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デビダン! ~目指せダンジョンニート物語~  作者: バージョンF
1章 ダンジョンマスター爆誕編
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第19話 リリーナの指輪

 ダンジョンを強化してから一週間が経った。


 その間、俺は仕事をサボってはリリーナと喧嘩したり、宮殿から抜け出してきた暗黒幼女(エルアリリー)の相手をしたりで大忙しだった。

 そして今日も何故か暗黒幼女が遊びに来ていた。暇なのだろうか?


「なぁ、エリー。そんなに宮殿抜け出しても大丈夫なのか?」

「うむ、平気じゃ。妾は特に宮殿に居てもすることがないからのぉ。ここで寛いでいた方が、現場を知ることができて勉強にもなる」

「でもエルアリリー様、マスターをあまり甘やかさないでくださいね。エルアリリー様がいらっしゃると、それをダシにして仕事しなくなりますので」

「おい、リリーナ! まるで俺がサボってるみたいな言い方じゃないかっ!!」

「サボってるんでしょーが!! ちゃんと仕事してくださいっ!!」

「かっかっかっか! やはりお主らは面白いのぉ!! しかし、まだここを襲った冒険者たちは現れぬのか?」

「はい。前回、冒険者パーティに死人が出ていましたのでメンバーの補充などをしていると予想しております」

「おお! さすがリリーナさんっ! よく考えてらっしゃる!」

「マスターもちゃんとよく考えてください!!」


 リリーナの話だと、前回ここを襲撃してきた冒険者たちの人数は八名。もし再びダンジョンにやってくるとしたら同じか、それ以上の人数を予想しているようだ。


 新しくできた未踏のダンジョン。冒険者たちにとっては宝の山だそうだ。

 前回も倒したゴブリンたちの武器を回収され持っていかれてしまった。さすがに防具は使えないと思ったらしく残していったようだが。

 無くなってしまった武器は俺が再び錬金して作ったが、魔力が上がったせいか魔具などが大量にできた。ゴブリダなんて炎の魔剣を所持し、魔法耐性がある黒い全身鎧を装備している。

 俺が昔憧れていた黒騎士みたいじゃん! ちょっと羨ましい。ちなみにこの鎧は体格に合わせて変化するので成長しても着こなせるのがポイントだ。ついでにソルジャーたちの分も作ってやった。


 戦力強化はバッチリだ。いつでも襲撃されても大丈夫なように準備は整えてある。だがリリーナはそれでも不安らしく毎日ソワソワしていた。というか、疲れないの?


「なるほどのぉ。ヨルシアは魔具をゴブリンたちに与えておるのか。変わった奴じゃのう」

「ですよね! ですよね! 私の感覚おかしいのかなって最近思い始めてましたが違いますよね?」

「そんなにおかしいのか?」

「そうじゃのぅ。あのゴブリンが持っている炎の魔剣じゃが、アレを目的にCランク魔族がヨルシアの配下になりたいと申し出があってもおかしくないほどの武具じゃ」

「俺はそんな凄い武器を作成したのか……。なんたる才能!!」

「錬金は確率論じゃ。空気中の魔素量や注ぐ魔力量、使う素材の量、成功させるためにはいくつもの要素をクリアしていく必要があるのじゃ。ゴブリンたちの鎧はともかく、あの魔剣をミスリルも入れずに錬金で創り出せたのは奇跡に近いのう」

「まじか!? しかし言っても10000分の1とかそんなモンだろ?」

「んー、例えるなら一万メートルの高さから目薬をさすようなもんかの?」

「それ水滴が落ちる前に霧散して落ちてこないよね? 不可能じゃん?」

「だから、言うておろーが! 奇跡だと」

「ねぇ、マスター。前から思ってたんですけど、ゴブリダさんたちにはいくつも貴重な装備や家を提供してるのに私には何もくれないんですね」

「えっ? リリーナさんっ!? まさかの催促!?」

「だって、こうでも言わないと気にしてくれないじゃないですか!!」

「でも、リリーナさん俺の作った武器よりも、その両手にあるエクスカリバーの方が強くね?」

「だとしてもです!! マスターから何かをもらえるっていうのは部下としては嬉しいものなんです!! それとなんで私の両手が聖剣なんですか!? 忌々しい!」

「うーん、難しいなぁ。ゴツい武器や鎧は得意なんだけど、その他は苦手意識の方が強い。服すら作れないし。だからリリーナの武器や防具が想像できない!」

「ちょっとマスタぁー! ちゃんと想像してください!」

「ふむ、ヨルシアよ。ならば指輪とかはどうじゃ? 単純かつ簡単じゃぞ? 指輪に付加するアビリティが難しいだけで作成自体は簡単じゃ。リリーナは武器や防具というよりは、補助や属性といった物を与えてやるべきじゃぞ?」

「エルアリリー様……」


 なぜか、リリーナが涙目になって感動していた。


 にしても指輪か……。


 確かにそれだったら少ない希少素材でも作れそうだな。リリーナのお陰で色々助かってることあるし……よしっ、やってみるか!


