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デビダン! ~目指せダンジョンニート物語~  作者: バージョンF
1章 ダンジョンマスター爆誕編
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第17話 災難は重なる

 夢だと思っていたあの加齢臭地獄は、どうやら現実に起こっていたことらしく、俺の身体にも臭いが染みついてしまっていたようだ。

 加齢臭恐るべしっ!! 臭いは伝染るのか……非常に凶悪なスキルだ。

 俺はエリーに宮殿の風呂を貸してもらい、全力で臭いを落とした。

 そして風呂で肌をゴシゴシと全力でこする。血が出てもいい! 頼む、臭いよ落ちてくれ!!

 風呂から出ると、メイドさんが申し訳なさそうに衣類の臭いが落ちないとの報告をくれた。破壊力パネぇな!!

 しかし幸いにも身体に付いた臭いは落ちたので良しとしておこう。不幸中の幸いだ。臭いのうつった服はそのまま廃棄してもらい代わりの服を借りた。

 そして俺はリリーナとエリーの待つ謁見の間へと急いだ。





「すんませーーん、失礼しまーす」


 俺は謁見の間の巨大なドアを押し開けた。


「おぉー、来たか! どうじゃ? 身体の臭いは落ちたか?」

「いやー、おかげ様で。エリーありがとうな! 助かったよ! でも着てた服はダメってさ」

「そうか。たしかあれはメフィストが作った魔服だったかの?」

「おう。気に入ってたんだが、あの臭いじゃ捨てるしかないからな」

「そうか、ちょっと待っとれ。魔服、魔服っと」


 エリーが空間を拡げゴソゴソと何かをあさっていた。伝説の猫型ドールの空間収納みたいだ。



――パチンっ!!



 エリーが指を鳴らすと、俺の服がいきなり変わった。

 前と同じ黒のコートなのだが、どちらかといえば軍服寄りの服だ。しかしそれよりも、このデザインもしかして……。


「エリー、もしかしてこれって……」

「ほう、気付いたか! そうじゃ。メフィストの最新作の服じゃ! 無事、加護の試練を乗り切った故、妾からの褒美じゃ。受け取るがいい」


うおっ! メフィストの最新作の服って、目ん玉飛び出るくらい高いやつじゃん!! しかも魔力糸形成だから、破れても修復するっていう夢の魔服!!


「マジで!? くれんのっ!? エリーありがとう! 大切にするわ!! なぁ、リリーナどうだコレ? 変じゃないか?」

「えっ、ええっ!! いっ、いいんじゃないですか!? 似合ってるというか、カッコいいっていうか……(小声)。」

「んっ? なんて?」

「似合ってるって言ってるんですっ!! バカぁぁぁーー!!」

「ぶべらぁぁーーなんでぇぇーーー!??」


 服が似合ってるかどうか聞いただけなのに、リリーナから正拳突きを喰らった。理不尽すぎるだろ!?


 しかし、俺はここである異常に気付く。

 ……前よりも痛くないだと!? いや、むしろダメージがない!? 俺がむくっと起き上がるとリリーナが驚いていた。


「……嘘っ!?」

「ほう? リリーナのあの突きを受けてすんなり立ち上がるとは上級悪魔(グレーターデビル)にも進化したのか? ほれほれ、とりあえずステータスを開くのじゃ」


「おっ、おう!ステータスオープン!!」





□ □ □ □ □ □ □

名前:ヨルシア

称号:新米迷宮主/神の祝福を受けし者/魔物の主

種族:悪魔族

位階:高位悪魔将(アークデーモン)(Bランク)

保有魔力量:131800


固有スキル

怠惰者/遅延の魔眼/迷宮魔法


特別種族スキル

堕天使化


種族スキル

契約/隷属


スキル

暗黒剣/計略/飛行/錬金/自己再生


魔法素質

深淵/空間/結界/生活


加護

暗黒神の祝福

□ □ □ □ □ □ □


 うぉっ!? 魔力量が尋常じゃないほど上がってる!? なんじゃこりゃ? バグったのか?

