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第24話 妖精族 ケット・シーのルル

——ビー、ビー、ビー!!


【侵入者です。速やかに排除してください。侵入者です。速やかに排除してください】


 おいおい、今日何回目だっーの!! いい加減にしてほしい。


 ダンジョンを襲撃してきた冒険者たちを撃退してから三週間ほどが経った現在、ダンジョンは冒険者たちでごった返していた。既に100名近い冒険者たちを撃退している。


 ……悪夢だ。


 これでは毎日仕事をしなくてはならない。しかも、リリーナがすっげー生き生きとしている。忙しいからだろうか? しかしさすがに一人でオペレーター業務をこなすには限界があり、なぜかエリーがオペレーター業務を手伝っていた。

 神様にこんなことをさせていていいのだろうか? いや、下手に突っ込んで仕事がこっちに回ってきてはヤブヘビだ。見なかったことにしよう。


「マスター、第五小隊が冒険者と接触!! 指示をお願い致します!!」


 またか。ほんと人族は好戦的だな。なぜ、こんなにも戦いを好むのだろう? そんなに死にたいのだろうか? 変わった種族だ。


「わかった。第五小隊はすべて拠点3まで撤退。その間に、第六小隊、第七小隊で冒険者たちを囲め」

「了解!」

「ヨルシア! こっちはどうするのじゃ?? 冒険者パーティがニ階層へ目指して進んでおるぞ?」

「そっちは放っておいていい。スライムさんたちに処理してもらおう。とりあえず、二階層へと冒険者たちが下りたら、第三小隊を陽動部隊にしてスライムさんたちに奇襲してもらう。それで駄目なら、その時考える」

「わかったのじゃ!」


 まじでエリーのオペレーターが徐々に馴染んできている。つか、そろそろ帰るよね? ここに住まないよね? 最近、寝るとき俺にくっついて寝やがるから、ゆっくり寝られないんだよ!!


 冒険者の人数も多いが、ダンジョンを守護する魔物たちも日を追うごとに増えていった。現在のダンジョン戦力はゴブリン族が170体、スライム族が43体だ。ちょっと前まで200体ほどまでゴブリンたちが増えたが、度重なる冒険者たちの襲撃で30体以上被害が出ている。そのつど、武器などが奪われ俺が錬金に駆り出される。


 はぁ……。錬金楽しかったけど、こうも毎日錬金していると辛いな。つか、もはや仕事と同じじゃねーか!! 誰か俺の代わりに錬金やってくんねーかな。



 ……って、それだーー!!



 そうだよ、俺がやらなくても代わりを雇えばいいだけじゃん!! 俺としたことが、真面目委員長のリリーナに毒されたせいで、見落としていたぜ!!


「なぁ、リリーナ。いまDPいくつある?」

「現在62890Pまで貯まっていますが?」

「よし、ガチャをやるぞ!!」

「なっ、いきなり何を言っているんですか!?」

「妾もやりたいのじゃ!!」

「エリー様までっ!!」

「リリーナ、落ち着け。ちゃんと考えがあってガチャを回すんだ」

「えっ? 本当ですか? ここでボケたら私の超必殺技喰らわしますからね?」


 リリーナの目がマジだ。超必殺技とか言ってる時点で地雷でしかない。うん、ボケるのはやめよう。


「正直、俺が錬金で何時間もマスタールームを離れるのは駄目だと思うんだ。しかし、このダンジョンにとって錬金武具とは死活問題でもある。そこで、俺の代わりに錬金の得意な魔族をガチャで手に入れようと思う。どうだ?」

「……まともですね」

「じゃのう」

「だから、魔界錬金学校の卒業生が待機している錬金系ガチャを引きたいんだが?」

「うー……、1回だけですよ?」

「狭っ! リリーナの心、狭っ!! 一人で何百人の装備を作るのは辛いんだぞ? うちはそんなブラックなダンジョンなんて目指してないから! せめて三人は必要じゃないのか??」

「ダンジョンのために言ってるんです!!! 1000Pガチャ一回だけです!!」


 ちっ、仕方ない。回せるだけでも良しとしよう。これで俺のサボる時間が増えるぜ♪ さぁーて、ガチャしよーっと!


