第10話:殺せない賢者、感謝される。
遅くなりました。ついに第10話です。
短めです。
「さてと。回復魔法は使ったことがないが……、ステータスボードに表示されているのだから発動できるはずだ」
どの魔法を使うべきか。
「ステータス・オープン」
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<使用可能魔法一覧(一部):回復属性>
・ヒール/魔力消費:5/サポート
・スーパーヒール/魔力消費:10/サポート
・ハイパーヒール/魔力消費:100/サポート
・フルヒール/魔力消費:1000/サポート
・解毒/魔力消費:10/サポート
・解毒(強)/魔力消費:100/サポート
・神の治癒(LV.1)/魔力消費:0/固有魔法
・神の解毒(LV.1)/魔力消費:0/固有魔法
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早くしないとミルスさんが危ない。
俺はミルスさんの方を見た。
「マズいな、腹部から大量に出血している」
早くしないと死ぬ。
「魔法を選んでいる暇はないな」
ここは俺ができる最高の回復魔法を使おう。
もし直しきれなかったら困るからな。
「よし、"神の治癒"!」
──ドクン
「う゛ぐっ、はっ!?」
俺はありえないほどの頭痛を覚え、その場に座り込んだ。
何だこれ……!?
何が起こった……
俺は回復魔法を使っただけのはず……
俺は数秒の間動くことができなかった。
このまま自分は死ぬのではないか?
そんなことを思い始める。
しかし──
「……?」
数秒たったとき、気付くと頭痛は嘘のように消えていた。
「何だったんだ……、いや、それよりもミルスさんはどうなった?」
「私の名を呼んだか?」
「あっ、治ったのか」
俺の前には、さっきまで血を流していた人とは思えない健康そのもののミルスさんが起き上がっていた。
「ああ、良かった。治ったみたいだな。治癒魔法を使ったらあんな事になるとかどっかに書いておいて欲しいんだが……」
「私は確かさっき腹を切られたはずなんだが…….、貴殿が私を治療してくれたのか?」
「ああ、まぁそうだが」
「感謝してもしきれない。貴殿が近くを通りかからなければ私は今頃死んでいたかもしれない」
「いや、気にするな」
ほぼ最初から見てたんだけどな。
申し訳ないが、言いづらいのでミルスさんが参戦してきたあたりでここにやってきたことにしておこう。
「あっ、それよりはや貴方を切った男なんだがあいつで間違いないか?」
本当は知っているがあえてあまり知らない風にしておく。
俺は倒れて気絶している林を指さした。
「ああ、間違いない。見たところここには貴殿しかいないようだが……貴殿が倒したのか?貴殿は回復職ではないのか?」
「ああ、俺は一応回復魔法も使えるだけで攻撃職なんだ」
「本職ではないのにこの回復力なのか……?貴殿は敵には回したくないな……」
どうやら恐れられているようだな……。
「その点については安心してくれ、俺はあの倒れてる馬鹿と同じで異世界の英雄だからな」
「……!そうだったのか!それでその能力の高さということか……。……安心するという点ではさっき殺されかけたばかりだから何とも言えないのだが……」
そうだった。
「それで、あいつの扱いはどうなるんだ?あんなやつ牢屋にでも入れておいた方が良さそうだが」
「……それに関しては何とも言えない。それを決めるのは国王陛下だ。とは言え、今は拘束しておいた方が良さそうだ。悪いんだが、良ければこれから本部まで戻る間私の護衛をして貰えないだろうか?私1人では手に負えない可能性が大きい」
「ああ、別に構わない。また切りつけられたりでもしたら大変だからな」
「感謝する」
*
俺たちは、林を拘束しながら王国騎士団本部へと向かっていた。
「そう言えば自己紹介がまだだったな。あのとき大声で名乗ったから知っているとは思うが、一応。私は王国騎士団副団長の"ミルス・アライヴ"だ。さっきはハヤシ?という者にボロ負けしてしまったが、これでも騎士団で2番目に偉いという事になっている。貴殿の名前は何というのだ?」
「俺は"夜川 平"だ。夜川が名字で平が名前で、17歳だ。一応言っておくと職業は賢者だ。……あ。なんとなくで喋ってたから敬語使い忘れていたが、これでも良いか?」
「ああ、別に構わない。そうか、どうりで強いわけだ。賢者は異世界の英雄たちの中でもかなり強い職だと聞くからな」
「それについては良く分からない所も多いんだが、とりあえずよろしく頼む」
「こちらこそだ」
そんなことを言っているうちに、気づけば王国騎士団本部の前へと来ていた。
「これが王国騎士団の本部か」
俺が今いる場所の目の前に、大きく"王国騎士団王都本部"と書かれている。
建物は7階建てくらいだろうか?
