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食後のお茶を優雅に楽しんでいたらまさかの訪問者。

「お嬢様、ルルシア様とマリアナ様がお見えです。いかがなさいますか?」

いったい何しに来たんだ?

会いたくはないけど追い返してお父様に告げ口されたら面倒だ。

「お通しして」

「畏まりました」

アンナは部屋の外にいる二人を通した後、お茶の用意をする。

二人は私の後ろに控えていたジルを見てとても驚いた顔をする。

まぉ、包帯まみれの男がいたら驚くだろう。

「まぁ、怪我をしたの?大丈夫?」

心優しいマリアナはすぐに我に返り、心配そうにジルに駆け寄る。

痛ましそうにジルに向けて伸ばされた手だったが、ジルが避けるように一歩引いた。

その為、マリアナの手は宙を撫でるように下ろされた。

「彼の顔には火傷があるの。昔の傷よ。あなたが気にすることじゃない。それと私のモノに気安く触れないで下さるかしら」

「モノって」

私の言い方が不服だったようだ。眉間に皺を寄せ、私を咎めるように見る。

「それは私のモノです」

「お姉様、人はモノではないわ。そのような言い方は止めた方がいいと思います。ねぇ、あなた。お名前は?」

私を軽く咎めた後、ジルに向き直ったマリアナは彼に優しく微笑む。だけどジルは答えない。

「もしかして、話せないの?」

「彼のことはどうでもいいでしょ。それよりご用件は?」

さっさと帰って欲しい私はマリアナを無視して目の前に座るルルシアを睨み付けた。

ルルシアは困ったように微笑みながら言った。

「せっかく家族になれたからいっしょに住みたいと思って。別館で一人なんて寂しいでしょ」

誰のせいだ。という言葉は根性で飲み込んだ。

言ったところで意味なんてない。結果的にそうでも、私が別館に住むようになったことを彼女たちが望んでいたわけではないから。

「私はここが気に入っています。母と過ごした思い出の詰まった場所です」

「じゃあ、みんなで別館に移りましょうよ」

名案だとばかりにマリアナが言う。

冗談じゃない。

「私は一人が好きなんです。それにここは私とお母様の思い出の場所。あなた方に踏み荒らされたくはありません」

だから、さっさと帰れよ。

「私たちも家族なのに」とマリアナは悲しい表情で言う。

家族なんかじゃないのに。

勝手に入ってきた侵入者のくせに。

「分かったわ。でも食事ぐらいは一緒に取りましょう。せっかく家族になれたのだから」

無理強いは良くないと思ったのかルルシアはあっさりと引いてくれた。

この二人の相手はとても疲れる。

二人が帰った後、アンナが塩を撒いていたが気にしない

「また来る?」

心なしか嫌そうな顔してジルが聞く。ジルは二人のことが短時間、同じ空間にいただけで嫌いになったようだ。

「来るんじゃない?家族みたいだから」


食事を一緒に。と、言われたが従ってやる気はない。

だが、ルルシアとマリアナは毎回、私を訪ねて来るようになった。

私が一緒に食事をするまで続けるらしい。

終いにはお父様が出て来て、当主命令で食事を一緒にすることが決定した。

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