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魔道具屋レオンハート〜チート級魔道具有り〼〜  作者: INGing
王都の魔道具屋 編
7/14

ゴーレム

ブクマありがとうございます。

本日2話目です。

「こんばんは~、店主はん居てる?」



だいぶ日も暮れてきて、普通の道具屋やったら店仕舞いを始める頃。

ウチは今話題の、魔道具屋レオンハートに来た。


店に入って、開口1番そう言ったんやけど、迎えてくれたんは黒髪の女やった。

店主はんは”銀髪の男”って聞いてるからコイツはちゃうな、店番かなんかやろか?


他にも店内にはチラホラとお客さんの姿が見えるな、そんなに繁盛してる様には見えへんけど・・・まぁ、時間帯を考えたらこれでも多い方か?



「いらっしゃいませ。申し訳ございませんが、店主は只今留守にしております」


「えー、そうなん?いつ戻ってくる?」



残念やけど、店主は今おらんみたい。

でも、今日中に頼みたい事あんねんなぁ・・・



「じきに戻られると思います」


「そーか、ほんならちょっと待たせて貰うわ。店ん中見ててもええ?」



黒髪の女に許可もろて、店ん中を見て回る。

・・・なかなか品揃え良いやん。

これやったら期待出来るかもなー。


しばらく冷やかしとったら、黒髪の女が店の奥に入って行くんが見えた。

店のもんが誰もおらんけどええんか?

えらい無用心やな、とか思っとったらすぐに戻ってきて、後ろから銀髪の男と耳の長い女が一緒に出てきた。


なんやねん、留守とか言うて奥でシッポリやっとったんかい、エロいやっちゃなー。

でもまぁ、ええとこ邪魔されたく無いわな。



『○△✕〜□』


『△△□○』



ふむふむ、なるほど。

何言うてるかさっぱりや、店主はん若いのにエルフ語も堪能なんやねー。


しばらく二人を眺めてたら、話が終わったんが店主はんがこっちを見た。

透き通った目で優しげに微笑まれたら、ちょっと悔しいけどキュンってくるやん。


・・・いやいや、ちゃうちゃう。

そうじゃなくてお願いに来たんやった、むしろウチの魅力でメロメロにさすくらいやないと。



「やー、めっちゃ待ったで!自分が店主はんか?実はな、お願いがあんねんけどー・・・」



ウチが声を掛けた事で耳の長い女は、店主に会釈して店から出ていった。

ごめんなー、ちょっと借りるでー。

別に思ってへんけど、一応心の中で謝っといた。



「いらっしゃいませ、レオンハートにようこそ。何かご入用でしょうか?」



そう言ってただでさえ優しい顔してるのに、更にいい感じに微笑まれた。

あかん、この勝負勝ち目薄い!



「いやいや、大したもんじゃないんやけどな。でも、今見さして貰った感じやったら置いてなさそうでなー」


「それは大変申し訳ございません、当店の品揃えに不備がありました。ちなみにお客様は、一体どういった物をお探しですか?」



うわー、ここで謝ってくるん?

そんなんされたらウチが性格悪いみたいやん!

まぁ、絶対無いの分かっててあんな言い方したんはわざとやけどな!


今までどこ探しても無かったし、城におる錬金術師に頼んでも絶対作られへん言うし。

この店の噂を聞いて、万が一の可能性に賭けてみよかと思っただけやねんな。



「例えばやけどな。魔力を込めたら攻撃力が上がる剣ってあるやん?」


「はい、ございます。当店にもその魔道具は・・・」


「ちゃうちゃう、最後まで聞いて。自分せっかちやわー」



申し訳ございません、とか言って頭を下げてくる店主はん。

もう完全に悪もんやね、ウチ。



「それのな、杖版って無いかなー思って」


「杖・・・ですか?」



何言うてんねんコイツ、そんな風に思ってるんやろうなー。

心なしか目が冷たくなった気がする。

あくまで”気がする”やけどな。



「ございますが、一体何の為に必要なのでしょうか?」


「やんなー、やっぱ魔術師が使う杖に攻撃力上昇なんか・・・って、あるんかい!!」



はい、ございます。

とかいって、めっちゃ真面目な顔して頷く店主はん。

やば、有ると思わんかったからめっちゃノリツッコミしてもた、恥ずかし!



「いや、な。今まで魔法で、肉体強化と武器強化と打撃力強化でゴリ押ししてきてんけどなー。正直めんどいんよ、かと言って一応これでも魔術師やし?剣って言うのもどうかと思ってな、杖で有ったら良いなーって思っててんけど、今まで見つからんかったんよー」



恥ずかしさを隠す為に、ちょっとだけおしゃべりになってもうた。

店主はんはウチの話を聞きながら、ふむふむと頷いている。そして・・・



「なるほど、理由は理解致しました。そうしますと、既存の物よりも今ここでお客様用に作成いたしましょうか」


「ええの?そんなお金持ってないで?」



まさに頼みたかった事を、ドンピシャで提案してくれた店主はん。

有るとは思わんかったし、作って貰われへんやろうかと思っててん。


普通は魔道具を1から作るってなったら、先ずは素体を制作して、効果の有る魔法陣の割り出し、魔力導線で刻印、素体の変形、もしくは彫金や鍛冶。


とんでもない時間とお金が掛かる、特に面倒なんが魔法陣の割り出し。

1回作ってしまえば使い回しも出来るから値段も下がるけど、今回みたいに需要が無い個別制作ってなったらめっちゃ高い。


ウチの給料の1ヶ月分は軽く飛ぶ。

マジで飛ぶ。

・・・そんだけ請求されたらどうしよう、身体払いとかでも良いやろか?



