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デビダン! ~目指せダンジョンニート物語~  作者: バージョンF
1章 ダンジョンマスター爆誕編
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第8話 混沌地(カオス・ポイント)

「では、ダンジョンの戦力を確認します。まず、ゴブリンリーダーが1体。ゴブリンソルジャー13体、その他のゴブリンが35体となります。今、使用可能なDPは4600P。あなたがその変なテーブルを買わなければ階層を1つ増やせました」


 うわー、リリーナさんめっちゃ不機嫌だし。めっちゃ小言言ってるけど、俺の勝手にマナーモードが発動しリリーナの声が入ってこない。口パクになってる。つかゴブリンたちまた増えたなー。ポンポン子供できてんじゃん。お盛んなこって。


「聞いてるんですかーー!!」

「はい、聞いてますっ!!」


 咄嗟に嘘をついてしまった。やっべ、質問に答えないとリリーナさん、またキレそうだな。……うーん、とりあえずテキトーに良いと思いますとか言っとくか?


「まったくもう、それで今まで冒険者は何人倒したんですか?」


 よかった! 質問内容がわかった。これでリリーナさんを怒らせずに済む。だってビンタ痛いからね。ビンタダメ!


「はいっ、ゼロですっ!!!」


 思わず元気に答えてしまった。恥っ!!


「……ゼロ? ぜっ……ゼロですって……?」


 リリーナさんがワナワナと怒りに震えている。

 おかしい!? ちゃんと答えたじゃん!! これ、さっき見た光景とデジャヴしてんだけど? えっ? またビンタされるパターン?


「今まで、どうやって生きてきたんですか!? 冒険者倒さずに魔素回収なんてできないでしょ!」

「いや、それがよくわからんけど魔素が勝手に溜まってさ、ほら?」


 俺はダンジョンコアに映し出された魔素量をリリーナへと見せた。ダンジョンコアに【魔素8955】と表示されていた。

 おぉ、過去最高に溜まったな。後で送信しておこう。


「嘘……、ありえない。冒険者も倒していないのにこんな量の魔素が集まるなんて。もしかして……!? このダンジョン、混沌地(カオス・ポイント)になってるとでもいうの!?」

混沌地(カオス・ポイント)?」

「なんでダンジョンマスターなのに混沌地を知らないんですかっ!!」


 またリリーナがカリカリし始めた。彼女の導火線はまつ毛ほどの長さしかないのだろうか?


「いいですか? 混沌地というのは、地上に流れる魔素が集まった【魔素溜まり】にダンジョンができた地点のことを混沌地と言うのです! そこには豊富な魔素が集まりモンスターたちも繁殖しやすくなります。もしこのダンジョンが混沌地なら本当に奇跡に近いんですよ!!」

「はっはっはっ、なんか魔界宝クジの一等に当たった感じだな!」

「もっと確率は低いです!! 100億分の1もないんですよ?」

「そうなのか? だったら魔界宝クジの方がよかったな。一生遊んで暮らしたかったぜ」

「バカなんですか!? これは本当に凄いことなんですよ? 混沌地になったダンジョンからは幾名もの有名な魔王が輩出されてることわかってるんですか!?」

「いや、俺は魔王になりたいわけじゃないからさ……」

「目指せやぁぁぁ!! せっかく天才型が出たのに第一週の初期コマンドから遊ぶを連打って、もうバカを通り越して狂気に近いです!!」

「いや、リリーナさんそんなパワ◯ロ設定全員には通じませんよ?」

「うるしゃぁぁあいっ!!」


 リリーナさん、興奮しすぎると幼児言葉になるんだよなぁ……。誰かの趣味なのだろうか? 今も暴言を連呼してるけど幼児言葉だからなんか微笑ましいな。まぁ、落ち着くまで待つか。


「はぁはぁ……、もういいです。こんなこと言ってても問題の解決になりません。」


 おっ、諦めてくれた! やったー! 九割方聞いてなかった。


「そもそも、なぜこのダンジョンには冒険者たちがやってこないのですか? こんなにも武装したゴブリンがいるのに。討伐対象モンスターですよね?」

「あっ、それ? それは俺が人がやってこなさそうな森の奥地で、しかも獣道すらないようなひっそりとした場所を選んだからだ!!」

「しっ……信じられない。この場所が混沌地になってなかったら詰んでたじゃないですか」

「いや、詰む詰まないとかどうでもよくて、俺がゆっくりできるかできないかの方が重要なのだ! だから冒険者は来ない方がいい!」

「じゃあ、なぜゴブリンが武装してるんですか!」

「なんかあいつら獲物捕まえるくらいで怪我してたから可哀そうでさ。だって当初の装備腰蓑一つだぜ? どんだけハードモードなんだよ」

「これだけ魔素があるんですから、別に食べなくても平気です! ゴブリンは体内魔素の消費が激しいからおなかが空くんですよ!!」

「へぇー、リリーナは物知りだな。さすがだわ。でもさ、急に今まで食べてた物をいきなり食べなくても良いって言われても、やっぱりそれって無理なんじゃないか? 俺は冒険者にさえ見つからないのであれば、彼らの好きにしていいと思ってるんだ。現に彼らダンジョンを作ってくれてるし」

