第18話:殺せない賢者、新メンバーとの初依頼をこなす①
第18話です。
前回は前半かなり暗い雰囲気でしたが、この作品においてそんなことはこれからほぼないと思います。
さて……、時刻は7時45分。
俺たち全員は食堂で朝食を取っていた。
「さてと。今日からまた本格的に活動していくわけだが、何をすべきかはあまり良くわからないのが現状だな。レベルアップが目的だから討伐系の依頼を受けることにはなるだろうけれど、みんなから何かあるか?」
「そうですねー、私は前回は3日の依頼でしたけどできれば今回は1日で終わるやつが良いですー。疲れますしーーー」
愛花がうなだれながら言う。
「ああ、そうだな。それについては俺もそう思っていた。ただ……、王女様がなるべく王都から離れないように言っていた。1日で魔物の討伐をしたいなら王都から別の町に拠点を移さないと少し厳しそうだ」
「あーー……」
これは割と大事なことだ。
みんながレベルアップしてきた段階でその都度何度か王城へと呼ぶからなるべく王都を拠点にしてほしいと王女様が言っていた。
一応電話の代わりのような魔法を王城の一部の魔法使いが使えるようで、通信に関しては問題ないが、あまりにも遠すぎるところにいると届かないらしい。今整備しているらしいから、その内届くようになるかもしれない。
結局、今のところは王都を拠点にするのが一番良いということだ。
「まぁ、一応1日で終わる依頼もあるか聞いてみるつもりだ」
「そうして下さい」
「他には何かあるか?」
俺が愛花以外に聞くと、昨日入ったばかりの兄が手を挙げた。
「あ、すみません……。僕たちは"役立たずの職"なので、戦闘は……。……僕はおとりでもなんでもやりますからリーフは勘弁してください!!」
兄であるルックがそんなことを言ってきた。
「役立たずの職?何だそれは?」
俺が良く分からずに首を傾げていると、それを察したミルスさんが俺に耳打ちしてきた。
「オサム殿、"役立たずの職"とは、一般的に戦闘や日常生活などのあらゆる面で何の役にも立たないと言われている職業のことです。普通はランクDとEの職業を指します。具体的には村人や術師、治療師などの職業のことです」
なるほど。確かに2人は一般的には"役立たずの職"というわけか。
兄は術師で、妹は治療師。職業の名前だけ聞くとなんか強そうなんだけどな。実際はそんなことないのか……?
「ああ、そういうことなら安心してくれ。別に戦闘要員としてメンバーに入れたわけじゃないからな。お前たち兄妹は後ろにいてくれれば別に良い。後、おとりになんてしない。俺はそこまで酷い人間じゃない……と思う」
「……すみません!!」
ルックが泣きながら謝ってきた。
いや別に謝る必要は全くないんだが……。
「……まぁ、だから取り敢えず安心しろ。ほら、愛花さん、後は頼んだ」
「えっ」
俺は、愛花様に後のことを丸投げした。
これぞ適材適所というやつである。
*
「よしっ、じゃあこれからギルドへ向かうぞ。みんなトイレには行ったか?忘れ物はないか?」
「平くんだんだんとリーダー(笑)っぽくなってきましたね。」
「おい(笑)ってなんだ。」
「知りませんー♪」
「はぁ……、まぁ良い。みんな用意できたなら行くぞ」
俺が歩きだすと、ルックたちやミルスさんも含め計6人がついてきた。
パーティーっぽくなってきたな。
ギルドの宿とギルドは冒険者専用通路で繋がっていて、冒険者のみが宿へ入れるようになっている。
通路はそこまで長くないので、少し歩くとすぐにギルドの1階へと到着した。
受付は2階なので、そのまま階段で2階へと上がる。
俺が受付の前にたどり着くと、ちょうど受付の奥から人が出てきた。
「あっ、オサムさん!!待ってましたよ!」
偶然にも出てきたのは俺たちのパーティの担当であるミレイアさんだった。
「ミレイアさん。早速依頼の受注お願いできますか?」
「はい。……あっ!もしかしてメンバー増えたんですか?」
ミレイアさんが3人を見ている。
「新しく3人加わりました。確か新しくパーティメンバーを加えることはすぐできるんでしたよね?」
「はい!今登録してしまいますね。じゃあ3人に簡単な質問をしますので」
──数分後。
「はいっ、これで登録完了です」
「じゃあ、依頼の受注をしたいんですが、できれば日帰りの依頼とかありますか?」
「日帰りですか?あるにはありますが……、あまり人気のない依頼が多いですよ?一応、私が用意した依頼の中に一つだけあります。──これです」
ミレイアさんが俺に渡してくれた紙には『大毒ネズミの討伐』と書かれていた。
(……これって俺みたいなランクG冒険者が受けて良い依頼なのか?毒とかいかにもヤバそうなんだが……。)
俺は依頼書をさらに詳しく読んでいく。
──
依頼名:大毒ネズミの討伐
依頼のランク:D
報酬:一体につき1000メイ
場所:王都地下下水道
期間:1日〜5日
依頼者:王都水道局
備考:大毒ネズミは、一匹一匹が大きくかつ猛毒を持っています。ランクDの冒険者様でも、十分に気をつけて下さい。
──
「ランクD……?確か自分たちのランクより一つ上までしか受けられないんじゃ?」
「……?はい、そうです。オサムさんたちのパーティは現在ランクEなのでランクDの依頼まで受けることが可能ですよ?」
「……俺たちって最低ランクのGじゃ?」
俺がミレイアさんにそう言うと、ミレイアさんは"しまった"とでも言いだけな表情でこう言った。
「すみません!ランクが上がったことを伝え忘れていました!前回ゴブリンを前例のないほど狩ったことによって特例としてランクEまで2ランク上がったんです!!」
「なるほど……」
「ですからオサムさんのパーティは現在ランクEです。もう初心者と思われる心配はありませんよ!」
そうだったのか……。
知らぬ間に脱初心者をしていたとは。
「そういうことなら確かにこの依頼も受注できるが……、でも実力的に大丈夫なのか?ランクDでも十分に気をつけてと書いてあるんだが……。」
「あっ、それについては心配いりません。確かに普通のランクDなら注意する必要があるんですけど、皆さんなら大丈夫です。一匹一匹の敵の強さは前回のゴブリンと同じくらいですから。ただゴブリンより数がいるというだけで。皆さんは人数も増えましたし大丈夫でしょう」
ルックたちには戦わせる予定はないんだが……、まぁミルスさんもいるし何とかなるか。
「分かった。ならその依頼を受注する。みんなはそれで良いか?」
俺はパーティメンバー全員に確認をとる。
「おけでーす」
全員からのOKがでたので、俺は依頼を受注した。
「よし、じゃあ行くか」
俺たちは冒険者ギルドを後にする。
「地図はもちろんオサムさん以外でお願いします」
「分かってるよ……」
*
〜冒険者ギルドの2階奥にて〜
「例のパーティに大毒ネズミの依頼をだしたんだってな……」
「はい。彼らなら問題ないでしょう」
「おいおい……、確かにあいつらはランクEを超える実力を持っている。だが、"あれ"を忘れたのか?この依頼がいつも余ってる原因になってる"あれ"を!!」
「あれ?……あっ」
「お前本当に忘れてたのか!?まずいぞ……、いくらあいつらが強くても"あれ"を倒すのは……、今すぐ帰ってこさせろ!」
「えっと……もう出発してしばらく経つので……ちょうど着いたころかと……。」
「おいいいいいいいいいっ!!!!!」
「きっと彼らなら何とかしてくれますよ。きっと。多分……」
ー第18話 完ー
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