第10話 2階層作成
「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーー!!!」
「ぶふっべぇらあぁーー!!」
俺の思った通り、目の覚ましたリリーナに投げ飛ばされ、朝から壁とキスするハメとなった。やはり無理やりにでも引き離しておくべきだったか。
「な……なな、な何を考えてるんですか!? 寝込みを襲うなんて最低です!!」
サキュバスが何を言ってるのだろうか??
「先に言っておくが、寝ぼけて抱きついてきたのはお前の方だぞ?」
「そんなことあるわけないです!! 責任を私に擦り付けるつもりですか!?」
「はいはい、じゃあ俺が悪かったよ。だからそこをどけ」
「……本当に悪いと思ってますか? そして私がここをどいたら何するつもりですか?」
「寝るに決まってんだろ? まだ一日しか寝てねーし」
「アホかー!! もう充分寝たでしょ!? 仕事しますよ! しーごーとっ!!」
リリーナさんの口から俺を苦しめる呪詛が聞こえる。ぐぁぁぁぁぁ仕事ってなんだぁぁーー。
「いーやーだぁー。仕事いーやーだぁー」
「そんなわがままいっても無駄です。ほら、早く部屋に行きますよ」
リリーナに引きずられながらマスタールームへと移動する。
「早く着替えてください!! フォルムチェンジできますよね?」
リリーナは既にいつもの露出の高い服へと着替えていた。なぜこいつはこんなにやる気なんだろう? マジ面倒くせぇ。ただ、あまり駄々をこねるとビンタされそうなので素直に着替えおいた。だってリリーナ怖いし。
「じゃあ、まずダンジョンコアにメールが来てないか確認してください」
「はいはい。……おっ、リリーナ魔界LINE届いてるぞー。えーと、何々……」
【ヨルシア様、いつもお疲れ様です。送っていただいた魔素量が10000を超えましたので、DP20000Pを進呈致します。これにて初心者ボーナスの配布は終了です。今後は通常通りのDPの進呈となりますので今後も頑張ってください】
「へぇー。なぁ、リリーナ通常通りってどうなるんだ?」
「送信魔素量2000毎に1000DPです。あと、夏と冬は半年平均のボーナスポイントも貰えます。なんで知らないですか?」
「そうか。じゃあ、とりあえずマスタールームでも広くするか」
「アホかぁぁーー!! ダンジョン拡張のために使うんですよ!! それにここは十分広いじゃないですか!? これ以上広げてどうするつもりなんですか!?」
「えっ? ベッドを置こうかと……」
……ギリギリギリ。
リリーナさんのアイアンクローが俺のこめかみにめり込む。痛い痛い痛い!!
「ちゃ・ん・と、考えてもらえますでしょうか?」
「あたたたたた!! わかった! わかった! 考えるから! 考えるからやめてぇーーー!!」
ふぅー。暴力反対。リリーナは怒るとすぐDV。
そういえばゴブリダたちの大部屋が人数増えたせいで切迫してんだよな。ダンジョン内に家を建てるから狭くなるんだよ。
「じゃあ、リリーナ。まずはゴブリダたちの居住スペースを広げようと思うんだがどうだ?」
「……嘘、まともな意見。……コホンッ、失礼しました。そうですね。いいと思います。でも、それだとまずこのマスタールームを移動させる必要がありますね。今、このダンジョンはマスタールームを中心に円状に広がってますので、大きなスペースを確保するにはこのマスタールームをニ階層に降ろすしかありません」
「じゃあ、それで。ポチっとな」
……ゴゴゴゴゴゴッ。ガコンッ!!
「なっ……全て私の言ったことでいいですか!?」
「大丈夫、大丈夫。俺は基本、部下を全面的に信頼するタイプだから。それでニ階層へ続く階段はどこに作ればいい?」
「集落に作ると冒険者がやってきた場合、毎回ゴブリンたちが全滅の恐れがありますので、二階へ降りる階段は一階層の最奥に作った方が良いかと思います」
「んっ、じゃあそれで」
……ゴゴゴゴゴゴッ。ガコンッ!
