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第47話 愛の爆弾

 非常に濃い四人のキャラたちがウチの城に住み始めて一ヶ月ほどが経った。俺はというと毎日マリアンヌと牛面ブラザーズに迫られている。


 ……まさに悪夢だ。


 まともなのはアーヴァイン君だけで風呂場では牛面ブラザーズから俺を全力で守ってくれている。アーヴァイン君は超良い奴なので、この四人のリーダーは彼に任せることにした。

 頼む、アーヴァイン君!! あの三人を制してくれ……。


 そしてマリアンヌはリリーナと毎日喧嘩していた。理由が至極しょーもない。何せ俺との夜迦でのことだからだ。


 ふっ……笑っちまうだろ? 息子の引き篭もりを放置してたら、いつの間にか再起不能状態まで陥っているのに夜迦のことで揉めるなんてどうかしてる。もうほっといてほしい。いや、むしろ忘れてほしい……。俺のデリケートゾーンだから。


 それでもマリアンヌは俺と一緒に寝たいらしく常に寝室へ潜り込める口実を探している。勘弁してくれ。既に二人も抱えて寝てるのだ。三人目はどこに寝るというのだ? 宙にでも浮くのだろうか?


 そして最後にミッチーだが、その有り余る魔力を使って急速にウィンクードの街を発展させていっている。街の人口は既に1000人を超え、ちょっとした小都市になっていた。なんでも楽市楽座という商業対策を街に取り入れたらしく、商人がウィンクードに店を出店するにあたり、一時的に課税免除にしたようだ。そしてダンジョンから発掘される物を、商人を通じてミスリルウォークと交易し、街を短期間で発展させていっている。ミッチーって中身は変態だが、その手腕は評価せざるを得ない。


 しかし、それに伴いダンジョンの階層を新たに追加しなければならなかった。


 あの四人が魔族へと転生した日。ミッチーとダンジョン経営について話し合ったのだが、当時このダンジョンの評価は帰らずのダンジョンとまで呼ばれ最悪なものだったらしい。しかも国は勇者派遣まで検討していたようだ。


 それをミッチーが敢えて三階層ほど攻略済みとし、採取・採掘などが可能なダンジョンとして解放してみたらどうかと進言してきたのだ。


 そうすれば、このダンジョンもウィンクード、いや王国の発展のために必要なダンジョンとして確立される。資源が採掘でき、利益を生むことが可能であればダンジョンを潰すということはないらしい。そして三階層以降は領主命令で立ち入り禁止とすればうまくWINーWINな関係になれる算段だ。

 冒険者たちはダンジョンの魔物たちの素材や鉱物の発掘、ダンジョンとしては魔物たちに倒された冒険者たちから魔素が回収できる。しかも領主命令を無視して三階層以降に降りてこようものなら、強くなったウチの魔物たちの餌食となる。冒険者の数も以前に比べ少数となるはずなので対処もしやすい。とても良いロジックだ。さすがミッチー!


 と、いうわけで階層を増やした。現在のダンジョンはこのようになっている。


1階層:巨大戦闘用フィールド(洞窟型採掘可、採取可)


2階層:自然来住型魔物用フィールド(NEW! 草原型採掘不可、採取可)


3階層:自然来住型魔物用フィールド(NEW! 高原型採掘可、採取可)


―これより人族立ち入り禁止区域ー


4階層:ゴブリン迷宮(集落はフィールド)


5階層:地底湖迷宮 (地底湖はフィールド)


6階層:地下水脈迷宮


7階層:沼地フィールド


8階層:地底魔城フィールド



 まさかの八階層!! ウチのダンジョンも大きくなったもんだ。

 1階層に住み着いた魔物たちもその数を増やし、ダンジョンをかなり圧迫していたので、今回階層を増やせたのは非常に良かった。今ではその魔物が住みやすい環境を選べるという夢のダンジョン! 1階層から3階層までは様々な魔物が住む楽園と化している。

 リリーナ曰く、これも混沌地(カオス・ポイント)のおかげらしい。と、まぁこれがウチのダンジョンの近状だ。


 さて、それよりも問題なのが今日も目の前でリリーナとマリアンヌが喧嘩をしていることだ。いつにも増して喧騒が激しい。マジでいい加減にしてほしいが、口を挟むと飛び火する恐れがあるので何も言わない。そう、俺は勉強したのだ。余計なことを言わないと。


「いい加減諦めたらどうですか!? このケバ年増!!」

「カッチーーン……小娘ぇ。言ったわね!! この変態淫魔が!!」

「なっ……なんですってぇー!?」


 はぁ……、今日もキャーキャーと喚いてる。二人とも毎日毎日疲れないのか? たい焼きですら海に逃げたんだぞ?


