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第75話 ゴブリンを超えし者、その名はゴブリダ

ちょっとづつ訂正させていただいております。

文章など違和感がありましたら、お知らせください。


《地底魔城 1階衣装室》


「んもぅ、ちょっとピースちゃん! このコーデはヨルちゃんには似合わないわよ~」

「でもラブちゃんが選んだ馬の被り物よりも、あたしは羊のほうがヨルちゃんには似合うと思うの! それにこっちのほうがエロいわ」

「えーー、ピースちゃんっ!? ちょっと、それどういう意味よぉ~!? アタシのラブアンテナがビンビン反応しまぁ~すっ!」

「ラブちゃん、いい? ヨルちゃんにぃー、羊の被り物をさせるとぉー……」

「させると……? ゴクリっ……」

「夜は、オ・オ・カ・ミ!」

「キャアーーーー!? ちょっと、何それ!? 何それ!? あんたマジ天才!! あぁーーー、どうしましょ!!」


「「……(たぎ)ってくるぅ!!」」(太い声)


「アホかぁぁぁぁぁーー!!」



――ズドォォォォォーーーン!!



 ウィンクードへ向かう前に、マリアが用意した魔王服(礼服)へと着替えに衣装室へと寄ると、何故か変態二匹が侵入していた。こいつらどこから湧くんだろうか?

 クソくだらないことを話していたので、おもわず蹴りを入れてしまったではないか。しかも、なんだよ馬と羊の被り物って!! どんなプレイをしようとしてたの!? こいつらの性嗜好にはついていけん。マニアックすぎる。とりあえず、こいつらが目覚める前に強制転移で四階層へと送り込んでおくか。……ゴブリダすまん。後はヨロシク。


「あら、ヨルシア様! もういらしてたんですね」


 変態二匹を強制転移させると、衣装室の奥から、マリアが片腕に服を何着か掛けながら出てきた。


「あぁ、マリアか。待たせて悪かったな。服の準備はできているか?」

「はい、もちろんですわ! 時間がありませんでしたので、オーダー製作の服は間に合いませんでしたが、メフィスト様がお作りになられた魔王服を何着か手配を致しました。一万魔素ほど掛かりましたが、さすがメフィスト様。非常に出来が良く、きっとヨルシア様も気に入っていただけるかと」

「そうか! じゃあ、さっそく着替えてくるか。そのマリアが持ってる服を着ればいいんだな?」

「はい、では更衣室までお持ちしますわ」

「いや、悪ぃからいいよ。自分で行く……」


「行くからいいわ」と言おうとしたら、何故かマリアから強烈なプレッシャーを感じる。うん、また肌がピリピリするんですけど?

 というかあれ? 俺、なにか地雷踏みましたかマリアさん? 


 するとマリアが、その豊満な身体を使っていきなり俺を背中から押してきた。バイーンと効果音が出そうなボディプレス。その圧力にあらがえず、俺は前へとはじけ飛ぶ。な……なんたる凶悪な胸なのだろうか!? 恐ろしく柔らかいバルーン!!


 ちょ、ちょっと待てって! 自分で歩くから! マリアさん、押さないで!!


 しかし、バイーン、バイーンと問答御無用でマリアの攻撃は続く。そして、あっという間に俺は更衣室まで押し込まれてしまった。マリアが後ろ手でガチャリと更衣室のカギを締める。


「……さぁて、ヨルシア様? 一緒にお着換えしましょうねー」


 おい、マリア? なぜ舌なめずりをする? 物凄く危険な香りがするんだけど……。いかんっ、逃げなければっ!?


「まっ……マリア!! ちょっと、トイレに……」



――ドォォォーーーーン!!



 マリアが両手で壁ドンをするが、効果音がドンっの範囲から軽く超えていた。これヘタしたらダメージが入るようなヤツじゃ……。ブワッと一気に冷や汗が全身からあふれ出す。


 あの……マリアさん? 目が血走ってますよ? いきなりどした? 少し落ち着こうじゃ……ない……か?


「では、ヨルシア様? まずは服を全て(・・)脱ぎましょうか」


 おっ……おかしい!? ちょ……マリア!! 待てっ!! そこは違っ……ひっ、ひぃやぁぁぁぁぁぁぁーーーー!! 

