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第5話 選ばれた者

説明回です

 それから、私達は国王ことレオガルドさんから、このドゥンケルハルト王国に関する話を聞いた。


 この世界には、皆が共通して崇拝する神がいる。

 その名はアルトーム。

 何でも、この世界そのものを作り出したのがこのアルトームという神なのだとか。

 そして、このドゥンケルハルト王国は特に、アルトームとは密接な関係を持っている。


 というのも、このドゥンケルハルト王国の城では、アルトームの御神体が祀られているのだ。

 その御神体から神アルトームはいつもこの人間界を見守っていて、人間界が危うい時は手助けをしているらしい。


 宗教のことなんてよく分からないから、とりあえずそれで納得しておく。

 宗教戦争って怖いし。あと信者も。

 オタクやっているとアニメの信者とかよくネットで見るからね。信者を怒らせたら怖いのは理解しているので、黙っておく。


 さて、ではなぜ私達がこの世界に召喚されたのか。

 それに、このアルトームという神が関わって来る。

 どうやら最近、このアルトームの御神体を破壊しようとする魔物が出現しているらしい。

 先ほど城下町の外で私達を襲って来た巨大虎や巨大鼠が、まさにソレだ。


 その魔物というのが中々厄介で、普通の人間では倒せないらしい。

 一応、騎士のお兄さんがやったように、攻撃は出来る。

 しかし、トドメが刺せないのだ。騎士のお兄さんが真っ二つにやったような状態は、主に一時的な行動不能でしかない。

 その御神体が無くなればこの世界とアルトームの繋がりが無くなる。そうなれば、アルトームが管理しているこの世界が、一瞬で放り出されるような状態になるわけだ。

 そうなれば、この世界がどうなるか分かったものではない。

 御神体は死守しなければいけない。

 この状況は、アルトームも良く思わなかったのだろう。

 早急に現状を打破しなければならない。

 そこで、魔法少女だ。


 いや、アルトームが直接手を下さないのかよ。

 話を聞いていた時、私と同じことを他のメンバーも思ったのだろう。

 代表するように、風間さんが尋ねた。


 曰く、この魔物というのは、アルトームも管理が出来ていないらしい。

 だから存在そのものを抹消とか、そういうことが出来ないのだ。

 それこそ人間界に降り立ち神の力で燃やし尽くすということも出来るが、すでに魔物はこのドゥンケルハルト王国があるメンシュマン大陸内という、広い範囲内に分布してしまったのだ。

 だから、アルトームの手を煩わせることにもなり、下手すればこの大陸そのものを消滅という状態にもなりかねない。

 神の力は強大で、細かい制御が難しい。だから、少しの手違いで大陸が滅んでしまうらしい。

 ……神こえー……。


 というわけで、確実に敵を殲滅するためにも、魔法少女という手段を用いた。

 魔法少女というのは、アルトームから敵を倒せる力を貰い戦うものだ。

 私達の付けているアリマンビジュという石が、魔法少女になる力を持っている。

 異世界の人間はこの世界の者よりも強大な魔力を持っているらしく、魔法少女として戦えるのは異世界の人間しかいなかった。

 そして、このアリマンビジュに最も魔力が適合しやすい私達四人がここに召喚された。


 以上が、説明の内容だ。


「とはいえ、その魔力適合者? が同じ学校の私達とは……些か、出来過ぎていませんか?」


 過多な情報量によりダウンしていると、風間さんがそう口を開いた。

 もう復活したの!? 私はまだ頭がズキズキと痛むので、心の中で白旗を振る。

 あとは頑張れ。


「あぁ、その件か。……いや、やはり、これから一緒に戦うことになるのだから、最初から顔見知りだと戦いやすいと思って、色々とアルトーム様が調節したのだ。狭い範囲内で魔力が適合しやすい者達が最も多い箇所を選び、召喚するように」


 国王の言葉に、私はトップスリーを見た。

 なるほど。確かにこの三人なら、魔力の適合とやらは多そう。

 ……で、なんで私がこの三人に紛れている!?

 おかしい。全てが平均値であるハズの私がなぜここに……?

 ……まさか、魔力の適合値だけが異様に高かった!?


「あの、まさか私も……?」

「……いや、君の場合は魔力の適合のしやすさは平均だったな。だが、あの周辺にいた者達は魔力の適合のしやすさが低かったから除外した」

「……」


 少しだけ期待した私が馬鹿だった。

 なるほど、他よりはマシだった程度なのか。

 ……そうなると、若菜も魔力の適合が私より低かったのかな……。

 唐突に若菜の顔が脳裏に過って、私は落胆する。


「……僕達がなんでここに連れて来られたのかは分かったけど、別に僕達がそれを受ける必要は無いんだよね?」


 その時、低い声がした。

 ハッと顔を上げると、不満を露わにして椅子から立ち上がる不知火さんの姿があった。

 彼女は両手を机につき、口を開く。


「そんな、戦いなんて僕達には無理だ! それに、友達とか、家族とかも心配するし……何より、僕達にはやらなければならないことがあるんだ!」


 不知火さんの言葉に、風間さんもハッとしたような表情をして立ち上がり、口を開く。


「お願いします。私達を、元の世界に……家に帰して下さい」

「わ、私からも、お願いします!」


 頭を下げる風間さんに続くように山吹さんも立ち上がり、同じように頭を下げた。

 すると不知火さんも「お願いします」と言って頭を下げた。


「えっと……お願いします」


 なんとなくこの状況に合わせないといけないと思い、私は同じように立ち上がって、頭を下げた。

 こういう辺り、日本人だよなぁ……。

 ていうか、結果なんて分かり切っていることなんだけれど。


「お気持ちは分かります……しかし、出来ません」


 暗い表情で言う国王。

 その言葉に、三人は明らかな落胆を表に出しながら、落ちるように椅子に腰掛けた。

 ある程度予測はしていたことだが、私もやはりショックではあった。

 帰れない……ということは、若菜に会えないし、昨夜見た魔法少女アニメだって見れないし……家族にも、会えない……。

 そこで、私の中での優先順位に気付き、内心ため息をつく。

 親よりアニメ優先とか、大分私の中身は腐っているな。


「召喚魔法というのは準備に時間が掛かりますし、そう何度も使えるわけではありません。……誠に申し訳ありませんが、敵の殲滅を行ってもらえませんか。無論、敵を全滅してもらえれば、報酬だって渡しますし、元いた世界に帰します。この世界の生活も、こちらでお世話致します。だから、どうか……」


 そう言って頭を深く下げる国王。

 彼の言葉に、傍にいた王族らしき人達も頭を下げる。

 ここまでされると、断りにくい。というか、断ることなんて出来ない。


 私は、恐る恐る風間さんに視線を向けた。

 不知火さんや山吹さんも、風間さんを見る。

 恐らく、この中で一番冷静な判断が出来るであろう人間。

 彼女は私達の視線を受け、深海のように澄んだ青で染まった目で、私達の顔を一人ずつ見る。

 それから考えるように瞼を瞑り、数秒ほど置いて、開く。


「……分かりました。私達は、魔法少女として、戦います」


 風間さんの言葉に、てっきり私は、皆喜ぶだろうと予想していた。

 しかし、国王の反応は、曖昧に笑うだけだった。

ファンタジーを書くの初めてなので、もしかしたら説明とかで不足している部分があるかもしれません

分かりにくいところがあったら気兼ねなくコメントしてください

加筆していきます

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