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第82話 銀の彗星

「ヨシュア様ぁー、こっちに銀色のスライムがいます! 早くきてください! 逃げちゃいますっ!!」

「ねぇ、あーちゃんも攻撃してみれば? 会心の一撃期待! 頑張れ?」

「お二人とも、そのスライムには魔法は通じませんからねー。杖で叩いてください!」


 俺は今、ラグリス大森林の奥地を三人のお守りをしながら歩いている。メンバーはアリエッタ、マリエッタ、ケーシィの三人だ。正直、双子姉妹がついてくるのは予想外であった。


 昨日のことだ。本体(ヨルシア)で錬金室へ行き、俺の武器となる片手剣を作成していたのが事の発端である。ここぞとばかりに、希少鉱石を入れまくった本気のガチ錬金。今まで、他人の武器や防具しか作ってこなかったせいか、やたらと気合いが入り、匠こだわりの一品が完成した。


 まぁ、ここまでは良かったのだが、問題はその後。俺のもとへとやってきた双子姉妹に、ついつい妖精の里へと向かうこと話してしまったのだ。これが大失敗……。まさか、一緒に行きたいと言い出すとは。


 双子姉妹にいくら危ないからと諭そうが、聞く耳を持ってくれない。行きたいの一点張りで、彼女たちの意見が折れる気配はゼロ。……マジでまいった。思春期女子めんどい。


 仕方ないので、リリーナに相談すると、ヨシュアさんよりも彼女たちの方が強いから護衛にちょうどいいですね……だってよ。俺に味方はいないのか!?


 こうして、見習い勇者、魔導少女、魔導少女、妖精という、かなりバランスの悪いパーティが出来上がった。つか、前衛俺だけかよぉぉー!? ……解せぬ。


 そして、現在に至るわけだ。




 



「ヨシュア様! 銀色のスライムがそちらへ逃げました!」

「ヨシュア様、倒して?」

「勇者様ー、頑張ってー!!」


 くっ、ケーシィ。俺は頑張るという言葉はダメなんだ……。そんなこと言うとニートに血が騒ぐから! ぐぁぁぁぁ、ダメだ、呪いが勝手に俺の身体を蝕む!! かっ……身体が動かないっ!?


 すると、銀色のスライムはさらに加速し、俺目掛けて突っ込んできた。


 なっ……なんていうスピード! 目で追えない!? しかし、所詮スライムだ。攻撃を喰らったところで、大したことも……



――ズドォォォォーーーン!!



「ぶべらぁぁぁぁーーー!? 大したことありますねーー!!」


 銀色のスライムの体当たりが、俺の土手っ腹に直撃し、身体ごと数十メートル先までぶっ飛ばされた。なんつー、攻撃力!! そういえば、速さは重さと偉大なる某漫画で聞いたことがある。しかも、あのメタルボディが相まって、ただの体当たりが必殺の威力と化してるし。昨日作った、この白銀の胸当て(シルバープレート)を装備してなかったらやられてたかもしれん。誰だ、スライムが弱いと言った奴!? めっちゃ強いじゃん。


「勇者様ー? 大丈夫ですかー?」


 ケーシィが、呑気に話しかけてきた。つか、見りゃわかんだろ? スライムに体力の半分ほど、もってかれたよ。ピンチですが何か?


「ヨシュア様、あのスライムは剣で斬るよりも殴ったほうが良いですよー!」

「ヨシュア様? こう……抉るようにストレートを……打つべしっ! 打つべしっ!!」


 双子姉妹もきたが、どうやらただの応援のようだ。 助けてくれないのね? つかマリエッタが、左目に眼帯をしたどこかのボクシングトレーナーのようにシャドーボクシングをし始めた。しかも、意外と様になってる。おいおい、いいの持ってんじゃねーか。戦えや!


 しかし、マジでなんとかしねーと、このままではスライムにやられてしまう。まさか、スライムがこんなにも強いとは。



――ニヤリっ



 あっ、あのスライム、自分が優位にたった途端に、とんでもなく悪い笑みを浮かべてんだけど!? にゃろう!! 目にも見せてやる。



竜人発勁(ドラゴンモード)っ!!」



 俺の身体を、竜の闘気が包み込む。あのカノープスも使っていたバトルオーラだ。リリーナ曰く、見習い勇者の俺に、勇者スキルが顕現しているのは、異常なことらしい。しかし、いつものことなのでもう気にしません、だってさ。まるで、この俺が異常者のような物言い。……解せぬ。


 すると、銀色のスライムが動いた。残像を残すほどのスピード。ちっ……、俺にトドメを刺しにきてやがる。あのスピードでの体当たりはエグイな。……何処だ?


