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第40話 呪いの腕輪

 急遽、持ち上がったウィンクードの侵略計画。その作戦会議をするために俺、リリーナ、エリー、ルル、パケロ、ゴブリダが城の会議室に集まっていた。


 無駄に豪華な会議室。その中央には大きな円卓のテーブルが置かれ、それぞれが机を囲むように着席している。

 そしてその円卓の真ん中には、立体ビジョンを投影するクリスタルが設置され、今回問題のウィンクードの街が映し出されていた。


「さて、それでは皆さん会議を始めます。今回の議題はダンジョンのすぐ目の前にできた小さな街【ウィンクード】の侵略についてです」


 そうやって司会を進行するのは、もはや学級委員長といっても過言ではないリリーナさんだ。やはりまとめ役をやらせると彼女は光り輝くな。DVさえなければ文句はないのだが。


「では、現在までにわかっているデータを表示します。これがウィンクードの戦力データです」


 そう言ってリリーナが立体ビジョンにデータを表示した。


◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

町名:ウィンクード

(開拓村より発展)

人口:359人

領主:ミチオ・T・ウィンクード


冒険者ギルド

ギルド長:ロドック(ミスリルランク冒険者)

滞在冒険者数:76人


騎士団

騎士団名:レグニード騎士団

     第21番隊 現団員16名

隊長:マーシー・フレニット(死亡)

◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



「以上が、忍衆の皆さんに調べていただいた街のデータです。騎士団については、先日ゴブリダさんの部隊が侵入してきた騎士たちを殲滅してます。街に残ってる部隊に関しては、大した障害にはならないでしょう。しかし、街に滞在している冒険者が厄介です。ランクが高いのはギルド長含めて5人。全員がミスリルランクとなります。単独でもかなりの戦闘能力があり、連携までされると手のつけようがありません。万が一、遭遇した場合は集団戦に持ち込まれる前に撤退するのが望ましいでしょう」


 なるほど。ミスリルランク面倒くせぇ。俺の心のメモに刻んでおこう。それにしても街の人口まで調べあげるとは忍衆やるな!


「しかし、リリーナ。それを言うなれば、ヨルシアも魔族にしては珍しくゴブリダたちに集団戦闘をさせておるぞ? ミスリルランクの冒険者がいようが、ヨルシアのスキル補正でゴブリダやパケロの眷属たちでも十分渡り合えるのではないか? 先日の騎士団戦が良い例じゃ! ゴブリダが倒した騎士団長も中々強かったが、数の暴力の前に屈したではないか!」

「はい。これがダンジョン内であれば地の利がこちらにありますので、高ランクの冒険者相手でも互角に渡り合えるかもしれません。しかし、今回はそうではなくダンジョン外での行動です。しかも目的は冒険者ではなく領主となります。基本、秘密裏に作戦を進めるので大きく目立つ行動はできません。ですので、基本は単独行動となります」


 んー、だよなー。しかも今回はあっちのホームグラウンドだ。戦闘になれば間違いなくやられるだろう。やっぱダンジョン外となると不利なんだよなー。だから暗躍し、領主だけを狙う必要がある。

 というかリリーナの口振りからすると、もう何か作戦でもあるのだろうか?


「なぁ、リリーナ。もしかしてもう何か考えてんの?」

「はい。実は先日ルルちゃんが面白い魔道具を作成したので、今回はそれを軸に作戦を立てようかと思っています」

「魔道具?」


 思わず俺は聞き返してしまった。

 魔道具とは、何かしらのアビリティを付与された便利道具のことだ。魔力でお湯の湧くヤカン然り、魔力冷蔵庫然り。異世界人の持ち込んだ知識によって様々な便利グッズが日々生み出されている。

 その魔道具をうちで作っただと!? ルルやるな。


「そうです。じゃあ、ルルちゃん。魔道具の説明をお願いね」

「はっ……はい! お姉様!」


 ルルが緊張しながらも、肩掛けカバンからブレスレット型の魔道具を取り出した。

 禍々しくも真っ赤に輝くルビーをはめ込んだ一品だ。というか俺の想像と180度逆の魔道具だった。便利グッズじゃないよねコレ?


「これは、私が作成した呪いの腕輪の一つとなります。先日、ゴブリダさんからコランダム鉱石を頂いたので、試しに錬金してみたら【カースルビー】へと変化致しました。さらのその【カースルビー】を媒体に、騎士団の人が持っていた【聖印の腕輪】を掛け合わせて作った物となります」


 聖印の腕輪ってあれだよな? 精霊の加護を持つアイテムだっけ? アビリティは物によって様々だけど、どれもレアなスキルを取得できるってヤツか。 それにしても……。


「の……呪いの二重掛け+聖印の腕輪っすか。これまたエグいな」


 あまりのエグさに思わずポロっと言ってしまったが、ルルを見ると何故か泣きそうだ。

 あれ? これはイカン!! 貶してるわけじゃないよ!?


