第79話 魔核を作ろう
魔物に狙われている妖精たちを助けに行くために、何故か人造人間を作ることになった俺たち。未だに作成の意図を理解していないが、エリー曰くこれが一番の解決策のようなので、俺たち三人はルルの錬金室へと移動をした。
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「あーちゃんさん、まりちゃんさんっ!! それ以上やったらそのゴブリンさんが可哀想です!!」
「平気よ! 見てみなさい。彼、とても喜んでいるわ。だからルルも呪いのピアスを付けるの手伝ってちょーだい」
「ルルちゃん? 一緒にやるのですー。そして汚物は消毒なのですぅー。えいっ!」
「きっ……気持ちぃーー!! ぴぴぴぴぴ……ピアスもっとあけてぇーーー!! ヒャッハァーー!!」
「わぁ、本当ですね! ゴブリンさんすっごく喜んでます! じゃあ、もっとたくさんピアス付けますね!!」
俺が錬金室のドアを開けると、ルルとアリエッタとマリエッタの三人がゴジャギに対してとんでもないことをしていた。
これはアカンだろ。教育上アウトだな……ゴジャギが。
「はいはい、三人ともやめやめ。中止だ、中止!! うら若き乙女たちが、そんな変態の道に行ってはいけません!! いいか? そういうのはリリーナというプロにまかせ……「誰がプロだぁーー!!」」
――ズドドドドォォォォーーーン!!
ふふっ……リリーナさん? 俺はあの三人に対して注意しただけですよ? それなのに、なにも同じ箇所目掛けて延髄蹴りを叩き込まなくていいじゃないか。一瞬で三十四発入ったんだけど? めっちゃ痛い……はい、超速再生、超速再生っと。
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とりあえずゴジャギは、お仕置きとして辺獄の地へと強制転移させた。牛面共々、反省してもらおう。うら若き乙女たちをその道に誘い込んだ罰だ。
ちょっとした事故はあったが、俺はルルに今までの経緯を説明した。
「ルル、というわけでホムンクルスを作りたい。協力してくれるか?」
「はい、もちろんですご主人様!」
「ヨルシアさまー、私も錬金手伝いたいです!」
「あーちゃん? 抜け駆けはダメよ? ヨルシアさま、私もやりたいですー」
どうやらアリエッタとマリエッタも、錬金にハマっているみたいでもっぱらこの錬金室に入り浸りだ。ルルともめっちゃ仲良くなってるし。しかも元々才能があるようで、かなり出来の良い物を作り上げている。そのうち彼女たちのアトリエでも作ってあげようかな?
「ではエリー様? ホムンクルスの製造を進めてまいりますが、先程の自我の件はどのようにされるおつもりですか?」
「簡単じゃよ。ヨルシアとホムンクルスの意識をリンクさせるのじゃ」
「おい、エリー。ちょっと待て。それ、ホムンクルス死んだら俺も死んじゃうパターンのヤツじゃねーか?」
「ヨルシア、話を最後まで聞け! 確かに魂のリンクをさせたらそうなるの。しかし、今回は意識のリンクだけじゃ。しかもそれぞれの意識を切り離す。並列思考と言えばわかりやすいかの? 意識だけをリンクできればリスクなどなかろう? だが、まずその前にお主のその超魔力を使ってある物を錬金で作ってもらわねばならぬ」
「んっ? 作る? 何をだ?」
「魔核じゃ。錬金ベースとなるクリスタルにお主の魔力をありったけ込めるのじゃ。魔力でクリスタルを超圧縮すれば、魔核へと変化するじゃろう。まぁ、しかし上手くいけばの話じゃがな」
「いや、無理だろ!? それどころかクリスタルなんかじゃ、俺の魔力に耐えきれないぞ? 早々に砕け散るぜ?」
「馬鹿者! そんなことはわかっておる。だから錬成しながら魔力を込めるのじゃ」
「いや、エリーさん? 簡単に言うけどそれ超難しいのよ? 右を見ながら、左を向けるかい?」
「なんじゃ、魔王とあろう者が情けないのぅ。文句を言わずさっさと作るのじゃ!!」
なんかかなりの無茶ぶりを言われているような気が……。エリーは我慢だけではなく、限度も知らない子なのだろうか?
「大丈夫ですよ!! ご主人様なら絶対作れます!」
「ルルの言う通りです。ヨルシアさまならパパッとできると思います! 大丈夫!!」
「……うん、大丈夫」
「マスター? ここで作ると前みたいに部屋が荒れますから辺獄にでも行って作ってくださいね」
少女三人から根拠のない大丈夫をいただいたが不安でならない。しかもリリーナに至ってはサラっと出ていけと言われる始末。まぁでも、それは仕方ないか。部屋荒らしたらルルたちが泣くからな。とりあえず作らねーと、エリーがうるさそうだからやるしかない。
……行くか、辺獄。
――転移!!