「ヨルシア、妾もそれ回したいのじゃ!」


 さっきは無視したが、なぜかエリーの奴、やけにガチャに拘るな。まぁ、別に回すくらいならいいか。


「じゃあ、エリー回していいぞ!」

「おおっ! やったのじゃ! 初ガチャなのじゃ!」

「おお、回せ、回せ!」




――ガチャガチャ……ピカァァァァーーー…………ポンッ!!



【ケット・シーが眷属に加わりました】



 エリーが勢いよくガチャを回すと、地面に魔法陣が浮き上がり、そこから一人の少女が現れた。

 少女はエリーと同じく身長は110cmほどしかなく小柄だ。髪は前髪が切りそろえられた猫耳ショートボブ。艶のある黒色の髪に大きな赤いリボンをしていた。服装は黒色のローブを。背中には白い巨大な猫のぬいぐるみを背負っていた。


「あっ、あの! はじめまして、あなたが私のご主人様でしょうか? 私、ケット・シーのルルと申します! どうぞ、よろしくお願い致します!」


 ケット・シーのルルとやらは、エリーに深々と頭を下げて挨拶をしていた。


「のう、ルルとやら。妾はお主の主人ではないぞ。隣にいるこやつがお主の主人じゃ」

「えっっ!? あわわわわ、もっ……申し訳ございません。また私、またうっかり……、あの、その……」


 ゴブリダみたいな髭面おっさんドワーフ術士が来ると思ってたが、予想に反して随分可愛いお嬢さんが来たな。そういえばケット・シーって錬金術士協会をまとめてる種族だっけか? 見た目はアレだけど腕は期待できるかもしれん。


「とりあえず、落ち着け。俺がここのダンジョンマスターのヨルシアだ」

「はい! あなたが私のご主人様ですね! どうぞよろしくおねが……」



――グシャァァッ!!!



 勢いよく振り下ろされた少女の頭は、ヨルシアの息子が祭られている御所へと直撃した。

 それはまるで大ききな隕石のようなもので、直撃した破壊力は凄まじかった。



「いぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁーー!?」



 俺はあまりの激痛に股間を押さえながら地面をのたうち回る。

 何この娘!? 人族から派遣された殺し屋なのか? 俺の息子をピンポイントで狙撃するなんて。


 つかこの子、あかん! あれだ、そう天然! しかもド天然!! これでドジっ子属性が付くものなら、危険極まりないぞ!? ……俺が。


「ごっ、ごめんなさーーい!!」

「まっ……マスター、大丈夫ですか?」

「ヨルシア……今のは痛かったのぅ。大丈夫か?」



 そして、五分後……。俺は背中をトントンと叩きながら何とか立ち上がる。

 息子は、息子は大丈夫なのであろうか? 最近、引きこもって元気ないんです。これがトドメになっていないかちょっと心配。



「ふぅ……、やれやれ。やっと痛みが引いたぞ。ただでさえ、最近元気のない息子にトドメを刺しやがって、これで再起不能にでもなったら、年単位で引きこもるぞ!?」

「本当に、本当にごめんなさーーい!! 捨てないでくださぁーい!!」


  黒髪ロリがびぇーんと、泣き出してしまった。泣きたかったのはこちらなのだが? ……解せぬ。


「ちょっと、マスター! ルルちゃんをいじめないでください!! ルルちゃん、大丈夫よ。ちょっとした事故なだけだから気にしないでいいのよ」

「ひっく……ひっく……あ、ありがとうございますぅ……お姉様」

「お姉様だなんて……」

「おいこら、リリーナ。確かに事故かもしれんが、俺にとっては死活問題なんだよ」

「ヨルシア、大丈夫じゃぞ。お主は心配しすぎなのじゃ。それに寝てる時は、いつもげん……」


 なぜか、いきなりリリーナがエリーの口を塞ぎ、人差し指を口に立てて内緒話をし始めた。……解せぬ。


「とにかく、まぁルルとやら、これからよろしく頼む。お前にはこのダンジョンで錬金を頼みたい。武具は作れるのか?」

「はいっ! お任せください! 錬金は凄く好きです! なんでも作れます!!」


 おお、錬金の話題を振ったらやけに元気になったな。根っからの職人なのか? とりあえず何か作ってもらおうか。


「じゃ、ルル。錬金室に案内するから、何か作ってもらってもいいか?」

「はいっ! 是非!!」



 こうしてうちのダンジョンにド天然ケット・シーのルルがやってきた。



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