この世界で初めてみる高さの建物だ。
全体的に白いイメージの建物で、汚れのない騎士っていう感じがでている。
……っていうか、そういえばスラム街のときのあの男たちも王国騎士団だったっけか。
そう考えてみるとかなり汚れている気もするな。
「じゃあ俺はこの辺で帰るとするかな」
「もう帰ってしまうのか?良ければ王国騎士団本部を見学してみないか?」
見学か……。
少し興味があるのは事実だが……、今何時だ?
俺は腕時計を確認する。
今ちょうど17時ってとこか。
これでもミルスさんが案内してくれたおかげでだいぶ早く着いた。
集合は18時だからな。ここからギルドの宿まではそんなに時間はかからないとはいえ、微妙な時間だ。
この世界に携帯でもあれば仲間に少し遅れると知らせるんだが……。
「残念だけど遠慮しておく。18時には仲間のところに帰らないといけないからな」
「そうか……、なら仕方ないな。まぁ、これから何か私たちの力を借りたいときはいつでも来てくれて構わないぞ。貴殿には返しきれないほどの借りがあるからな。なんならふらっと見学しに来てもらっても構わない。私が許可しておくから安心してくれ」
「そうか、ありがとう。もしかしたら明日にでも少し寄っていくかもしれない」
「感謝するのはこちらの方だ。本当にありがとう」
ミルスさんは深く頭を下げた。
「じゃあまたいつか」
そうして、俺は王国騎士団本部を後にした。
さて、宿に戻るとするか。
……結局あの店には行けなかったな。
*
時刻は18時。俺は集合時間ギリギリで宿に到着した。
王国騎士団本部からはほぼ1本道なので迷うことはなかった。
少し時間があったので、その1本道にどんな店があるのか見ながら宿へ向かっていたら、意外とギリギリになってしまったのだ。
……ただそれよりも、
「もう集合時間超えてるのにまだ誰もいないのか……」
集合時間18時って言ったよな?みんなも何かトラブルにでも巻き込まれているのだろうか。
そう思っていたが、5分後に龍太郎が、10分後には愛花と委員長が帰ってきた。
「すみませーん。立山さんとの買い物思ったよりも楽しくてつい時間を忘れてしまいました〜」
「私としたことが……、つい夢中になってしまいました……」
「それは別に良い。俺もギリギリだったからな。ところで2人は何を見てきたんだ?」
「ふふっ、よくぞ聞いてくれました。これを見なさい!!」
愛花は、リュックサックから何かを取り出した。
「じゃじゃーん!これ何だか分かりますか?」
愛花が取り出したのは、小さな指輪だった。
「装備品か何かか?」
「ええ、その通りです!この指輪を付けると、なんと魔力が50も上がるのです。結構高価な物ですよ。」
そんなのがあるのか。でも50って微妙だな。
……いや、意外と大事か。
この指輪を付けているだけでスーパーダークを1発多く打てるのだから。
それに、英雄はともかくそうではない者にとっては+50でもかなり大事なのかもしれないしな。一般人でも魔力が50も増えるのだから。
「ちなみにいくらしたんだ?」
一般人にとってはかなり強力なアイテムだ。かなりの値段なのではないだろうか?
「一個100000メイでした!」
「……は?」
「これを売ってくれたおじさんはこれでも安いと言っていましたよ。今が買い時だとか」
「……一応本当にステータスが上がってるのか見せてくれないか?」
「良いですよ。ステータス・オープン!」
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北 愛花
装備品:指輪
効果:なし
魔力:+−0
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「あっ、あれ!?」
これは……酷い。
「騙されたみたいだな」
「だから言ったのに……」
委員長は薄々気付いていたようだな。
「そ、そんなぁ!ちょっと今からあのじじいのところに行ってきます!!」
「もう遅いと思うけどな……。愛花だけだと不安だから念のため俺も行こう。龍太郎と委員長は先に宿で休んでてくれ」
「わかりました」
「おう、じゃあ先飯食ってるわ」
「すぐ戻る」
こうして、俺と愛花はまた市場の方は戻ることになったのだった。
*
この後、幸いまだその場にいたじいさんと軽く衝突したのだが、『いろいろ』したことで返金してもらえた。
何をしたのかはここでは伏せておくことにする。
「次からは気をつけろよな」
「すみません……」
はぁ……、ようやく1日が終わった。
休暇のはずなのにどっと疲れた。
ー第10話 完ー
お読みいただきありがとうございます。
次回更新はなるべく早くと思っています。
次回かその次くらいで登場人物紹介(2)を予定しています。




