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不殺の賢者〜高校生は不殺主義で異世界を生きる〜  作者: 水坂鍵
第2章:魔の襲来と魔術学校
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第3話:レスト王国北西の町『レメディ』

 第3話です。本編です。




 王都から馬車に揺られること三日。

 俺は、国境を越え、レスト王国の北西部に位置する都市『レメディ』へとやってきた。



「……ようやく着いたか……気持ち悪いな……」


 俺はもともと乗り物に弱い上に、馬車の乗り心地が最悪だったこともあって、既に瀕死の状態だった。



「ヨルカワさん、ここからは歩きになります」

「あ、ああ……ようやくか……」


 俺は、一人だと間違いなく道にまようことになるだろう。

 だから今回は、しっかりとした案内役を頼んであった。


「じゃあ、行きましょう。ついてきてください」

「……頼みます」


 俺は吐きそうになるのを必死に我慢しつつ、案内役の男についていったのだった。




           *




 レメディは、レスト王国の北西部に位置し、レスト王国の中でもかなりの規模を誇っている。


 町ごと城壁のようなもので覆われており、『海』の向こうからの侵略に対抗するための対策が施されているのだ。



 また、レメディを含め、この世界全体に、『ハント王国国立魔術学校』が存在する。


 この『魔術学校』は、基本誰でも入学することができ、中立的な教育機関としても人気の高い場所である。



「……ここが『魔術学校』か……なんか博物館みたいだな」

 俺は、さっそく『魔術学校』へと足を運んでいた。


 なぜなら──


「あとですね、皆さんには『魔術学校』の教員専用の寮でしばらく生活していただくことになります。いろいろあって一般の宿屋は使わないでほしいためです。自由時間には自由に外に出てもらってかまいませんが、寝るときは必ず学校の寮を使うようにおねがいいたします」


 と、王女様が言っていたためだ。


「……さあ、頑張って働くとするか」




           *




 俺は、まず校長からありがたいお話をいただいた。

 その後、俺が何の教科ならば教員として働けるかを試すための試験を行った。


 その結果、俺は


・『異世界学』

 これは、英雄全員が担当する教科だが、初めの内は混乱を避けるため行わない。つまり、初めの内は異世界から来たことを黙っておく必要があるということだ。


・『魔術実戦』

 これも、英雄全員が担当する。


・『算術』

 そして、俺はもともと数学が得意だったこともあって、試験の結果算術を担当することになったわけだ。


 その後寮の自身の部屋に着くと早速荷物を片付け、授業に向けて準備を着々と進めた。



「……今日と明日はたしか自由だったな、レメディの観光でもするか」

 そして、そんな感じで、なんとなく俺はレメディの観光をすることにした。




 次の日。


「……すごいな」


 レメディは、言わば大都市といったところだろう。

 人の数だけでみれば、はっきり言って王都よりも多いレベルだ。


 流石はレスト王国の大都市なだけはある。



「おっ」

 俺は、道を通っていくとたまたま喫茶店を見つけたので、立ち寄った。


 店内は清潔にされており、なかなか感じの良い店だった。


(……あっ……そう言えば、今回は道案内をつけてなかったな……果たして俺は寮まで戻れるのか……?)


 だんだんと自分を信用できなくなっていた俺だが、忘れてしまったものは仕方がないため、思考を切り替えたのだった。




           *




 結論から言えば、俺はまた迷った。

 明日からの準備をして昼の2時くらいから外へ出かけたわけだが、喫茶店に寄ったあと寮にたどり着けないまま時間が経過していた。


(……まずいな。もう今度から絶対に一人で出かけるのはやめよう)


「ん?」


 俺は、近くにいる人から情報を引き出してようやく寮にたどり着いたのだが、寮に向かう学校の敷地内で、違和感を感じていた。


(……?)


 俺の視線の先には、少女たちの姿があった。


 数人の少女が、一人の少女を不自然にどこかへ連れて行こうとしている。


(……あまり仲良くは見えないが……一応見に行ってみるか。学校の敷地内ならちゃんと把握したし、迷わないだろう)


 俺は、その少女たちの後ろをこっそりついていく。


 あの少女たちは俺たちの世界で言うところの中学生くらいだろうか?もしかしたら高校生くらいなのかもしれないが。

 俺は相手の年齢がどれくらいかなんて分からないので考えるのをやめた。


 側から見たら完全にストーカーのような気もするが、俺は一応この学校の非常勤講師になったんだ。トラブルを見張るのは問題ないだろう。



 少女たちは、1人の少女を囲ってそのまま学校の校舎と校舎の間の部分(路地裏のような場所)へと進んでいく。


(……この先は地図上だと行き止まりだが……これはもしや……)



「おらぁぁぁ死ねぇやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」


 その瞬間、少女が囲まれた少女を蹴り倒した。


「はあっ、はあっ!!!おらぁぁ死ねぇ!!」


 少女たちは、次々と少女を蹴り始めたのだ。



「……おい、お前たち何してる!暴力を振るっているならさっさと止めろ!」


 俺はわざと強めに叫んだ。


「……あ゛っ!?……何だてめぇ!何の権利があって言ってんだこら゛ぁ!!!!!!!」


 少女は、相変わらずの態度で、半分逆ギレしていた。


「俺はここの非常勤講師だ。担当者からも、生徒に何かあれば頼むと言われている」


「あ゛?非常勤講師い?見たことねぇ顔だなてめぇ、ちょっとツラかせやこら!!」


「…………」


(この学校、柄悪くないか?)


 俺はさりげなく殴られていた生徒を回復させつつ、全員が彼女から離れるのを確認した。




           *




 ──(おさむ)は、少女たちに近くの目立たないスペースに連れられた。


「で、てめぇ一体誰なんだ?見たことねぇ顔だけどよー、随分若いが新卒か何かかぁ?そんな奴が私に指図してんじゃねーよ!!!!!!!!」


 リーダー格と思われる少女は、平に全力の蹴りをお見舞いした。



 だが……


「一応、俺は一時的にここの教師だ。任務はしっかりとこなすつもりだ」

「なっ……!?」


 少女の顔が驚愕へと変わった。


「……てめぇ……何者だ……?」


 (おさむ)は、少女の全力の蹴りを()()()()()()()()()()()()そのまま受けた。


 だが、(おさむ)の体には傷一つなかった。

 それどころか、驚いて無防備になっていた少女の脚を払って転ばせた。


 それを見て、他の少女も動揺する。


(おさむ)だ。訳あって明日からこの学校で非常勤講師として授業することになる。君の担当になるのかは分からないが、よろしく頼む」


 平は、特に気にすることもなく平然とそう言い放つ。


「……」


「いじめはだめだからな。俺は偉そうに言える立場ではないのかもしれないが、それは許容できない。今後そのようなことがあれば容赦はしない」


「……っ」

「……じゃあ、今日はもう遅いから、早く寮に帰れ」

 そう言い残して、平は立ち去った。




           *




(……こんな感じで良かったのだろうか?)


 俺はまだ学生という身分であり、本来教卓に立つ立場ではない。

 しかし、今回このような任務が与えられた以上、それなりにちゃんとしておかなければならない。


「……さて、この先どうなるのやら……」


 頭が痛くなる。



 ー第3話 完ー

 お読みいただきありがとうございます。


 先週少しスケジュールが合ったと思ったら今週は全然だめでしたね……。


 書くのが早いわけではないので、なかなか上手く更新できませんが、気長に待っていてもらえると嬉しいです。(少し更新が遅れたとしても、別に書く気がなくなったというわけではないので……)


 いつもありがとうございます。

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