プロローグ
拙い文章になりますが宜しくお願いします。
急がば回れ。
先人の言うことに間違いはないのである。
ひしひしと痛感する彼女ーー橘 真輝は非常に面倒な事に巻き込まれていた。
遡ること1時間程前。
真輝は自らが所属する書道部の活動に熱中してしまい帰りが少々遅くなってしまっていた…と言っても30分強である。
普段なら気にしない時間なのだが、今日に限りやたらと早く帰らねばという気持ちになってしまっていた。
(あー、もうこんな時間だ…早く帰らなきゃ)
まだ数人の生徒が残る中、挨拶をして部室を出る。
廊下には梅雨が明けたばかりのむわっとした熱気が立ち込めており、思わず顔をしかめてしまうが進まないわけにはいかない。
何となく急いで校舎を出て家路につき、歩いて20分程の自宅を目指していたときのこと。
(あれ?ここ…もしかして近道?それならラッキーかも!)
非常に分かりにくいが…道がある。
殆ど毎日通る道での発見に喜びつつ、ずんずん進む真輝。
しかし、どうもおかしい。
そう気付いたのは少し経ってからのことだった。
出ると思っていた場所に出ない、しかし戻るのも面倒くさい。
どうしたもんか悩み、ふと顔を上げると木々の中に赤い鳥居が見えた。
なんとなく心惹かれそちらに向かうことにする。
ここまで来たのも何かの縁だ。
石段を見つけ、登り、鳥居をくぐり、賽銭箱の前に立つ。
改めて見上げると中々に大きく立派であることに気付いた。掃除もよくされており、気味の悪い感じは一切無い。
人気がなく、静かで落ち着いた空気で満ちていた。
(こんな神社あったんだぁ…)
そう思いつつ、財布を取り出しお賽銭をそっと入れ、鈴を鳴らし、手を合わせる。
そのときだった。
「あーあ…今日の参拝客は1人で終わりそうじゃなぁ…」
(!?)
鳥肌が立つのを感じる。
だって…さっき確認したときは誰もいなかった。
後ろから来た?
ううん、だって足音もしなかった。
それに声は上から聞こえる。
などと考えているうち、また声が聞こえてきた。
「いつになったら戻れるやら…」
美しい声である。そしてどうやら女性らしい。
真輝はそろりと顔を上げてみた。
「えっ!!!」
思わず声を上げてしまう。
声の出所から上にいるであろうことは予測していたとはいえ、驚くのは当然である。
女性が1人、屋根の一番高い部分に腰を掛けていたのだから。
はじめまして。
久我 周と申します。
拙い文章ですが、読んで頂けましたら幸いです!
また更新頻度は決まってませんが、頑張って更新したいと思っています。
どうぞ宜しくお願い致します。