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第45話 盛りすぎ、そして増し増し。

 エリーからのNEETになれない宣言を受けたが、そんな簡単にNEETを諦められるかっ!! ミッチーの存在がバレるのがマズいのであれば隠蔽しよう。そう、バレなきゃOK!!


「と、いうわけでミッチー。勇者や聖教会とやらにミッチーの存在がバレると厄介そうなんだ。人化して正体隠せたりする?」

「多分問題ないですよ? ちょっとお待ちください。……人化(ヒュームフォーム)!!」



――ボボン!!



 ミッチーが人化の術を使うと謁見の間は煙に包まれた。ミッチー煙いわ。

 そして徐々に煙が晴れていくと、そこには憎らしいほどの美少年が全裸で立っていた。

 えっ、誰? しかも、フルティンだし。 



「うわっ! オレ、裸じゃん!! 服、服!!」



 どうやらその美少年はミッチーのようだ。

 美容クリニックもびっくりである。ビフォーアフターがエゲツない。もはや別人だし。面影すらない。


 裸のミッチー(?)は周囲の魔素を大量に集めそれを魔力へと変換する。そしてその魔力の糸であっという間に魔服を錬成した。作り上げたのは濃い藍色のフード付きのローブ。

 所々、金色の蔓のような刺繍が施されているお洒落ローブだ。意外とミッチー(?)のセンスが良い。


「ヨルシアさん、お待たせしました。こんなもんでどうっすか?」


 うむ。素晴らしい人化の術だ。巨大な魔力も抑えてあるし、邪悪な感じもしない。全て隠蔽魔法で隠しているようだ。パッと見た感じでは、まずリッチには見えない。


 だがしかし……だがしかし、これはツッコミを入れるべきなのだろうか? それとも触れない方がいいのだろうか? いや、駄目だ!! これは本人のためにも言おう!!


「なぁ、ミッチー……」

「はい!」









「………盛り過ぎじゃね?」








「えっ……? なっ……なんのことっすか?」


 ミッチーが転生前の姿をなかったことにしようとしている……。

 逆にすげぇ!! さらっとイケメンキャラ設定に持って行く気だ。でもそれ無理じゃね?


「……なぁ、ミッチー? おっさんから美少年は正直痛いぞ? 俺はありのままのミッチーでいいと思うんだ。それに美少年になって得することがあると思うか? 男は顔じゃない。ハートだぜミッチー? 偽ると後で辛くなるぞ?」

「ヨルシアさん……。オレ、オレぇ……」


 彼もわかってくれたようで、シュワワワーと身体から煙を上げて元の姿に戻っていく。

 うん、ギャップがエグい。美少年からおっさんだもんなー。


「で、マスター? 茶番はそこまでにして今後のことを話し合いましょう」

「「茶番!?」」

「当たり前ですっ!! それよりも異世界人のミチオさんが、うちのダンジョンの一員になってくれたので、我々が選べる選択肢がさらに増えました。とりあえずミチオさんには街へ戻ってもらい通常通りの業務を行ってもらいましょう。そして徐々にウィンクードをうちの支配地域化していくのが得策かと」

「リリーナ、今更なんだけど支配地域化ってどうしたら支配地域になるの? つか、そもそも支配地域って何だっけ?」

「マスター……? 本当に今更ですね」


 げっ……、リリーナが青筋立ててイライラしてるんですけど?

 何故、リリーナはこうも簡単に機嫌が悪くなるのだろう? もしかして彼女のイライラの原因はカルシウム不足ではないだろうか? 今回はミッチーもいることだし、ガツンと一発言ってやろう!!


「だって知らないって言ったらリリーナ怒るじゃん!! ほら、今も既にイライラしてるし!! リリーナ、小魚を食え! お前のイライラはカルシウム不足が原因だ!! なぁ、ミッチー?」

「そうですね。でもヨルシアさん、もしかしたら彼女アレの日かもしれないですよ? だからオレはお腹を温める方がいいんじゃないかと思うんですけど?」


 ……あっ、まずい。めっちゃ地雷踏んだ。リリーナさんの髪の毛が逆立ち始めた。オーラがやべぇ……。ミッチーすまん。巻き添えになるかも。いや、もう巻き添え確定だわ。



―――キィィィイーーーーン!!




 リリーナの身体から全てを凍てつかせる冷気が溢れ出す。それが俺とミッチーを襲った。


「りっ……リリーナさんっ! ごめんなさい、ごめんなさい!! マジ凍る、マジ凍るからやめてぇぇぇ!!」

「なんでオレもーー!? え? 熱っ! あっ、いや冷たっ!? 痛い、痛い、痛い! 凍った箇所、超痛いんですけどぉー!? よっ、ヨルシアさん助けて!!」


 ミッチー諦めろ……。君もそういう宿命のようだ。もう一緒に凍ろうぜ。







 ふぅ……。全くエライ目にあったなー。まさか全身凍らせられるとは。リリーナのDV技が日々昇華されていってる。困ったものだ。

 

 巻き添え喰らったミッチーは怒るかと思ったら、何故か嬉しそうだったし。彼はドMなのだろうか? まぁ、悪い奴じゃないからいいけど。


「マスター、そろそろ本当に学校からやり直しますか?」

「リリーナさん、本当に勘弁してください。それだけは……それだけは何卒……」


 そんなにプリプリしなくてもいいのに……。


「いいですか? 支配地域というのは、そこに住まう人族から魔素を回収できる地域のことを指します。量とすれば微々たるものですが、毎日定期的な魔素収入があります。長期的に見ればかなり大きな魔素収入となるでしょう。ですので大きなダンジョンになればなるほど必然的に支配地域を多く持つことになります」


 それめっちゃいいじゃん!!

