う、う……!?」


「……っ」


 セイレがその生ゴミに頭を入れられているのに呆然としていた俺は、少し反応が遅れ数秒後にその場所へかけて行った。


「お前、何をしている!!」


 そして、俺はセイレの頭を押さえつけていた男子生徒の腕を強引にどけた。


「……っ!?」


 男子生徒の方は、まるで邪魔されるとは思っていなかった様子で、暫くぼーっと突っ立っている。


「……何だ、貴様」


 そして、俺の方へと視線を向けた。


「俺はこの子の担任だ。一体何をしていたんだ?」


 そう答えると、男子生徒は嗤った。


「はははっ、担任ん?ああー……、教師ごときが随分と生意気な口を聞くと思ったが、そうかお前、今日Cクラスに来たっていう『例の臨時講師』かぁ?」


「多分そうだ」


「いやぁ、それなら知らなくても仕方ないよなぁ。……だから、特別に教えてやる。俺の名前は『ズィガ・ア・レスト』。そう、この国の王族、第二王子だ!!俺がこの国で何をしようが俺の勝手なのさ、例え中立を気取っているこの魔術学校で、『獣』で()()()()()()()()()


 男子生徒は、口を大きく開け、嘲笑うように手を大きく広げる。



(要するにこのズィガという生徒は、『自分は王族だから何をしても良い』と言いたいのだろうか)


 何だそれは?

 この世界ではそれが普通だとでも言うのか?



「……セイレさん?」

「?」


 俺は、前にいる王族のことはひとまず置いておいて、後ろを振り返った。


「あなたは、いじめられているのですか?」

「…………」


 セイレは答えない。



(念のため聞いてみたが……これは確定だろうな)


 俺は再び前を向いた。


「私は、いじめは何があっても許すつもりはないです。…………ズィガだったか?例えお前がやっていたとしても同じだ」


 俺はしっかりと断言しておく。

 すると、辺りがざわつきだした。


「……まじかよ、あいつ」

「あの教師終わったな」


 そんな声がどこからか聞こえてくる。



 そしてズィガはというと──


「貴様……自分自身の立場が分かっていないようだなぁ……」


 どうやら、ズィガは非常に怒っているようだ。


(はぁ……)


 俺が内心どうしようか悩んでいると、ズィガが近づいてきた。


「……そうだなぁ、本来ならこの俺に歯向かった者は極刑にするところだがぁ、この学校はその辺が少しめんどくさいんでなぁ。俺と『魔術戦』で勝負といこうじゃねぇか」


 そしてそんなことを言い出した。


「魔術戦?ああ……魔術の模擬戦のことだったか」

「それで俺に勝ったら、今回の俺への態度は許してやるよぉ、た・だ・しぃ……もし生徒に負けるような教師がいたら……辞めることになるのは当然だよなぁ。……この学校から出た瞬間、お前の身の安全はどうなるか、わかるよなぁ」


 なるほど……この学校にいる限り、俺は一応守られているというわけだ。だから、まず俺を辞めさせて、その後俺を極刑にでもしようというわけだ。


 だが……


「その話だと、あなたが勝つのが前提みたいじゃないですか」


 俺は思ったことを口にした。


「はぁ?」


 ズィガは、何を言っているのか分からないと言わんばかりの顔でこっちを見てくる。


「おいおいぃ……お前まさかぁ、俺に勝てると思ってんのかぁ?」


 そして、そう言った。


「……正直、負けるとは思えませんが」


 俺がそう答えた瞬間、ズィガを含めほとんどの人間が嗤いだした。



「おいおいおいおいぃぃ(笑)、お前まじかよ。無知はここまでくるともはや傑作だなぁ……。俺を誰だと思っている?俺は、この魔術学校のSクラスの首席にして、このレスト王国一の魔術師『ズィガ・ア・レスト』だ!!!!てめえごとき新人教師なんぞに倒せるような男じゃないんだよ!!!!!!」


「なるほど?」


 周りの反応を見るに、ズィガが言っていることは嘘ではないようだ。



「流石に笑ったなぁ。俺は今少し気分が良い。試合で俺を楽しませられたら、場合によっては極刑だけは避けてやろう。試合は30分後だ。自身たっぷりの新人教師の実力、楽しみにしているよ。」



 そう言い残し、ズィガは再び嗤いながら食堂を後にしたのだった。



 ー第6話 完ー

 お読みいただきありがとうございます。


 ようやく一番忙しい期間が終わりそうです。


 これからは出来る限りガンガン更新していきたいと思っていますのでよろしくお願いします。


 ポイント評価、ブックマークもよろしくお願いします。

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