第1話:英雄招集
第2章の第1話です。
6人のランクS英雄が、王城へとやってきていた。
6人は、王城の広間に集められ、王女様が到着するのを待っていた。
「……そう言えば、久しぶりだな、翔」
俺は、友人の中田翔に話しかける。
「おうー、たしかにそうだなー。この世界に来て何日経ったんだっけか」
「大体1週間だな。なんか密度が高くてもう1ヶ月ぐらい経った気がするが……」
「そうだなー」
「皆さん、お待たせいたしました!!」
俺と翔が話していると、王女様が到着した。
「さて、皆様に集まっていただいたのは、ほかでもありません。」
そして、王女様は到着するとすぐさま、俺たち6人の前でそう切り出した。
*
時は少し遡る。
朝、いつもどおり王都の冒険者ギルドの宿で朝食を食べていると、突然何かが鳴った。
「……?」
リラックスしているタイミングで突然スマホの地震速報が鳴ったときのように驚いたわけだが、それはもちろん地震速報ではなく──
「通信魔法?」
「はい。私は王城の通信魔法使いです。王女様から異世界の英雄でかつSランクである6名を招集せよとの命令を受けました」
「……?Sランクの6人だけなのか。じゃあ俺だけ行けば良いのか?」
「はい。今回、かなり危険な任務がある、とのことなので、他の方は絶対に連れてこないよう言われています」
そんなにか……。
「……分かった。朝食を食べ終わったらすぐに向かう」
「お待ちしております」
という感じで、通信魔法が終了した。
「あー、そういうわけで悪いんだが俺はちょっと王城まで行ってくる。今日は休暇だからみんな好きに過ごしてくれ。もしかしたら今日中には戻れないかもしれないが、そこはみんなで好きになんとかしてくれ。じゃあ、行ってくる」
「気を付けて下さい」
「よくわかんねぇけど、気を付けろよ」
「道間違えないで下さいね!!!!」
「…………」
愛花の言葉で途端に不安になる。
「オサム殿……私が王城の近くまで案内しますのでついてきて下さい」
「すまない……」
結局、ミルスさんが俺を無事王城まで送り届けてくれた。
*
そして、冒頭へ至る。
「皆さんに集まっていただいた理由、それは、魔物の大発生をなんとかしてもらうためです!!」
「魔物の大発生?何か面白そうじゃねーか!」
そう言ったのは、『Sランク・暗殺者』の高野英斗だ。この世界に来た初日に不良グループのリーダーの石川を殴り倒したやつだ。
「……あんた、不謹慎でしょ……」
高野の発言に対してそう呟いたのは、『Sランク・水の勇者』の前田水樹だ。
「はぁ?なめてんのか、水樹ぃ!?」
「……もうしらないわ」
「話を続けてよろしいでしょうか?」
王女様がまた話し始めた。
「この頃、この世界における人間の領域での魔物の出現が相次いでいます。これまでは冒険者ギルドの活躍などにより、かろうじて魔物の侵略を抑えていました。しかし、先日、悲劇は起こりました」
ここで、王女様は少し間を開けた。
6人の意識が必然的に王女へと向いた。
「一昨日、人類の領域の最北端に位置する国家『スタブ王国』の中でも最も海に近い都市である港町『リーク』が、魔物の大群によって攻められ、滅ぼされました」
「なっ……」
辺りは、「ざわっ」という効果音が流れそうな雰囲気になった。
「そして、その結果、町は魔物によって占拠され、海に面した地区の住民、観光客合わせて少なくとも1000人が死亡したとのことです。我が国としても、この事態を見過ごすことはできません」
*
「──以上です。何か質問など、ございますでしょうか?」
一通りの説明が終わった。
王女様は、本当に簡単に言えば俺たちに魔物を撃退してもらいたいらしい。
今回俺たち6人には、沿岸部(人間の領域は北と西が海に面しており、そのうち北の沿岸部は、魔人の領域が近く、そこから魔物が流れてくることも珍しくない)の国に1人ずつ派遣され、しばらくの間警備をして欲しいとのことだ。
ちなみに、今回俺たちは事情により、ハント王国が各国で開講している『魔術学校』の非常勤講師として各国へと渡るらしい。
その事情というのは、どうも俺たちの戸籍がないことや英雄を認めない人々が一定数いることが原因らしい。ハント王国が運営する魔術学校なら異世界の英雄を守ることができるからだ。
細かいことは王女様に任せるしかないだろう。
「ちょっといいでしょうか?」
ここで、学級委員長で『ランクS・知の勇者』である"秀坂 優一"が手を上げた。
「はい、ユキサカ様、何でしょうか?」
「非常勤講師って……、僕たちは教員免許なんて持っていないんですが……」
「あっ、その点は大丈夫です。あくまで形式上なので、授業の際は好きなことでも話していただいて構いません。むしろ、異世界の進んだ学問や技術など、そのような話をしていただけるとありがたいです」
「なるほど…… ?」
*
「では、他に質問などございませんでしょうか?……ないようですので、早速派遣先の国を決めたいと思います。……これは正直……治安などが良い国とあまり良くない国があるのは仕方のないことですので、くじ引きで決めたいと思います」
そう言って、王女様は俺たちにくじを引かせた。
結果──
「えーと……俺は……」
俺のくじには、『レスト王国・首都レメディ』と書かれていた。
「レメディか、当たり前だが聞いたことない場所だな」
「ふーん、俺は『ケース帝国・帝都』?らしいぜ。知らんけど」
「よく分からないが頑張ろうな」
「おーう」
「お仲間の方には、先程通信魔法で伝えましたので、すぐさま各国へと向かっていただきたいと思いますがよろしいですか?」
急な話だが……、困っている人がいるのであれば仕方がないか。
「では、早速手配した馬車の元まで案内いたします」
こうして俺たちは、異世界に来て1週間足らずで、国を渡ることになったのだった。
ー第1話 完ー
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