 


 俺の心の悲鳴が、更衣室に木霊した。





 1時間後。


 頬がゲッソリ痩せ細った俺は、肌がツヤツヤになったマリアと一緒に更衣室から出た。まさか朝からこんなことになるなんて……。クソ、似たようなことが以前もあったような気が。


「ヨ……ヨルシア様? お召し物がとてもよくお似合いですわよ? ほら、元気だしてくださいな?」


 俺は力なくコクンっと頷く。しかし大賢者タイムに陥り、もはや建国宣言どころではない。もう、全てが面倒くさい……。精も根も尽き果ててしまった。サボりたい……。


 そしてマリアと別れると、とぼとぼ歩きながらミッチーが待つ謁見の前へと一人移動する。

 すると見慣れない騎士風のイケメンが扉の前で立っていた。


 んっ? 誰だこいつ。侵入者か? 魔族のようだが俺の知らない顔だ。

 敵かと思い警戒し身構えると、その騎士風の男が俺に気付き話しかけてきた。


「主様っ!! 大変でございます!! ラブ殿とピース殿が何者かに襲撃され気を失っております! 至急、我らの集落へとお越しいただけますでしょうか?」


 主様(・・)? 主様だとっ!? どういうことだ? こんなイケメン騎士を配下にした覚えはないんだが?


「主様? どうかされましたでしょうか?」


 この声……もしかしてこいつゴブリダなのかっ!? 


「おっ、おまっ……お前、ゴブリダなのかっ!?」

「はいっ!! 今朝起きたら種族進化(クラスアップ)をしておりました! しかし、不肖ゴブリダ。修業が足りず位階進化(ランクアップ)とはなりませんでした。申し訳ございません」

「いや、謝んなよ!! というかなんでイケメン補正掛かってんだよ? 最早面影すらないし。ビビるわっ!! しかし、なんでまた急に進化なんてしたんだ?」

「恐らくですが、先日主様が集落に立てた石碑が関係あるかと思われます」


 石碑? そういえば戦死したゴブリンたちの慰霊に、石碑は立てたけどあれが関係してんの?


「昨日の夜、石碑から戦死したゴブリンたちの声が聞こえたのです。我らの代わりに主様を守ってほしいと。逝った者たちは死してなお、その忠誠心が尽きず、我に宿りその力をもたらしたのではないかと思います」


 えぇーー……めっちゃくちゃ重いんだけど? つか、お前ら成仏していいからっ!! そのための石碑だし。ゴブリンってこんな忠誠心強いモンスターだっけ? ほんと凄まじいな。


 それにしてもゴブリダの奴、よく見たらゴリゴリのイケメンじゃねーか。

 

 アッシュグレーの短髪に、そのサイドには炎の紋様が入った剃り込み。あの鬼瓦のような顔も、今では非常に端正な顔立ちに。その眼は細くとても鋭い。雰囲気は歴戦の将そのものだ。うちのダンジョンで誰よりも強そうなんだけれども? ビフォーアフターがエグいっ!!


「そっ……そうか。なんというか、その、これからもよろしく。あっ……、後、あの牛二頭はほうっておいていいから。つか、反省足りないようだったら拘束して辺獄にでも吊るしといて? 俺、今日忙しいからさ。ゴブリダ、頼むぞ?」

「ぎょ……御意?」


 そう会釈し、イケメンゴブリダは去っていった。


 うーむ……。クソっ、去り際もかっこいいじゃねーか。あの腰蓑時代が懐かしいなぁ。しかし、ゴブリダのおかげでちょっと気合いが入った。よし、賢者タイム終了!!







 謁見の間へと入ると、リリーナ、ミッチー、カタリナの三人が待っていた。


「あっ、マスター!! すごく似合うじゃないですか!!」

「おぉ、ヨルシアさん! かっこいいですね! まさに魔王って感じですよ!」

「そうか?」


 いつものように黒っぽいコーデなのだが、今日は高級感のある金色の刺繍がされたコート、そしてフリルの多いインナーシャツ。まぁ、式典の時にしかきない魔王服だから仕方ないんだけど、ちょっと恥ずかしい。


「ん? カタリナも行くのか?」

「はい。カタリナさんには、これからオレのサポートをしてもらおうと思って。国が落ち着くまでは内政関係の仕事を手伝ってもらうつもりです」

「ミッチー、さすがにそれヤバくないか? レグナード王国にバレたら厄介だぞ?」

「ヨルシア陛下。大丈夫です。保護していただいている身でございます。こうして身を隠し、必要であれば名も代えます」


 そう話すと、カタリナがフード付きの薄紫色のローブで顔を隠す。確かにこれなら素性は割れないか。

 まっ、他の内政官たちはミッチーの元部下だし、カタリナに外交さえさせなければ問題ないか。


「わかった。じゃあ無理のない範囲でサポートを頼む」

「御意」

「じゃあ、ヨルシアさん。そろそろ時間ですし、いっちょやりますか(・・・・・)!!」

「おう! じゃあ、ミッチーの晴れ舞台を特等席で見させてもらうわ」


 そして、俺たちはウィンクード城のテラスへと転移をした。



本日もデビダンを最後まで読んでいただき誠にありがとうございます。

ブックマーク、評価、感想、誤字訂正をご指摘いただいた皆様。心より御礼申し上げます。

建国宣言の回、一つ伸びましたm(_ _)mゴメンチャイ

牛二頭が夢の中で叫ぶんだもん。我らを出せと……

次話はちゃんと書きます!

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