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不殺の賢者〜高校生は不殺主義で異世界を生きる〜  作者: 水坂鍵
第2章:魔の襲来と魔術学校
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プロローグ:港町陥落

お待たせ致しました。(待っていた人がいるかはさておき……)


第2章のプロローグです。





 この世界──夜川平(よるかわおさむ)が召喚された世界には、7つの"領域"が存在する。



 "人類の領域"は、その7つの領域からなる世界の東南に広がっていて、その北に海を挟んで"魔人の領域"が、西に海を挟んで獣人の領域が位置している。


 人類は、他の種族よりも優れた技術力を持っており、もともとの身体能力の差を覆すほどの力を持っているが故に、この世界で広大な領域を獲得することができたのだ。




 ──その人類の領域の最も北に、"スタブ王国"の港町"リーク"は位置している。



「はぁ……最近、魔物多いな……」


 その"リーク"の冒険者ギルドで、受付の1人が、手元の資料を見てそう呟いた。


 この港町リークには、()()()()()()()魔物がやってくる。


 魔物の種類は様々で、主にリーク支部の冒険者は、海の向こうから来る魔物を討伐するか、もしくは海とは反対側の町から少し離れた山に魔物を討伐しに行く。


 また、海で討伐するか山で討伐するかは基本冒険者の自由であるのだが、この港町リークには『強制依頼』の制度が存在している。


 『強制依頼』とは、町が危険な状態にあると冒険者ギルドが判断した場合に、特例としてランクに関係なく全ての冒険者に依頼を受けてもらうというシステムで、依頼を受けなかった場合、罰金や冒険者としての資格剥奪などの処置がなされる。



 そんな『強制依頼』だが、もちろん滅多に出されることはない。何故なら、たくさん出されるとしたら、それだけ町が危険に晒されているということになってしまうからである。実際、この地がリークという名前の町になってから『強制依頼』が出されたことは1回しかない。だから、実質『強制依頼』というのはあってないようなものだった。


 ──この日までは。





            *





 時刻は、世界時間の午前11時。


「……ん?」


 リークの、海を見渡せる観光名所の展望台の上で誰かが呟いた。


 展望台は、町から少し離れた沿岸部にある。

 沿岸部には、魔物よけとして壁のようなものがあり、町からではそこまで海を見ることができないため、壁の外にある展望台が観光名所となっている。



「……なあ、なんか向こうに黒い点みたいのが集まってるように見えないか?」


「えっ?うーん……、あっ、ほんとだ、あそこらへんなんか見えるな。何だろ?」


「船……じゃないよな。黒い点があるように見えてるだけか?」


「うーん……、まぁ、気にしてもしょうがないべ」


「ま、そうだな。そろそろ飯食いに行こうぜ」


 そう言って、2人組は展望台から去っていった。





 ──それから、30分ほど経ったころ。


 定期的に海の向こうからの魔物を監視する1人のギルド職員が、ギルドへと入ってきた。



「あれ、ずいぶん早いけど何かあったの?」


 入ってきたギルド職員に、他のギルド職員が話しかける。


「あ、ああ……、念のため連絡しておこうと思ってな。まぁ、特に問題はないとは思うんだが、一応」


「連絡?強力な魔物でも出たの?」


「いや、そういうんじゃないんだが……、ちょっと気になることがあってな。さっき(展望台)から海の方を監視してたんだが、ちょっと妙なものを見ちまったんだ。」


「?」


()()()だ。それがたくさん海の向こう側の1箇所に見えた。まぁ、多分錯覚なんじゃないかとは思うんだが、もし海に悪い異変が起きていたとしたら大変だからな。念のためだ、念のため」


「ふーん……」




            *




 時刻は午後12時を経過した。

 今は、ちょうど昼時で、展望台に人影はない。


 そのため、誰も()()()()()()できなかった。



 もう、全てが手遅れとなっていたのだ。





「キャアッーーーーーーー!!!!??!?!?」


 突然、リークの町に悲鳴が響いた。



「……?何かあったのか?」


 その悲鳴をたまたま近くにいた冒険者ギルドリーク支部の職員が耳にした。



「ぐぁぁー!?!?」

「や、やめろっ、来るなァァーーー!!!!」



 その後、次々と町に悲鳴が鳴り響く。


(……これはただ事じゃねーな)

 

 その職員は、悲鳴の聴こえる方へと走っていく。もしも何か甚大なトラブルが起きていた場合、冒険者ギルドへと報告するためだ。



 しかし、近くまで行くと、職員は立ち止まった。


「は?」


 職員の目の前に広がっていたのは、トラブルではなかった。


 目の前にいたのは、体長5mを超えるであろう『化け物』だった。



「うそ……だろ……」


「ぎゃあああおえなまなさななたあ!?!??」


 職員の目の前の『化け物』は、意味不明な鳴き声?をあげると、自身の持つ触手のような物を天高く上げた。

 そして、その触手の先に、何か『球』のような物を出現させる。



「……おいおい……まさか……」


 職員は、とっさにその場から逃げ出した。



 職員が逃げ出してから数秒後、


「ぎゃばばばばなかなかなささささ!!!!」


 化け物の触手の先から、『球』が放たれた。





 その数分後。


 冒険者ギルドリーク支部に、一報が届く。


「……報告……します!リークの北地区がっ……謎の魔物たちによって……蹂躙されています!!」




           *




 港町リークは、綺麗な海を見るために毎年大勢の観光客が訪れる有名な観光地である。


 とは言っても、海の周辺は魔物がやってくるため、展望台に登ってみることにはなるのだが。



 そして今日、この町はかつてない程の危機に直面した。海の向こうから、強さはバラバラだが数えきれない程の魔物が押し寄せてきたのだ。


 ちょうど昼時で展望台に人がおらず、町の住民や観光客が気付くことができなかった。


 結果、今日この日はリークにとって最悪の日となった。




「くそがぁぁーーーーー!!!!!!!!死ねぇぇぇ!!!!!!」


 冒険者だろうか。

 1人の男が魔物に立ち向かう。


 しかし……


「ぐぁぁ!」


 男は、いとも簡単に吹き飛ばされてしまった。



(……くそ……町の人の避難は終わったのか……?)



「おいっ!避難が完了したぞ、早く撤退しろ!!!」


 男の後ろから声が聞こえた。

 それを聞くと、男はすぐさま撤退する。

 内心、絶対に勝てないと分かっていたからだ。


「くそ……」




 町の住民の避難が終わるころには、町は魔物たちに占領されていた。


 もっとも海に近い北地区は、住民のほぼ全員が死亡、行方不明となっていたが、海から比較的遠い西、東、南地区はほぼ全員逃げることができたようだ。死者は合わせて千人を超えていると推測された。



 この日の出来事は、のちに『港町の陥落』としてこの世界に知れ渡ることになる。




 ープロローグ 完ー

お読みいただきありがとうございます。


次回から、いよいよ第2章の本編がスタートします。なるべく早く更新していきたいと思っていますので、よろしくお願いします。

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