「それはそうですけど……、って急に真面目ぶらないでくださいっ!!」


 気難しいお嬢さんだ。ああ言えばこう言う。


「とりあえずこれからあいつらの所へ行くけどついてくるか?」

「勿論です!」


 俺はダンジョン内転移を使うためリリーナの隣に立ち、左手で彼女の右手を握った。




――スパァァァァァァァァン!!



「ぶべらぁぁぁぁぁっぁぁーーー!!!!」

「きゅっ……きききゅ……急に何するんですか!?」


 手を握っただけなのに、なぜかビンタされた!! なんでぇー!?

 隣を見ると顔を真っ赤にしたリリーナがアタフタしている。

 マズい……かなりご立腹のようだ……。ここは弁解をしておこう。


「いっ……一緒に転移するには、対象の身体の一部を触れていないとダメなんだ」

「そっ……それならそうと先に言ってください!! 今のはセクハラですよ!?」


 お前サキュバスだよな??と、いう俺の疑問は遥か彼方へと捨ててとりあえずゴブリンたちのもとへと転移した。





「よう! ゴブリダ、調子はどうだ?」

「主様! お声を掛けてくださってありがとうございます! ご覧の通り順調にダンジョンの拡張が進んでおります」

「そうか! ありがとな。つか、ゴブリダお前……なんか大きくなってね?」


通常ゴブリンの身長が140~150センチに対して、ゴブリダの身長は160センチほどあった。


「はいっ! 実は位階がランクアップしましてゴブリンリーダーへと進化致しました!」

「えっ? お前進化したのか!? よかったじゃん! 見違えたぜ。これからも頑張れよ!!」


 ゴブリダの背中をバンバン叩きながら褒めてやった。しかし進化しても顔は鬼瓦のようなおっさん顔のままだった。そこは修正かからないのか。

 後ろにいたゴブリンソルジャーと呼ばれる者たちもゴブリダくらいの大きさに成長していた。こいつらもゴブリンから位階がランクアップしたようだ。

 それにしても以前渡した装備がパツパツになってるな。……仕方ない。後で新しいの作ってやるか。


「ところで主様、そちらにいらっしゃる方は奥方様でしたでしょうか?」

「はっ?」

「ちっ……違います! 誰がこんな人の……。私は本部より、このダンジョンに派遣された一級秘書官のリリーナと申します。今後、ダンジョンのサポート業務をさせていただきますのでよろしくお願い致します」

「そうだったのですか! リリーナ様、失礼致しました。私はこの集落を任されているゴブリダと申します。これからどうぞよろしくお願い致します」

「はい、こちらこそ」


おっ、リリーナが思いの外礼儀正しい。俺にもこんな感じで言ってくれたらいいのに。


「あっ、そうそうゴブリダ。お前なんか植物モンスターとか拾ってきた?」

「はい! ご報告が遅れて申し訳ございません。先日非常に珍しいモレネティアというモンスターの苗を見つけましたもので、ダンジョンの一角にて栽培をしております。ご迷惑でしたでしょうか?」

「いや、いいさ。頑張れよ!」

「いいんですか!? ダンジョンの管理が適当すぎませんか?」


 リリーナって、どうでもいいことを気にするよな。きっと魔学の時も学級委員とかやってたんだろうなー。


「ここはゴブリダに任せてるんだ。別に彼が決めたことなら文句なんてないさ」

「本当になんでそんなに適当なんですか? ……まったくもうっ! じゃあゴブリダさん。今後はダンジョンの管理については私に報告してください。あの人、ダンジョンの管理をしないと思いますので私とゴブリダさんでやりましょう」

「わかりました! リリーナ様。今後はご報告させていただきます」

「あっ、ゴブリダ。お前ら進化したから新しい武器とか防具作っておいてやるよ。また明日くらいに武器庫確認しといてな。じゃーなー!」

「主様、感謝し……」


面倒くさくなりそうだったので、話の途中だったが俺とリリーナは錬金室へと転移した。

すまんね、ゴブリダ。


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