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デビダン! ~目指せダンジョンニート物語~  作者: バージョンF
1章 ダンジョンマスター爆誕編
24/95

第23話 交易都市ミスリルウォーク

「ただいまー!」


 ダンジョン内転移でヨルシアがマスタールームへと帰還した。


「マスター、お疲れ様でした。お見事です!」

「うむ、ヨルシア。見事じゃったぞ! 妾も褒めてやるのじゃ」

「どーもどーも! ほんとめっちゃ仕事した! これで三日はサボっても大丈夫だよね?」

「マスター、凄く良い仕事をしてきたのに、帰ってきて早々、私の好感度をグングン下げないでもらえますか?」

「基本、こやつダメ男じゃから仕方ないて。リリーナ、気にしたら負けじゃ」

「エリー様……」


 なんでー!? 俺、めっちゃ頑張ったよね!? なのに、二人して俺をディスってくる。解せぬ……。


「しかし、これからどうするのじゃ?」

「どうするとは?」


 エリーがやけに心配そうに聞いていたので、不思議に思い聞いてみた。


「当たり前じゃろう。あの数の冒険者パーティが町へと帰還しなければ、さすがに冒険者ギルドも捜索に乗り出すじゃろうが!」

「確かに、エリー様の言う通りです。しかも、一名ダンジョンを脱出しております。万が一、町へと戻ればこのダンジョンを探索したことが冒険者ギルドへとバレますね」

「あれ、もしかして俺やっちゃった感じ?」

「いえ、むしろ好都合です。これからこのダンジョンに冒険者たちが続々と現れてくれるかもしれません。マスター、良かったですね! 仕事がたくさんできますよ?」


 はっ……嵌められた。


 リリーナとエリーが凄く悪い顔をしている。だから、あの時の追跡指示にそこまで拘らなかったのね。くそ、なぁんたる失態!!


「マスター、もう起きてしまったことは後悔しても仕方ないです。いつ冒険者が攻めてきてもいいように準備だけはしっかりとしてきましょう。では、これよりダンジョン拡張ミーティングを始めます」


「いやだぁぁぁぁぁぁ!!! 仕事したくなぁぁーーーい!!!」


 俺の魂の叫びがダンジョン内に空しく響き渡った。





 冒険者たちがヨルシアのダンジョンを襲ってから一週間が経った。

 唯一、生き延びたジョルジは、奇跡的に他の冒険者たちと遭遇し一命を取り止め、街への帰還を果たした。


 ラグリス大森林より南に位置する、交易都市【ミスリルウォーク】。ここを橋頭堡に数多くの冒険者達がラグリス大森林に進出していく。毎年多くのダンジョンが出現するラグリスの森は、冒険者たちにとって一貫千金のチャンスともなるので、町は年中冒険者たちで賑わっていた。それでついた名が冒険者の町ミスリルウォークだ。そして、その町のギルドでであるダンジョンの報告が行われていた。


《ミスリルウォーク冒険者ギルド ミーティングルーム》


「ギルドマスターのガイアスだ。今日は忙しい中、集まってもらってすまない。先日、ライアンたちから報告の上がった新規ダンジョンの件だ」


 ギルドのミーティングルームにはパーティリーダーたちによる会合が行われていた。その数なんと、87名。全員が冒険者プレートランク【シルバー】以上の者ばかりだ。


 冒険者のプレートランクとは、全部で八段階あり、上位の金属へといくほど評価される。


【オリハルコン】

英雄。Aランク魔族、魔王と渡り合える人類の守り手。しかし、勇者ではない。


【アダマンタイト】

 Bランク魔族、Aランクの魔物を討伐できる精鋭。英雄予備軍。


【ミスリル】

 聖騎士と呼ばれる王国騎士と並ぶ実力がある冒険者。Bランクの魔族や魔物と渡り合える。


【プラチナ】

 Cランク魔族が討伐可能な冒険者。ゴールドとの間には壁があり、ここからが上級者となる。


【ゴールド】

 オーガやトロールなどのCランクの巨大モンスターを討伐可能な冒険者。


【シルバー】

 一人前冒険者。そこそこの経験や知識を持つ。連携すればCランク魔物を討伐できる者もいる。


【アイアン】

 パーティを組めばEランクの魔族や魔物も討伐可能。いっぱし冒険者。


【カッパー】

 駆け出しの冒険者。まずはここから。ゴブリン狩りや薬草集めメイン。


 