「勇者様ぁー、右ですっ!!」

「違うわ、真ん中よ!!」

「んー……左?」


 外野がうるせぇ。しかも全員、不正解だし! テキトーかっ!? 正解は、……上だよっ!!


「なめんなっ!! こちとらダテに戦闘経験重ねてねーんだよ!!」

「……!?」


 くらえっ! リリーナ直伝の、しょーりゅー◯んっ!!



――ズドォォォォン!!



 銀色のスライムの胴体を抉るように、ヒットした俺の拳。スライムは、そのまま天高く舞い上がり、地面へと落下した。べチャリとした鈍い音と共に、スライムの姿は消えていく。


「ヨシュア様、すごーい!! あんなレアなモンスターを倒すなんて」

「経験値うまうま。 ヨシュア様、ありがと」

「さすが勇者様! あのラグリスの【銀の彗星(シルバースター)】を仕留めるなんてお見事です!」


 何、その二つ名? 強敵だったのかよ!? もしかして手を出しては、ダメなモンスターだったんじゃねーのか? くっ……、意外と双子姉妹は地雷なのかもしれん。気を付けなければ……。


「それにしても、さっきから俺の身体が光ってるんだが? これなんだ?」

「ヨシュア様はレベルアップするの初めてなんですか?」

 

 アリエッタが光の正体を教えてくれた。なるほど、これが噂に聞くレベルアップか。彼女たちもポワっと輝いたのだが、本当に一瞬のことだった。俺のように輝き続けない。


「なぁ、俺の身体どーなったんだ? ずっと光りっぱなしなんだけど?」

「きっと、ヨシュア様は初めてのレベルアップなので、連続でレベルアップしてるんだと思います。私たちも強敵を倒した時なんかは、数秒は光ってましたけど、ここまで長く光ることはなかったです」

「あーちゃん、嘘は駄目よ? 光ったのは2秒よ?」

「マリ、うるさい! 2秒も数秒じゃないっ!! 同じことよ」


 すると、俺の身体を包んでいた光は徐々に消えていった。やっと終わったか。これで、本当に強くなったのだろうか? といっても、そんなに変わらんだろ? 総合戦闘能力が二万を超えてれば良いほうか?



――ステータスオープン!!



□ □ □ □ □ □ □

名前:ヨシュア(ヨルシア)

称号:魔王の半身/竜の加護を受け継ぐ者

種族:人造人間ホムンクルス

職業:見習い勇者

総合戦闘能力値:30180 


勇者スキル

聖剣技/竜闘気


スキル

剣術/計略/先読み/見切り


特別魔法素質


魔法素質

空間/生活


加護

聖竜の咆哮

□ □ □ □ □ □ □



 めっ……、めちゃくちゃ強くなってるぅーーー。(白目)

 えっ? ほぼ倍やん? エグっ!? しかも、スキルまで増えてるし……。人族ってこんな簡単に強くなるの? やべぇじゃん。


「あーちゃん見て? ヨシュア様、ミスリル級まで強くなってるですー」

「あぁ!? 本当だ! すごい、すごーい! ねぇ、マリエッタ? 一回の戦闘でここまで戦闘力が上がる事例なんてあった?」

「ないですー。前代未聞です」


 よっ……良かった。人族がこんなに強くなりやすいんだったら、何か対処法を考えないといけなかった。ちょっと安心。


「勇者様、そろそろ日が暮れますよー。キャンプを張る場所を決めた方がいいのではないでしょうか?」


 おぉ……、ケーシィ。意外と冷静だな。確かに日が沈みかけている。……だな、飯の準備もしないといけないし、そろそろ休む場所決めないと。つか、食事ってめんどくせー。

 はぁ……、それにしても空間転移でダンジョンに戻れると楽なんだけどな。空間転移は距離に比例して消費魔力が決まるのが難点。さすがにこの長距離は跳べない……無理だ。だから面倒くさいがキャンプを張るしかない。


「なぁ、ケーシィ? この辺りで安全にテント張って休める場所ってないか?」

「うーん……、あっ! ありますよ! 水場も近くてオススメの場所が」

「おぉ、さすが森の妖精! じゃ、さっそくそこまで移動するか」


 こうして、人生はじめての野外キャンプをすることになった。




本日もデビダンを最後まで読んでいただき誠にありがとうございます。

ブックマーク、評価、感想、誤字訂正をご指摘いただいた皆様。心より御礼申し上げます。


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