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公爵令嬢は♡姫将軍♡から♡降魔の巫女♡になる  作者: 変形P
第2部 ザカン学園編
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098 銅像の♡除幕式♡

私は屋台の料理人に、出された料理がどこの国の料理か聞いた。


「内城壁の外にはいろいろな国の軍隊が駐留しているだろ?外国の兵士たちが大衆食堂に作らせたお国の料理がアレンジされ、徐々に平民の間に広まっていったんだ。だから、どこの国の料理とは一概には言えないね。言うなれば無国籍料理かな」


「楽しいお料理です」と私は言って黒イチゴ酒を飲み干した。


「お嬢さん、寒くなって来たからこちらはどう?」と料理人が言って別のグラスを置いた。中にはお湯が入っていて、触るとちょっと熱い。


「これは何ですか?」


芋焼酎のお湯割りオドヴィドパタットアロンジェだよ。芋で作った蒸留酒をお湯で割ったもので、体が温まるよ」


私はそのグラスを手に取って匂いを嗅いでみた。ほんのりとアルコール臭と独特の香りがする。


ちょっと熱いそのお酒を少しすすると、体が熱くなってきた。


「おいしいし、ほんとに体が温まるわ」


「お嬢さん、なかなかいける口だね。どんどん食べて飲んでね」


「ドロシア殿に気に入ってもらえたようだな」とパルスが満足そうに言った。


何品か食べ、最後に出てきた料理は細長いものがスープの中にたくさん沈んでいた。


「これは何ですか?」


「これはスープ麺(ヌイユアラスープ)だよ。元はジナン帝国の料理だったらしい」


中の麺をフォークに巻いて口に入れる。スープが絡まっていてとてもおいしい。


「おいしい!特にお酒を飲んだ後に最高ね!」


「ドロシア殿は幸せそうに食べてくれるので、おごりがいがありますよ」とパルス。


「ドロシアはなじみのない外国の食べ物が好きなんだから」とあきれるターニャ。


「初めて食べる味なんだけど、なぜか魂が揺さぶられる気がするわ。自分でも不思議」


食べ終わると屋台の外に出た。夜気がお酒で火照った肌に心地いい。


「ああ、おいしかった。パルス殿下、今夜はありがとうございました」


「確かにおいしかったけど、この前飲んだチーズの方が良かったわ」とターニャ。


苦笑するパルス。「なら、ターニャがザカン学園を卒業したら、お祝いにつれて行ってあげよう」


「まだ2年半以上も先じゃないの!」


私たちは笑いながら貸家に着いた。パルスに夕食のお礼を言い、ターニャに別れを告げた。


「では、明日の夕方に皆を引きつれて来よう」と別れ際にパルスが言った。


エントランスに入ると、正面にある銅像には大きな布がかけられていた。もう服はできたのだろうか?