 そして今回集まってるのが冒険者ランクプレート【シルバー】~【プラチナ】のパーティリーダーたちだ。ランク分けで言うと、ライアンのパーティはシルバーランクに属する。



「単刀直入に言うぞ? 知ってる者もいるかもしれんが、先日ライアンたちのパーティがその新規ダンジョンで一名を残し壊滅した」


 ギルドマスターのガイアスがリーダーの面々に事実を告げると辺りはザワついた。そして顔に大きな傷を持つ強面の男が口を開いた。


「おいおい、新規ダンジョンでライアンたちがミスるだと!? ダンジョン紹介にはゴブリンとスライムしかいないダンジョンとしか書いてないのにか? ライアンたちがゴブリンやスライムにやられるとは到底考えにくいぞ」

「でも、そのスライムはCランクのクリアスライムと聞いているわよ? しかもダンジョン発見時に二人死んでるのよね? ライアンたちが警戒を怠った恐れもあるわ」


 長い髪を片手で掻き分け、女性剣士も口を挟んだ。


「まぁ、二人とも待て。まだこのダンジョンの情報が少なすぎる。ここで問答をしても結論は出ない。俺も魔物の中でも最低辺のゴブリンにライアンたちがやられるとは思わん。Fランクのゴブリン、リーダーになったとしてもEランク。これだけなら正直、新米冒険者のクエストだ。ダンジョンの危険度としてはそれこそGランクだろう。上位種のクリアスライムが居てもライアンたちがちゃんと連携さえとれば、討伐可能モンスターだ。だが、ライアンたちはそこで命を落とした」


 ガイアスの言葉に、騒ついていた部屋が静まる。


「ジョルジの話では、信じられないことにゴブリンたちが武装しているらしい。しかも中には魔剣を所持している個体もいるそうだ」


「馬鹿を言えっ! ゴブリンが魔剣を所持してるだと!? どうしたらそんな訳わかんねぇことになるんだ!!」


 信じられないといった表情で強面の冒険者が叫ぶ。


「落ち着け。それは俺も同じことを思っている。そこで今回皆に集まってもらったのは、そのダンジョンの調査依頼を頼みたい。ちなみにこれはギルドからの緊急依頼でもある。シルバーランクのパーティの一団が壊滅しているんだ、ダンジョンの危険度はC設定とさせてもらう」


「うぉっしゃーーー!!」「久々の緊急クエだぜ!!」「ボーナス、ボーナス♪」


 冒険者たちは皆、一様に喜んだ。緊急クエストは成功しても失敗しても、ある一定の報告さえすれば報酬はもらえる。しかもダンジョンボスの討伐ではなく調査だけだ。任務難度としたら、そう高いものではない。アイアンランクのパーティでさえ、ベテラン冒険者がいるのであれば、問題なくこなせる内容だ。


 しかし、この緊急クエストを新規ダンジョンに対して出すのは極めて異例だ。


 ラグリス大森林は近年稀に見るダンジョン出現ラッシュ、いわばダンジョンゴールドラッシュである。身の危険があろうが、一獲千金の夢を見てダンジョンに潜る者が多数いる。死者を切り出したらキリが無いほどだ。その中でも、新規ダンジョンでシルバーランクのパーティが壊滅したのは、今回が初めてとなる。


 ガイアスも長年ギルドマスターを務めてきたが、こんなダンジョンは初めてだった。だからこそ長年の勘が、このダンジョンに対して警鐘を鳴らしている。


「とにかく、このダンジョンではライアンたちが死んでいる。その原因の調査、ダンジョンのマッピング、そして生息魔物のチェック。報告次第では、ダンジョン周辺に出張所を構えなくてはならん。皆、頼んだぞ!!」

「「「おう!!」」」


こうして、ミスリルウォークにヨルシアのダンジョン調査の緊急クエストが貼り出されることとなった。これが、ヨルシアの名を世界に轟かせるきっかけになろうとは、本人はこれっぽっちも思いもしていなかったが。

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