「いや……、ルルさん? か……勘違いしては駄目だ! これは褒めてるんだ! ルルは凄いなって! 普通、呪いの二重掛けなんてできないぞ? それにこの腕輪のデザインセンス、マジ優秀! ルルは魔界でもデザイナーとして名が広まるんじゃないかなー」


 思わず、ルルをあからさまにヨイショしてしまった。リリーナの目が痛い。……これは仕方ないだろ?


「ところでルルよ。その呪いの腕輪の効力は分かっておるのか?」

「エリー様、それがまだ調べきれておりません。お姉様の【解析(アナライズ)】では、強力な呪いとしてしか調べられなくて……。そこでエリー様の【(パーフェクト)解析(アナライズ)】で、お調べいただけないかと」

「ルルちゃんの言う通り、この呪いの腕輪の効力はまだ判明しておりません。しかし、従来で言えば呪いのアクセサリーは人族を操る物が多く、非常に強力なアイテムとなるはずです。エリー様、お願いできないでしょうか?」

「相分かった。妾の【(パーフェクト)解析(アナライズ)】で調べよう。ルルよ、魔道具をこちらへ持って参れ」

「はいっ!」


 そう返事をすると、ルルがエリーの前に腕輪を持ってテクテク走っていく。

 こうしてみると、二人ともほんとまだ子供だよな。知らない奴が見たら仲の良い友達だろうけど、中身は暗黒神と錬金室長だぜ? 近寄りがたし!!


「では、いくのじゃ! 【(パーフェクト)解析(アナライズ)】」


 それにしても調べる能力っていいな。俺も学生時代に魔法素質取っておけばよかった。でもまぁ、きっと途中で飽きて投げ出すだろうけど。単位とれなくて未取得みたいな。……うん、笑えねぇな。


「ふむふむ……なるほどのう。この腕輪の効果が分かったぞ。これは装備する者を強制的に魔族に転生させる【魔堕ちの腕輪(デビルズリング)】じゃ。聖なる腕輪が呪いの魔力に侵食され、出来上がった非常に珍しいアイテムじゃな。錬金成功率も非常に低いぞ? さすがはルルじゃ!!」

「エリー様、ありがとうございます! 嬉しいです♪」

「後は、この腕輪にヨルシアの魔力を流し込めば、装備者が魔族に転生してもヨルシアの忠実なる眷属になるじゃろう。それにベースが聖印の腕輪じゃ。どんな強力な魔族へと転生するか楽しみじゃわい」

「へぇー、便利だな」

「じゃが、聖なる神の加護を持っている者や、悪魔の誘惑にも負けぬ心が強き者であれば、レジストされてしまう恐れがあるがのう。まぁ、しかし領主といっても所詮一般人。強力なレジストアイテムを持っていない限り魔物堕ちすると思うが」


 やはり呪われたアイテムの効果は強力だ。しかも強制魔族転生って……パネェな。

 それにしてもこんな物騒な物を製作したルル。……なんて末恐ろしい娘!!(白目)


「じゃあ、後はどうやってこの腕輪を領主にはめるかだな。ゴブリダたちだと目立つし、やはり暗躍するならケロ君か」

「主様、申し訳ありませぬ……」

「ケロぉ〜♪」


 ……あっ、やっべ。ゴブリダを凹ませてしまったかな? テヘペロでもしとくか? いや、やめとこう。俺がやったとこで誰も萌えねぇ。フォローしておくか。


「ゴブリダ。お前にはもっとハデに活躍してもらう。いつでも出撃できるように準備を怠るなよ!」

「御意!!」


 テキトーなことを言ってしまったが、ゴブリダの士気が上がったから良しとしよう。気遣い大事!


「マスター、それではまずパケロさんの部隊に領主について詳しく調査をしていただきます。それでよろしいですか?」

「おう、ケロ君。よろしく!」

「ケロっ!!」

 

 ケロ君が任せろと言わんばかり胸をドンっと叩く。

 うちのスタッフたちは優秀な奴が多いなー。

 つか、俺いらねぇじゃん。……うん、もっとサボるべきだな。


 そんな俺の気を察してか、いきなりリリーナがギンっとこちらを睨む。

 ……怖っ!?

 リリーナは俺に関して何かしらの第六感を持っているのだろうか? 本当にやめてほしい。


「では、明日よりウィンクードの調査を開始します。初めてのことですので、突発的なトラブルも予想できます。各自すぐ対応できるように準備をしておいてください」


 そういって記念すべき第一回目の会議が終了した。

 やっぱり会議と名の付くものは嫌だな。途中危うく寝そうになった。

 その都度、リリーナさんが殺気を出すので寝れなかったのだが。


 とりあえず、まずは領主様の素性調査の報告を待ちますか!




 


 



デビダン!を読んでいただいている皆さますみませんm(_ _)m

バグって何故か投稿になりました。

内容少し訂正するかもしれません。

本日分となります。


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