よし、記念すべきニ階層の完成!
「ゴブリダさんたちの集落のスペースは、どれくらい確保するつもりでしょうか? 中央に800㎡ほどのスペースはできましたが、あまり広すぎるのもお勧めできません」
「うーん……DP次第じゃね?」
「それですと今のニ階層作成で5000P。部屋のスペースは10㎡で200P消費しますが?」
「じゃあ100㎡だな。狭くなったら広げればいいし。ポチっとな」
……ゴゴゴゴゴゴッ。ガコンッ。はい、完成。
「……学校で、どのダンジョンマスターもダンジョン拡張時は凄くナイーブになるから気をつけなさいと言われ続けてきましたが、あなたにはその必要はないんですね」
「おっ、褒められてる!?」
「呆れてるんですっ!!」
「まぁまぁ、リリーナさん落ち着こうぜ。で、二階層はどうするんだ?」
「えっ? 何も考えてないんですか!?」
「おうっ!」
「自信持って返事をするなぁぁぁ!! 少しは後先を考えてください!! 失敗したら取り返しのつかないことになるんですよ!!」
おっふ。リリーナさんがカリカリし始めた。こりゃマズい。
「じゃあ、プールでも作るか!」
……ギリギリギリギリギリ。(アイアンクローの締め付け音)
「嘘ですっ! 嘘ですっ! リリーナさん! 無言でアイアンクローはやめてっ! めっちゃ痛い! 本当痛い!」
「……じゃあ、どうするんですか?」
あっ、リリーナさんの口調が荒れてきた。これガチキレ前だ。何か出せ! この事態を乗り切るために何か提案するんだ俺っ!!
「ぷっ……プールじゃなくて地底湖なんてどうすっか!?」
「……まともですね」
「あっ……あざっーす!」
「でも、地底湖なんですがフィールド設定となります。DPの消費は任意設定に比べてお得ですが、一個単価は高いですよ? 500㎡で5000Pは必要です」
今のニ階層は階段を降りて500m程進むとマスタールームだ。その両脇に錬金室と武器庫がある。
うーん、レイアウト考えるの面倒くさいし、階段降りて早々地底湖にしよう。とりあえず一万P使っとくか。
オラァァァァ、ポチっとな!!
「なっ……正気ですかっ!? DP使い過ぎです!!」
「大丈夫だから! へーき、へーき! それよりも地底湖見に行こうぜ!」
リリーナと外に出るとそこはドーム型の地底湖となっていた。まるで何万年も経過している鍾乳洞のような場所だ。でもこれ、湖というか大きな池だよな。まっ、予算が限られてるから仕方ないか。それにしても幻想的な場所だな。光るコケが各所に生えているので、蛍のような淡い光が所々発光している。
「綺麗……」
隣を歩いていたリリーナがポツリと言葉を漏らした。
おっ、好感触!? 気に入ってくれたのか? 何気なく作った地底湖だったけど、これはよかったのではないだろうか? 結果オーライ!!
「いきなり一万Pもつぎ込むとは思いませんでしたが、作ってしまった物は仕方ないですね。それでこれからどうしましょう?」
「どうするとは?」
「ニ階層のモンスターのことです!! まさか考えてなかったんですか!?」
Oh……、彼女ノ言ッテル意味ガワカリマセーン……。
「あれっ? モンスターって勝手に住み着くんじゃないのか?」
「アホかぁぁぁー!! ちゃんとゴブリダさんたちのように使役しないと襲い掛かってくるじゃないですか!! てゆーか、ゴブリダさんたちはどうやって使役したんですか!?」
「いや、なんかゴブリダがここに住みたいって言うから……」
「信じられない。野良モンスターを調べもせずに引き入れたんですか?」
「まぁ、そうなるな!」
「はぁ……もう怒るのすら疲れました。とりあえずマスタールームに移動して魔物召喚しましょう」
よしっ! リリーナさんが諦めてくれた!!
そういえば学校の授業で魔物召喚がウンタラカンタラ言ってたな。目を開けて寝てたから覚えてねーけど。そろそろ仕事終わりにしてくんねーかなー。