 だから地上で領地を構えている魔王たちは人族たちを奴隷として受け入れるのか。


「しかし、今回はマスターの意向で人族たちにバレないように支配地域としないといけません。奴隷にするなんてもってのほかです。支配地域化自体はそう難しいことではないのですが、人族たちも馬鹿ではないのでそれを防ごうとします」

「そうなんだ。ちなみにどうやって支配地域化すんの?」

「DPカタログにエリー様を模った銅像があります。それを街の中心部に建てるだけとなります。難しいことではありません。そして、その設置した像から魔素を回収しダンジョンに送ります」


 え? めっちゃ簡単。だったら、それジャンジャン作ればいいじゃんか!


「しかし、この像は巷では邪神像と呼ばれ、そのまま設置すればすぐ人族どもに破壊されてしまいます。それどころか設置した人物が魔族と繋がりがあると判断され騎士団に拘束されるでしょう」

「なんと!? それはいかんのう。妾は邪神ではないぞ? 暗黒神じゃ! それに妾の像を壊すなぞ、罰当たりな奴らじゃな!!」


 エリー、ツッコむとこそこなの?


「はい、エリー様。そのうち人族どもに天罰与えましょうねー」

「うむ♪ 与えるのじゃ!」


 リリーナもエリーの扱いはもう手慣れたもんだな。綺麗に流しやがった。


「さて、せっかく設置したエリー様の像を壊されるのは避けたいので、この像を作り変えて人族たちが崇める女神像へと見せます」

「リリーナ。街にはプラチナクラス以上の冒険者たちがいるがそれは看破はされないのか? いくら作り変えたっていっても魔素が集まる像なんて不審がられるだろ? 鑑定魔法を使える奴がいたなら一発で終わりじゃね?」

「はい、それが今回の問題です。特に懸念すべき点は冒険者よりもギルドマスターの方ですね。調べたところミチオさんとの関係性があまり良くないです。ミチオさんがこの像を設置しようものなら、すぐ疑念を持ち間違いなく女神像を調べるでしょう」

「そうなのかミッチー?」

「えぇ……、まぁ……」


 ミッチーが急によそよそしい。どうしたのであろうか?


「忍衆の調べでは、ギルドマスターはミチオさんのことをザコ領主、出来損ない、失敗作、ムッツリスケベなどと呼称し蔑んでおりました。そして時を見てミチオさんを処分しようとも画策してたようです」


 あっ、そういうこと。なるほどね。

 しかし、リリーナ?

 めっちゃストレート。ストレートに言い過ぎてミッチーがダメージ受けてるぞ? Oh……ミッチー、ドンマイ。


「それにしてもオレって危なかったんですね……。まさか命まで狙われてたとは」

「ほんと信じられん野郎たちだな。ミッチー、うちに来てマジで良かったじゃん」


 しかし、そうなるとそのうちミッチーの正体もバレる懸念がある。さて、どうしよう?


「ヨルシアさん。もし良かったら支配地域の件、オレに任せてくれないっすか?」

「おっ! ミッチー、なんか名案でもあんの?」

「はい! リッチに転生した時に膨大な量のスキルや魔法に関する知識を得ました。その中でいくつか使える魔法があったのでちょっとやってみようかと!」

「ちなみにミチオさん、何をしようとしてますか?」


 あっ、リリーナの目が光ってる。ミッチー、地雷踏むなよ!!


「いや、奴隷がダメなら操ってやろうかなと」

「操るですか。ギルドマスターを殺害してゾンビ化するということですか? それとも精神魔法で干渉して操るということですか?」

「いや、まず精神魔法だと付きっきりで魔法掛けないといけないから無理ですし、ゾンビ化だと肉が腐り落ちてすぐバレるからこれも無理」


 ほう、精神干渉系の魔法も使えるんだ。あれ、かなりの上級魔法なんだよなー。上級魔族でも使える奴は少数だぞ? ミッチー、ゴイスー。


「だから一度、死霊魔法(ネクロマンシー)でギルマスたちの魂を抜き取って仮死状態にさせます。その間、生命維持ができないので身体が腐らないように生活魔法の【食料保存】の魔法を使えば身体をそのまま保存できます。身体が本体のゾンビには【食料保存】を掛けることはできませんが、死霊化して魂だけの存在であれば、本体は魂なんでこの方法が使えるかなと。最後に死霊化した魂を身体に戻して完成です。これで記憶もそのままで、どんな命令も聞く兵士のでき上がりっス!」


 ミッチー凄ぇ!! そんな裏技を考えくれるとは。


「しかし、ヨルシアさん。デメリットもあります。まず、無理やり受肉させるので魂のリンクとか完全無視です。かなり身体能力も落ちますし、もしかしたら多少性格が変わるかもしれません。まぁそうなったら俺のボディガードって肩書き付けておけばなんとかなると思いますけど」


 なるほどな。反魂の術じゃないから性格については仕方ないか。まぁ、俺は良いと思うが。

 リリーナの方をチラ見すると、リリーナも軽く頷いた。

 おっ、意外にもリリーナもオッケーなようだ。ミッチーやるじゃん! よし、これで進めてもらおう。


「じゃあ、ミッチー。それで頼む。エリーの銅像はDP商品のようだから後で届けさせるわ。設置場所は任せるからよろしく。何か困ったことがあれば随時報告してくれ!」


 こうして魔王が俺の眷属に加わるというとんでもないことが起きたが、無事ウィンクードの支配地域化が始まった。

イケメン補正失敗(`・ω・´)

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