「あっ、ヨルちゃぁぁん!! 私たちに会いに来てくれたのねぇん!」
「いやん、愛の深さを感じるわ! ……ヨルちゃん抱いてっ!!」
岩場に簀巻きにされ吊り下げられている牛たちが何か妄言を吐いている。どうやら反省が足りないようだな。簀巻き一日延長で。
つか、マジでお前ら足下に転がってるゴジャギを見習え! 黙って反省を……って、ゴジャギの表情が快楽に歪んでいる。あいつまさか、そっちの気もあるのか? この三人、根本的にダメかもしれん。うん、見なかったことにしよう。
「あぁ!! ヨルちゃん無視なのっ!? ヒドイっ!! せめて何か突っ込んでほしいわっ!! むしろヨルちゃんの棒的なものでもオッケーよ!」
「ちょっとラブちゃん、あんたリアルすぎるわよ!? もっとソフトに言わなきゃ! お願いっ!! ヨルちゃんのおち……ゲフンっ!!」
牛たちの暴走が止まらないので思わず魔力弾を撃ち込んでしまった。仕方ないよね? マジでそろそろ黙ろうか?
「やれやれ、本当に無駄な時間を過ごしてしまったな。確かダンジョンインベントリーの中にクリスタルあったよなー……クリスタル、クリスタルっと」
俺がダンジョンインベントリーを漁ってると、30cmほどの無色透明なクリスタルが出てきた。さすがゴブリダさん。今もなお、手掘りでダンジョンを作ってくれてる彼には感謝です。それにしてもウチのダンジョンって、希少鉱石の宝庫だな。探せば何でもあるような気がする。
「さてと……、よっと!!」
本気の魔力を込めるためにいきなり魔力を全開にした。すると爆風が辺りに広がり、岩場に繋がれていないゴジャギが勢いよく吹っ飛んでいった。あっ……、ごめん。ワザとじゃないんだ。ゴジャギよ、許せ。
では気を取り直して、まずは魔力を込めるか。つかさ、錬成しながら魔力を込めるたってなー。錬金釜使うわけじゃねーし、サポートなしで単独でやるのキツくないか? とりあえず徐々に魔力を入れていくか。
――ピキッ。
……うぉ!? ちょっと込めただけでヒビが入ったんだけど!? これ、めっちゃ難しくないか? とりあえず錬成、錬成。……ふぅ、慎重にいかないと。
「あぁん、クールなヨルちゃんのよ・こ・が・お。……滾ってくるぅ!!(太い声)」
「ヨルちゃん……、抱いてぇぇぇーー!!」
あいつら……マジで頭沸いてんのか? あかんあかん。集中、集中っと。変態どもに惑わされてはダメだ。クリスタルが割れてしまう。
そして集中することおよそ10分。
魔力も定着し、徐々にだがクリスタルを錬成できている。このまま順調にいけば、もしかしたら上手くいくかもしれん。
俺が我慢強く魔力をクリスタルに注いでいると、ここで我慢の限界を迎えた者が二匹……。
「はぁはぁはぁはぁ……、ヨルちぁぁぁぁん、ヨルちぁぁぁぁん!! お願いっ!! 臭いだけでも……せめてヨルちゃんが吐いた二酸化炭素だけでも吸わせてぇぇぇぇ!!」
「ラブちゃんっ!! アタシもう我慢の限界よぉぉぉ!! ふぅんぬらばぁぁぁぁーー!!」
――ブッチィーーン!!
なっ、封呪を施してある黒縄を腕力だけでブチ切っただと!? まったくこれだから脳筋は……。
「「ヨっルちゃーーーーん!!」」
上空から手をニギニギしながら迫りくる巨大な牛二体。このままじゃやばいっ!! ……俺の貞操が!!
「あっ……あああ、悪霊退散んんーーー!!」
――ズドォォォォォォーーーん!!
しまった!? あまりの嫌悪感に思わずあの二体を薙ぎ払ってしまった。手加減はしたものの、遥か彼方まで吹っ飛んでいったな。これは致し方なし。しかし、まさかこんなところでリリーナの気持ちがわかるとは。
あっ、つかクリスタルっ!? やっべぇ……瞬間的にかなり魔力を込めちゃったから割れてるかも……って、あ、あれ??
クリスタルを見ると、魔力の圧によって虹色に輝く球体へと形状が変化していた。熱を帯び、ドクンドクンとまるで心臓のように脈を打つ変わった結晶。
なんとあの一瞬で奇跡的に魔核が完成したのだ。
おぉ……さすが俺。無意識のうちに完成させてしまうとは。でも牛たちのせいでどれくらい魔力込めたかわかんねーや。こんなことで難しい錬成が成功するなんて世の中わからんもんだな。まっ、もう二度と作れる気がしないけどね。逝った牛たちには感謝だな。(※生きてます)
とにかく魔核作りも成功したし結果オーライか? これでもうエリーからも小言を言われないだろう。
こうして人造人間作りの第一段階が終了した。
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