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異世界で魔法少女始めました!  作者: あいまり
番外章3 蜜柑とギン編
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第35話 サプライズパーティー

 ギンちゃんへの恋心を自覚してから、一ヶ月弱の月日が経った。

 その間、特に目立つ出来事は一切無かった。

 ……ホントに、全く。

 自分の弱虫っぷりが本当に情けない。一ヶ月もの期間がありながら、一切進展することが出来ないのだから。


 と言っても、まぁ……同性だし、家族同士だし、下手にアプローチしても引かれるだけだ。

 けど、何かアプローチをしなければこのままなのも事実。

 二律背反と言うか、何と言うか。

 けど、このままの距離感でいたいのかと言われると……答えはNOだ。

 もっと先に進みたい。家族じゃなくて……恋人に……。


「なんて……無理に決まってるか」

「何が無理なの?」


 小さく呟いた時、背後から突然声を掛けられた。

 部屋に誰かいるとは思っていなかったので、私は「ひゃぁッ!?」と情けない声を上げ、振り返る。

 するとそこには、お姉ちゃんが立っていた。


「お……お姉ちゃん……いるなら声掛けてくれればいいのに……」

「声掛けたし、何ならノックしたよ。でも考え事してるみたいだから……驚かせてごめんね」

「……ううん……平気」


 お姉ちゃんの言葉に、私はそう言いながら目を伏せる。

 なんか少しギクシャクしてしまったので、私は気を取り直して、口を開いた。


「それで……お姉ちゃんは、何しに来たの? 何か用?」

「ん? あぁ、用って言うか……ギンちゃんは?」

「なんか、洗濯用の洗剤が無くなっていたとかで、今買い出しに行ってるよ」

「ありゃ……タイミング悪かったか……」


 私の言葉に、お姉ちゃんはそう言いながら頭に手を当てた。

 彼女の反応に、私は首を傾げる。


「もしかして……私じゃなくて、ギンちゃんに用事?」

「というか……二人に用。でも……ギンちゃんいないのか……」

「……わ、私が伝えておくよ! お姉ちゃんもまた来るの、面倒でしょ?」


 私の言葉に、お姉ちゃんは「そうねぇ」と呟く。

 ……本当は、ギンちゃんと話す機会を増やしたかっただけなんだけど。

 でも、お姉ちゃんが何回もここに来るのも効率が悪いと思ったし、私はギンちゃんと話す理由が出来るし……一石二鳥だ。


「じゃあ、ここに来た用事だけど……ホラ、今度の日曜日って、檸檬の誕生日でしょう?」


 お姉ちゃんの言葉に、私はハッとカレンダーを見る。

 彼女の言う通り、今度の日曜日……十月五日は、檸檬の誕生日だ。

 私がそれを知ったことを察したのか、お姉ちゃんは「それでね」と続ける。


「ギンちゃんもいるんだし、折角だから、サプライズパーティーを皆でやってみるのはどうかなって思って」

「へぇ……良いと思う! 面白そう!」

「でしょ? それで、蜜柑はお菓子を作るのが上手いから、ケーキを作っておいてくれると嬉しいんだけど……」

「……ケーキかぁ……」


 私はそう呟きながら、机の上にあるノートに視線を向ける。

 ……ケーキなんて、そういえばあまり作ったこと無いかもしれない。

 作るとしたらワンホールになるから、今まで試しに作ったことなんて無い。

 ギンちゃんが大食いとはいえ、流石にオヤツでケーキワンホールは無理だし。

 誕生日やクリスマスではたまに作るけど、それでも多分、片手で足りるくらいの回数しか作ったことは無いと思う。

 そういえば、私達姉妹は全員誕生日が遅いから、ギンちゃんがこの家に来てからは初めての誕生日だ。

 ……自信は無い。けど、やってみよう。作る機会が少ないからこそ、良い刺激になる。


「分かった、やってみるよ。じゃあ……土曜日に、スーパーで材料買っておくね」

「よしっ。後は誕生日プレゼントを各々で準備して……料理は私に任せて」


 グッと親指を立てながら言うお姉ちゃんに、私は「うんっ」と頷く。

 その時、玄関の扉が開く音がした。


「檸檬かギンちゃんだね。じゃあ、ギンちゃんにもこのことを伝えておいてね」


 お姉ちゃんの言葉に、私は指で丸を作って了承の意を示す。

 すると、お姉ちゃんはフッと微笑み、部屋から出て行った。

 ……しかし、ケーキかぁ……。

 チョコのプレートにお誕生日おめでとうってメッセージを描いて……苺は季節的に高いだろうから、色々な果物を乗せて……後は……後は……。


「……楽しみだなぁ」


 まるで泡立つクリームのように膨らんでいくケーキの案に、私はそう呟いた。

 喜んでくれると良いなぁ……あの子果物好きだし、たくさん果物が乗ったフルーツケーキなんて作れば、きっと喜んでくれるに違いない。

 檸檬の喜ぶ顔を想像すると、余計にワクワクする。


「……なんか楽しそうだね」


 その時、耳元でそんな声がした。

 突然のことに、私はビクッ! と肩を震わせ、慌てて振り返った。

 するとそこには、不思議そうに私を見つめるギンちゃんがいた。

 ……お姉ちゃんの時と言い、私って、考え事をすると周りが見えなくなる性格みたいだ。

 直さないと……いずれは、ギンちゃんがいることに気付かずに変な呟きをしてしまうかもしれない。


「あぁ、ギンちゃん……いや、今度の日曜日が檸檬の誕生日でさ……」

「えっ……檸檬の……?」


 小さく聞いてくるギンちゃんに、私は頷いた。

 さて……とりあえず、説明しようか。

4月からの更新について報告があるので、活動報告をチェックして頂けると幸いです。

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