 俺の固有スキルも増えてるし。【怠け者】も【怠惰者(なまけもの)】に変化したな。何か意味があるのだろうか? よりサボれるスキルなら非常に嬉しい。しかし、後でリリーナが検証しますとか言い出しそうだな。面倒くせぇー。


 それにしても、スキルに【自己再生】と、魔法素質に【空間】を新たに取得したか。進化するだけでスキルが取得できるなんてマジラッキー! これでリリーナからのエグいツッコミを貰ってもなんとかなる!! 俺はツッコミに対して究極の身体を得たと言えよう!! 神様! ありがとうございます!! あっ、エリーだったわ……。


 一人ステータスを見てニヤニヤしていると、リリーナが口を開く。


「なにこれ……ありえない……」

「まさか、加護ではなく祝福を得るとはの。かっかっかっか、天晴じゃ!!」

「ん? リリーナ、何かおかしかったか?」

「おかしいも何もありえないです!? マスター、あなたはEランクの下級悪魔だったんですよ? それがいきなり悪魔、上級悪魔をすっとばして、いきなり高位悪魔将(アークデーモン)になってるんですよ!? これは異常です!!」

「うむ、たしかにのう。妾も下級悪魔からいきなり高位悪魔将(アークデーモン)に進化した個体を見るのは初めてじゃのう」

「な……何か変な病気なのだろうか?」

「心配してるポイントが違います!!」

「リリーナ、落ち着くのじゃ。ヨルシアが強くなったのはダンジョンにとっては良いことじゃろう? 多少、イレギュラーはありはしたが結果オーライじゃ」

「エルアリリー様……。わかりました。マスターには今以上にダンジョンのために馬車馬の如く働いてもらいます」

「いや、そんな話聞いてないんだけど? つか、この前は働かなくてもいいって言ってたじゃん!!」

「それは、まだマスターが弱かったからです! 今は私よりも強くなったので、働いてもらっても問題ないです!!」

「なっ……なんだこの嵌められた感!? おかしい、おかしいぞ!! こんなことになるのなら爆発して死んだ方がマシだ……」

「どれだけ働くのが嫌なんですかぁぁぁーー!!」

「かっかっかっか!!」


 とりあえず、俺の命の危機は過ぎ去り無事に上位種族へと進化を果たした。なんだかんだでエリーには感謝している。

 帰り際、エリーにDPが足りないと相談したら、なんと3万PもDPが貰えた。言ってみるもんだな。そしたらリリーナがエリーに必死に頭を下げていた。ちなみにその時、俺のケツをめっちゃ抓っていて凄く痛かったんですけど? なぜこれはダメージが入るのだろう? 謎だ。





 そして三日振りにダンジョンへと帰還をした。

 そういえばゴブリダたちに何も言わず出てきてしまったな。大丈夫だったのだろうか?

 リリーナがモニターでダンジョンの様子を確認していると悲鳴にも近い叫び声が上がった。


「マスター、大変です!! すぐ来てくださいっ!! ゴブリダさんたちが!!」


 リリーナの顔が真っ青になっていたので、俺も慌ててモニターを見ると、ゴブリダたちの集落が破壊されていた。所々、息絶えたゴブリンたちの姿が映る。

 どういうことだ!? ゴブリダは!? ……よかった。怪我を負っているが生きているようだ。数名のゴブリンソルジャーと共に集落の入り口の守りを固めていた。


「リリーナ、すぐ転移で跳ぶぞ!」

「はいっ!」


 そして俺たちはゴブリダが守護している集落の入り口へと転移した。


 部屋の中は酷い有様だった。鼻につく血と肉が焼けた臭い。……これは酷い。

 入口付近にゴブリダを発見したので、急いで駆け寄った。ゴブリダの身体にはいくつもの刀傷があり俺が与えた鎧もボロボロだ。


「ゴブリダ! 大丈夫かっ!?」

「主様ぁ……よかった……無事だったのですね。お怪我はございませぬか?」


 ゴブリダが今にも泣きそうな声で話しかけてくる。


「バカかっ!! 俺の心配なんてするな! お前の方が大丈夫なのか!? 何があった? 説明できるか!?」

「ぼっ、冒険者たちが……冒険者たちが攻めてきました!!」



 波乱の幕開けだった……。



ヨルシアやっと覚醒( ;∀;)

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