けっこう酔っていたので確認はせず、2階に上がった。


「お帰りなさい、ドロシア」と、盤上戦戯シャトランジをしていたバネラたちが言った。


「ただいま。・・・銅像に服を着せてくれた?」


「ばっちりですよ!」と微笑むバネラたち。


「ありがとう、みんな。じゃあ、私はお風呂に入って寝るわ」そう言って居間を出た。




翌朝起きたら、なぜか頭が重かった。食欲もない。


バネラたちは今日も元気で、朝食後から盤上戦戯シャトランジを始めていた。


私はラメダ茶をすすり、あくびをしながらその様子をぼんやりと眺めていた。何もする気が起こらない。


「みなさん、テーブルをエントランスに出すのを手伝ってもらえる?」とライラがみんなに声をかけた。


感心なことに「はーい」と言って盤上戦戯シャトランジを中断するバネラたち。


「その後で市場に買い出しに出かけますけど、お嬢様は行かれますか?」


「私はちょっと疲れたから、あなたたちに任せるわ。スニアも行っていいわよ」


そう言って私は居間で一人になった。ソファに座っているうちにうたた寝したらしい。気がつくと体にショールがかけてあった。


「お嬢様、お茶を淹れますね」とそばにいたニェートが気づいて私に声をかけた。


「あら、ありがとう。・・・このショールはあなたがかけてくれたの?」


「はい。みんなはパーティーの準備にかかりきりで、私がお嬢様を見ているように言われたんです」


ニェートが入れてくれた柑橘シトラス茶をすする。体内の水分が足りないようで、お茶がほんとうにおいしく感じられた。


「これもどうぞ」とニェートがコンフェイトが載った小皿を出してくれた。


「ありがとう、ニェート」コンフェイトを口に含むと、口の中いっぱいに甘味が広がっていった。


「お嬢様は朝食も昼食も召し上がられなかったので、とりあえずコンフェイトを用意しておきましたが、お食事をとられますか?」


「いえ、コンフェイトだけで十分よ。・・・って、もう午後なの?」


「ええ。お客さまが来るまで、あと1刻くらいですよ」


「あら、もうそんな時間?じゃあ着替えておかなくちゃ」


「手伝いますよ」とニェート。語り芸のことばかり考えていると思っていたが、メイドの仕事もきちんと覚えているようだ。感心、感心。


着替えてエントランスに下りて来た私を見てバネラが驚いた。


「あら、ドロシア、それもつけているのですか?」


そう、私はドレスの上にドロシアン・プラストロンをつけ、頭にダネラル・ティアラをはめ、手に将軍職杖ジェネラル・スタッフを持っていた。


「銅像の姿に合わせたのよ」


私の言葉を聞いてバネラたちがふふっと笑った。


「私たちが銅像に服を着せなければ、ドロシアはドレスを脱いでなくちゃならなかったですね」


「そうね、あなたたちには感謝しているわ」そこで私はとても重要なことを思い出した。


「そう言えば、まだ銅像に着せた服を見てなかったわね」


「かわいく作っておきましたよ〜」と自信満々そうなバネラたち。


そのとき、パルスが玄関から入って来た。「ドロシア殿、皆をつれて参りましたよ」


「パルス殿下、昨夜はごちそうしていただきありがとうございました」


「それは気になさらずに」そう答えるパルスの後ろから、ハラス、ボラス、ミラス、ターニャ、バラグッダ、リュー、ナレーシャ、ベンガルが入って来た。


「今日はお招き感謝する」とハラスが言った。


「こんなところまでお越しいただき恐縮です。ささやかな祝宴の場を設けましたので、お楽しみください」


「ドロシア殿はパーティーの女主人ホステスをよく務められるのか?」と聞くボラス。


「国許では、私がまだ頼りないものですから、家でパーティーを催すことはありませんでしたの。今日は至らぬ点が多いと思いますが、どうぞご容赦ください」


「ドロシア殿、今日は巷で評判の米酒ヴァンドリを差し入れますぞ」と言ってバラグッダが酒瓶を出した。


「ありがとうございます。人気が高くて入手しにくいというお酒ですね?さすがはバラグッダ司令官ですわ」と私が言うと、バラグッダは嬉しそうに微笑んだ。


「ドロシア殿!」とバラグッダを押しのけんばかりの勢いで私に迫るリュー。


「母の形見では物足りないとおっしゃられたので、今日は父の形見の首飾り(チョーカー)を持って来ました!」


「リュー、お主の父親はまだ健在ではないか?」


「間違えました。父が若い頃に母にプレゼントしたものです」


その首飾り(チョーカー)は、リューの手元でじゃらりという音をたてた。


「そんな、長くて太い鎖がつながったものは嫌ですよ。家畜みたいじゃないですか」


「究極の愛の証ですよ」


「そんなもの、受け取れないわよ!」と言ってターニャが割り込んだ。


「ドロシアの粘土像は裸だったけど、服を着せてもらえた?」と耳打ちするターニャ。


「それがね、あのままだったの」


「うわー!それでどうするの?開き直ったの?」


「そんなわけないじゃない。細工は流々、仕上げを御覧ごろうじろ、よ」


「それならいいけど・・・」


「ドロシア、お招きありがとう」とミラスが横から言った。


私の肖像画が燃やされたときには相当落ち込んでいたが、元気を取り戻したようだ。


「・・・あの、先日の肖像画はごめんなさいね」


「あんなの、燃やされて当然よ!」と燃やしたターニャが言った。


「あのときは気落ちしましたが、今はほかに楽しみを見つけたので大丈夫です」


「え?どんな楽しみですか?」


「い、いえ、それはまだ先のことです。・・・それよりドロシアの服を着た肖像画は、冬休みが終わるころには完成し、皇宮に飾られますからお楽しみに」


「何だか恥ずかしいわ」


「いえ、ドロシアは歴史に残る英雄ですから、ふさわしい栄誉ですよ」


ナレーシャとベンガルも私に寄って来た。


「ドロシア様、今日はお招きありがとうございます」とナレーシャ。


「へー、ここがお前の家か。いいところに住んでるな」とベンガル。


「ナレーシャもベンガルも来てくれてありがとう」


「ノルドール王国で一緒に戦った仲だからな、あの魔笏を封印したという銅像を見に来たぞ。あの布の下か?」


「これから除幕式をするから、まだ見ないでね」


「え?・・・あ、そうか」


ライラとスニアがみんなに飲み物を配る。そして銅像の横にスズが立った。


「えー、それでは皆様、これよりドロシアお嬢様の銅像の除幕式を行います!」とスズが声を上げた。


今日の司会はスズか?バネラたちよりしっかりしているから、適任だろう。


みんなの視線がスズに集まる。私はニェートにスズの横に立つよう促された。


「まず、除幕をする前に皆様に説明があります」とスズ。


「これからお見せする銅像はドロシアお嬢様を等身大で作ったもので、隣に立っているお嬢様のように頭飾り(ティアラ)胸飾り(プラストロン)将軍職状ジェネラル・スタッフを身につけています。ところが!」とスズは言葉を切って、出席者全員を見回した。


「この銅像を作った彫刻家はとんでもないことをしでかしました!」


「なんだ、なんだ?」とざわめく出席者たち。


「実は、お嬢様の銅像は、先程述べた装身具以外は何も身に付けていない裸の状態だったのです!」


「ほお?」と言ってにんまりするリュー。ほかの出席者は驚いた顔をしているというのに。


私は説明を聞いて恥ずかしかったが、銅像が服を着ていたら変だ。事前に説明しておいた方がいいだろう。さすがはスズだ。気が利く。


「そこでそちらにいるバネラさん、ロルネさん、ペニアさんが銅像に着せる服を作ってくれました」


バネラたちは皆の注目が集まって一瞬動揺するが、すぐににこやかに微笑んで体の前で小さく手を振った。


「そのため服を着た銅像になってしまいましたが、その点は予めご了承の上、ご覧ください」


みんなは納得したような顔をしていたが、リューは残念そうだった。


「それでは除幕を行います!」そう言ってスズとニェートが銅像の後ろに回り、かけてある布の端を手に取った。


「除幕!」スズが叫んで銅像にかけてあった布が後方に取り払われた。


その瞬間、時が止まった。


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前作の「五十年前のJKに転生?しちゃった・・・」を公開中です。
こちらを読まれると本作の隠れ設定が理解できます。
よろしくお願いします。
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