「じゃあ、二人とも錬金室に行くぞ!」


 そして俺たち三人は錬金室へと向かった。





「ほーぅ、ここが錬金室とやらか。思ったより普通なのじゃな」

「エリー、お前どんなとこ想像してたんだよ……」

「よく本で見るのは、人間の死体が吊り下げてあって、大きな試験管にグロテスクな目玉とか色々入ってたりした所かのう」

「マッドサイエンティストかっ!!」

「あの、マスター? 本当に私のために指輪を作ってくれるんですか?」

「まあ、任せておけ!」


 俺はダンジョンインベントリーから素材を取り出す。本当にゴブリダたちには感謝だな。彼らがダンジョンを手掘りしてくれるお陰で希少鉱石が少ないながらも手に入っている。今から釜へと投入する鉱石もゴブリダたちが発掘してくれたものだ。


 まずは、ブルーミスリルとダークシルバーを錬金釜へと投入した。


「まっ……マスター、作ってくれるのは嬉しいんですが、分量とか大丈夫なんですか?」

「だーいじょうぶだって! 心配しすぎ! そんなこと気にすんなよ!」

「ふーむ、中々の男錬金じゃのう。雑じゃ!」


 次に指輪に付加するアビリティ素材を投入する。俺はスキルを付けたり、能力UPのアビリティを付けたりするのは、正直難しくてよくわからない。だから、炎の魔剣のように属性を強くイメージするだけにした。


 入れる鉱石は、氷の魔石だ。つか、これしかない。

 でも氷ってなんかリリーナさんにピッタリじゃん? あの上段回し蹴りを振り切った時のリリーナさんの顔……。氷の微笑ですよ。

 怖っ!! やっべぇ……めっちゃ想像できる。


 そして、そのまま釜へ氷の魔石を突っ込んだ。そして最後に俺の魔力を挿入。


「オラァァァァァァァ!!」

「ちょ……ちょっと! そんなに乱暴に入れなくても……」

「かっかっか! ヨルシアの錬金は男らしいのぉ!」




ーーピカァァァァァーー……ボボンっ!!




【フロストの指輪ができ上がりました】




「「…………」」

「うしっ! 完成! ほら、リリーナできたぞ。手ぇー出せ、はめてやるから」

「ちょ……ちょっと待って! ちょっと待ってください!!」

「なんだ? 気に入らなかったか?」

「違うんです! その、凄く嬉しいんですけど……、エルアリリー様、これってもしかして?」

「うむ。間違いないのう。精霊の指輪じゃな」

「精霊の指輪?」

「なんで作った本人がわかっていないんですか!!」

「俺はリリーナのことしか考えてなかったし、これが精霊の指輪になるなんて思いもしねーよ!」

「……私のことしか?」


 なぜかリリーナは顔を赤くして俯いてしまった。いきなりポンコツになってしまったので、エリーに説明を聞いた。


「で、エリー。こいつはいったいなんなんだ?」

「うむ。装備している者が精霊の寵愛を受けられる、とんでもなく希少で価値の高い指輪じゃ」

「寵愛を受けるとどうなるんだ?」

「その者に精霊が力を分け与え、新たにスキルを閃いたり、魔法素質に恵まれたり、眷属なども召喚できりするのじゃ」

「めっちゃ凄いじゃん!!」

「だから、これはお主が作ったのじゃぞ? もしリリーナに与えぬなら、正直これを本部で10万DPで買い取ってもよいぞ?」

「えっ!? そんなっ……」


 リリーナが悲しそうな顔をする。そりゃそうか。自分に渡すより、本部に渡す方がダンジョンのためになるもんな。


「だが断る!! これはリリーナのために作った指輪だ。言わば一点ものだ。だから本部にはやらん。おい、リリーナ手ぇーだせ」

「……いいんですか?」

「いいも悪いも、これは誰がなんと言おうが初めからリリーナの指輪だ。使ってくれ」


 そして俺は指輪をリリーナの左中指に嵌めた。


「マスター……嬉しいです……。大事に使いますね」


 目に涙を溜めながら、はにかんだ笑顔をするリリーナはここに来てから一番可愛かった。喜んでもらえて何よりだ。


「しかし、なぜ中指にしたのじゃ?」

「いや、だってリリーナが中指立てて睨んでみ? 大抵の奴はビビって逃げ出すと思ってな。だから目立つように中指にしたのさ」

「ふーん……。そうなんですか~……じゃあ、こんな感じですか?」


 リリーナが俺にむけて中指を立てる。


「怖っ! めっちゃ怖っ! まじパネぇ!! さすがリリーナさん! 恐怖でしかないっ!!」

「それが乙女に言うセリフかぁぁーー!! いっぺん死んでこんかーーいっ!!」


 俺の足元から、氷でできた巨大な拳が俺の顎へとクリーンヒットし、ぶっとばされた。

 下級悪魔なら即死だったな。ほんと進化しててよかった。それにしてもいきなり使いこなすとは……、リリーナ恐るべし!!


 それにしても、女心って言うのは難しいな。(白目)


次回から戦闘パート突入(-_-メ)

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