第2話:残された者たち
第2章の2話目です。
平が宿を出て少し経ち、城へと案内を済ませたミルスが戻ってくると、
「……どうやら、これはチャンスかもしれないわね」
立山がそう切り出した。
「チャンス?何の?」
「これを見て」
龍太郎が質問し、それに立山が答えた。
立山は、徐に懐から"紙"を取り出した。
「これをやるチャンスだとは思わない?」
「おお、それか!」
その紙には、この世界の最難関ダンジョンについての情報が書かれていた。
「夜川君がしばらく帰らないなら、今しかないと思うわ」
立山は、さらにもう一つの紙を取り出す。
「そしてこれが、そのダンジョンを利用するための手順。前にも言ったと思うけど、このダンジョンには、多くの武器やレベル上げのための魔物がいるとされているわ。」
「…………おう」
「三河君……覚えていなかったみたいね……まぁ、良いわ。良い事だらけのようなこのダンジョンだけど、問題が一つあるわ」
「問題ですか?」
「ええ。これこそ、夜川君に教えなかった理由──このダンジョンがとてつもなく危険だと言うことよ」
立山は続ける。
「まさに、ハイリスク・ハイリターン。正直、話を聞く限りだと、私たち異世界の英雄ですら十分命の危険があるレベルだそうね。……でも、夜川君に追いつくためにはこうするしかないわ」
愛花と龍太郎が頷く。
「……というわけだから、ミルスさんとルック君、リーフちゃんには夜川君が帰ってきたときに、事情を説明してほしいと思っています。それでも良いでしょうか?」
立山は、ミルスたちに確認する。
「……オサム殿に怒られてしまいそうですね。ですが、そちらの事情は良く理解しています。気をつけて行ってきて下さい。帰ってこないとオサム殿は悲しむでしょうから」
ミルスは、少し悩みつつも了承した。
ルック、リーフも同じようだった。
「ありがとう。それじゃあ、早速行くわ!2人とも、準備をして。1時間後には出発するわよ!!」
*
立山、愛花、龍太郎が向かったダンジョンは、通称『死への切符』と呼ばれている。
そのダンジョンに入るということは、大抵の場合『死』を意味し、普通そのような場所に自分から入るような愚かな人間はいない。
だがそれゆえに、未知の武器など、様々な報酬があるとされているわけだ。
とは言え、そのダンジョンに入ることは普通できない。
冒険者ギルドでも、その地区に立ち寄ることは認められていないのだ。
理由は単純、危険過ぎるからである。
そのため、このダンジョンに入るには特殊な方法で入る必要がある。
その特殊な方法とは、『裏ギルド』である。
裏ギルドとは、名前の通り表には出せないような案件を扱っているギルドである。略奪、薬物、などなど、数えたらきりがない。
そんな場所にいけば、ダンジョンに入ることができる。
しかし、そもそも裏ギルド自体がとても危険であり、仲間がそんな場所に行くのを平は良しとしないだろう。
だから、立山は平がいないこのタイミングで実行に移すことに決めたのだった。
*
「……ここが裏ギルド…………」
愛花が呟く。
「……さっさと済ませましょう」
立山は、2人を連れて奥へと進んでいく。
──数十分後。
「じゃあ、行きましょうか」
立山たちは、割とあっさりダンジョンに行く手続きを済ませることに成功した。
カツアゲのような者もいたが、そのくらい異世界の英雄にはどうとでもない存在であった。
「ダンジョンですか……少し緊張します……」
「慎重に進んでいきましょう。そうすれば私たちのレベルなら何とかなるはずです」
そして、歩くこと20分。
裏ギルド専用の馬車が待機していた。
「確か馬車で2日だったわね。少しかかるけれど、我慢ね」
「そうですね。全力で酔いを我慢します」
*
目の前には、いかにもな門。
これからの過酷な戦いを予感させた。
「食料は持ったわね。さあ、行くわよ!!」
「「おー!!」」
ー第2話 完ー
お読みいただきありがとうございます。
次回は番外編2を予定しております。
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