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プロローグ:水都ルーア

 第4章始まります。



 人間の領域の中央に位置する『ハント王国』のすぐ左隣。

 『レスト王国』の対角線上にあるこの国は、水都ルーアにある大教会を中心として成り立っている。


 大教会は、この世界における人間族の唯一の宗教である、『属性神教』のものであり、人々は日々各属性神とその王である『属性神ミナ』へ祈りを捧げている。


 国の名前(正式名称)は、『神聖ミナ属性神教立王国』と言い、略称として、『神聖ミナ教国』という名称が使われている。


 そんな国に、ある一人の異世界の英雄が派遣されていた。


「……はぁ……正直めんどくさいわね……」


 彼女の名は前田水樹(まえだみずき)

 異世界の英雄として、(おさむ)と共に召喚された者の一人。

 そして彼女は、人間の領域を守るためハント王国から派遣されたSランク英雄である。


「私こういうのあまり向いてないんだけどな……」


 そんな彼女は、今、ハント王国国立魔術学校の『神聖ミナ教国校』にて生活している。

 神聖ミナ帝国は、異世界の英雄にはそれほど抵抗がないため、自由に動き回ることはできるのだが、一応非常勤講師として派遣されている以上、それなりの仕事をしなければならない。


「……もうすぐ夏休みかー。この学校、教員もしっかり休めるらしいし、ようやく休めるわー」


(疲れていてどこにも行きたくないけど、せっかくならば仲の良いクラスメートに会いにいきたい気もするわ)


「……どうしようかな……」




         ***




 属性神教大教会は、首都ルーアの中心部に位置する。

 その中で、定例会議が行われていた。


「──これより、定例会議を始めたいと思います。まず、定期報告をお願いします。では最初に、ミズキさん、お願いします」


 司会進行は、大教会の神官の一人だ。



「はい。報告させていただきます」

 合図に合わせて、前田水樹(まえだみずき)は立ち上がる。

 彼女は、この会議に定期的に参加することになっている。

 普段は魔術学校にいるが、このときだけは大教会へとやってくるのだ。


「最近、港周辺での魔物出現率が激増しています。皆さんご存じの通り、ついこの間、レスト王国が500を超える災害級の魔物の大群によって襲われました。幸い、そこに派遣されたSランク英雄夜川平(よるかわおさむ)によって脅威は退けられましたが、あまりに突発的であり、夜川さんがいなければ間違いなく甚大な被害を受けていたでしょう」


 彼女も含め、神官たちは深刻な表情を見せた。


「私もSランク英雄であり、私ならある程度は対処可能ですが、やはり国としても警戒に当たらなければならない状況になってきているのは事実です。特に、住民の避難経路の確保や、沿岸部の人員をより一層増やすことが必要だと思います。私からは以上です」


「ありがとうございます。では、警備隊からもお願いします」


「はい。どうもこの頃、社会不安からか、この国での犯罪率が急増しています。これも何か手を打つべきかと。またどうやら、秘密組織が絡んでいるという情報もあります。我々としては、こちらの捜査を続けており、結果が出次第、もう一度発表致します」


「わかりました。では、次は──」


 数人の神官らが報告をする。


「では、これにて定例会議は以上となります。この後、国家審議となりますので、大臣、神官は残ってください」



 会議が終了すると、水樹は会議室を出た。


「……はぁ……私、ああやって集まるのほんと苦手だわー……」


(そういえば、毎回国家審議ってやつやってるけど、一体何してるのか……ちょっと聞いてみようかしら)


 水樹は、ドアの前に立って中の会話を聞こうとする。


 しかし、防音性が高いようで、会話は聞こえない。


(ちぇっ……)




          ***




「……さて、ここで皆さんに重要な情報があります。どうやら最近、()()()()()()()が多数確認されているようです」


 一番位の高い人物が、静まり返った会議室にて発言する。

 彼女こそが、この国の重要人物。

 属性神教教皇、アリス・ミナである。



「何……?どういうことだ?何が起こっている?」

「……誰かたまたま仕組みに気づいたのか?いや、そうだとしても多数確認されるのはおかしい」

「何が起こっているのですか、教皇様!?」

 神官と大臣たちが、アリスの言葉に声を荒げる。


「……落ち着き下さい」

 それを、アリスがなだめる。


「どうやら今回。ある異世界の英雄が絡んでいるのではないかとの報告がありました」


「異世界の英雄、ですか?この前ハント王国が召喚した者たちのことですかな?」

 大臣の一人がアリスに質問した。


「はい。報告によれば、今回召喚された異世界の英雄の中に、一人『賢者』がいたとのことです」


「……なんですと?ということは……」


「ええ。この賢者が、魔法の直接発動を広めているとみて間違いないでしょう」


 この世界における『賢者』とは、すなわち魔法使いの頂点的存在である。

 ごく少数の教会の人間しか知りえない本来の魔法構築を、賢者ならば知ることができるかもしれない。


「現に、言い伝えでは、約150年前に召喚された『賢者』も、魔法構築のすべてを理解していたとのことですから」


「……ならば、()()()()()()()()、その者をどうにかしなければなりませんな!!して、その者が誰なのか、わかっているのですか?」


「はい。ランクSの英雄については、ミズキさんから情報提供されました」

 大臣や神官たちに、資料が配られた。



「その英雄の名は──オサム・ヨルカワです。レスト王国を救った英雄と、我々は対峙することになります」





 -プロローグ 完-


 お読みいただきありがとうございます。


 ブックマーク等、ありがとうございます。

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