「のう、ヨルシア。そろそろ止めなくても良いのか? そちを巡って争っておるのだぞ?」

「エリー、アレの中に仲裁に入れっつーのか? 勇者討伐より酷だぞ?」

「しかし、お主が仲裁せずに誰がするのじゃ?」


 んー、エリーの言うことはわかるが正直面倒くせぇ……。風呂上がりの買い出しよりも面倒くせぇ……。


「ヨルシア様!! 貴方様もこの変態淫魔に騙されております! 早く目をお覚ましくださいませ!」

「あっ……あなた! 本当にいい加減にしなさいよ!! 言って良いことと悪いことがあるわ!! それ以上話すのならこっちだって容赦しないわよ!」

「おーほっほっほ! 格上相手に勝負を挑むなんていい度胸じゃない。いいわ! 力の差を思い知らせてあげる。掛かってきなさい小娘」


 あっ、これはあかん。ガチ喧嘩になりそうだ。……さすがに止めないとマズイか。

 つか、えぇーー俺がやんの!? めーんーどーくーさーいー。

 しかし、そうは言ってられないので止めに入る。


「なぁ、二人ともいい加減にしろって。身内同士が争うなよ!」


 俺が叱ったことにより意外にもリリーナがシュンっとした。これにはビックリ。しかしマリアンヌはそれでも納得いかないようだ。


「お言葉ですがヨルシア様。兼ねてからお伝えしておりますが、わたくしはヨルシア様を一人の女としてお慕い申しております。それはもう海よりも深く空よりも広い『愛』でございます。それなのにその小娘はヨルシア様に愛を伝えることもなく、ただ一番始めに出会ったからという理由だけでヨルシア様の愛を独占しております。わたくしにはそれが許せません」


 独占? 愛? どういうこと??

 俺には正直なんのことか理由が分からなかったが、次のマリアンヌの言葉で全てを理解することになる。


「これは御身のために申し上げます。けしてその小娘が憎くて申しあげるのでないことを承知くださいませ。ヨルシア様、その小娘はあろうことに……「やめてっ!!」」


 リリーナが突然大声を上げてマリアンヌの言葉を遮った。

 めっちゃビックリした。リリーナがこんな声上げることなんてなかったもんな。やっべ……、相当怒っているのか?

 しかしリリーナを見ると、その表情は何故かとても悲しそうだった。


「これ以上は本当にやめて。お願い……」

「おーほっほっほ! 今更何を仰ってるのかしら? わたくしは先程お伝えしましたよね? 許せませんと? 貴女はヨルシア様のお人柄を利用し、今の今まで『愛』もなく無作為にヨルシア様の身体を貪っていたではありませんか。ましてや一番の側近である貴女が自分の気持ちを伝え……「わかってます!! 自分で言うから待ってよ!!」」


 なんだか空気が重い。

 ……バカな。界〇星に来た覚えはないのだが?

 つか、さっきまでそんなことなかったやん。この張り詰めた空気……俺、めっちゃ苦手なんだよね。あ……、おなら出そう。


 それにしても何故こーなった!? しかもリリーナにしては珍しく何か言い辛そうにしている。もはや嫌な予感しかしねぇ。

 すまん……この空気に俺は耐えられぬ! もう吐きそうだ。……よし、終わらそう!!

 無っ理でーす!! 


「リリーナ? そんなに言い辛いのなら無理に話さなくても‥…「ヨルシア!!」」


 俺が話さなくて良いと言いかけたところでエリーの待ったが入る。

 えぇーー……まじかよ。

 しかも何故か少し怒っているようにも見えるんですけど? ちょっと待て、俺なんかした? 空気悪いから終わらそうとしただけなのに。


「ちゃんと、真剣にリリーナの話を聞いてやるのじゃ」

「おっ……おう!」


 思わず雰囲気にのまれ返事を返してしまう。

 あの、エリーさん? 俺、至って真面目だったんだけど?

 再度、リリーナの方を見ると何かを決意したのか彼女の両手にグッと力が入るのが分かった。

 

 あっ……あれ? もしや殴られるパターン!?

 俺なんか地雷踏みましたっけーー!? 










「私はずっと前からマスターのことが好きなんです!!」









 リリーナが叫ぶようにして言い放った衝撃の一言。


 今、何が起こった!? は? え?


 おおお、おっ……俺ぇぇぇ!?


 ヤバい、脳内処理が追いつかなくてバグりそうだ!!


 リリーナの地雷を踏んだかと思ったが、爆弾は爆弾でもそれは愛の爆弾だった。




明日で第2章完結します。

その後、幕間などでキャラ詳細や、詳しいダンジョン紹介をしていきたいと思っております。

吹き荒れろ、愛の嵐!!(。-`ω-)


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