「ええ、良いですよ」



身体払いオッケーか?!ウチも店主はんやったら・・・ええよ?


・・・いや、ちゃうちゃう。

作るんが良いよって事や、あぶないあぶない。

身体払い云々はウチの妄想の話やったわ、店主さんも鼻息が荒くなったウチ見て首傾げてもうてるし。



「で、お幾ら万ウェンで?」


「金貨3枚、3万ウェンで如何ですか?」



金貨3枚?!やっす!!

廉価版の魔道具と変わらん値段やん!即決や、今すぐ注文する!


店主はんにそう伝えたら、店の奥から何の変哲も無い杖を持ってきて、ウチの目の前で作業を始めた。



「肉体強化と、武器強化と、打撃力強化。何か他に要望は有りますか?」


「いや、取り敢えずそんだけで良いよ」


「分かりました。・・・差し支え無ければで結構です、どうして魔術師のお客様がこの様な効果の杖を所望か、お聞かせ願えますか?」



ウチの目の前で、杖に何か書き込みながらそんなん聞いてきた。



「んー?まぁ、差し支えあるなぁ」


「・・・そうですか」


「まぁ、個人的な理由やし」


「申し訳ございません」



そう言って、店主はんは書き込む作業を再開した。



「実はウチな、攻撃魔法使われへんねん」


「・・・お聞かせくださるので?」



そこは「結局言うんかい!!」ってツッコんで欲しかったな、店主はん才能無いわー。



「子供の頃は使えてんけどなー、周りも天才魔法”美”少女やー言うてちやほやしてくれたもんや」


「・・・」



なんか言えや!ボケ殺しか!



「でもなー、大っきくなるに連れて段々制御が出来へんくなっていってな。ある日突然使えんくなってもうた」


「・・・そうですか」



ウチが話だしてからずっと真面目な顔してる店主はん、笑顔もええけど真顔もええな!

何か思うことが有るんか、難しい顔して作業を続ける店主はん。

・・・あかん、よだれ出てきた。

見んのもう止めよ。



「はい、それではこれで完成です」


「え?!もう出来たん?噂はホンマやってんなー!」



ウチが自分の中の何かと見えへん戦いをしてる内に、魔道具が完成したみたいや。

ウチが聞いた噂は『5分で既存の魔道具を別の魔道具に作り変えた』ってもんやったけど、目の前で見せて貰ってホンマに驚いたわ。


店主はんから杖を受け取って、代金の金貨3枚を手渡す。



「うわー、めっちゃいい感じやん。おおきに!」


「それはなによりです。余計なお世話かもしれませんが、サービスで一つだけ効果を追加しておきましたので」


「そーなん?ありがとう、でも言うてた効果だけでも充分やわー」



試しに杖に魔力を込めてみると、身体に力が漲ってくんのが分かった。

ええ仕事するやん、腕いいな!


杖に満足して帰ろうと思ったけど、ふと気になった事を聞いてみる。



「なぁ、サービスって言うんやったらさ。ゴーレム、ウチに売ってくれへん?」



ウチがそう言うと、店主はんは笑顔のまま固まった。



「腕の良い錬金術師なんやし、ゴーレムの1体や2体持ってるやろ?」


「・・・申し訳ありません、当店ではゴーレムの取り扱いは行っておりません」


「さよかー」



そう言って、笑顔を崩さずキッパリと言い放つ店主はん。

まぁ、そら無理やわな。

ゴーレムっちゅうたら錬金術師の秘術やもんなー、そう簡単には売ってくれへんか。


ほなさいなら、と手を振って店から出ていった。

後ろで店主はんどんな顔してたんやろな?

やっぱり人形の様に笑顔を崩さずに見送ってくれたんやろか?





「よっしゃー!かかってこーい!」



次の日ウチは、ダンジョンに潜る事にした。

有事に備えて、魔物と戦う練習すんのは割と大事なこっちゃ。


ただ、ダンジョンの中には魔物以外にも危険な物がいっぱい有って、最低一人は探索者(シーカー)の同行者をつけなあかん。



「・・・静かに、して」



今回ギルドから派遣されて来たんは、赤髪で背の低い女。

歳は若いけど、かなり優秀な探索者らしく、単独で15階層の探索が出来る猛者らしい。

こんなちんまい子が?と、心の中で言っておく。


優秀かどうかしらんけど、何よりこの子、陰気臭い!!


さっきの言葉以外「・・・進んで」と「・・・止まって」しか聞いてない。

もー、息詰まるわー!


だから魔物に会ったらさっきみたいに叫んでまうねん、ウチ悪ないやんな?!

いや、確かに言うてる事は分かるよ?

不用意に大声出して囲まれたらマズイし、ウチの為に注意してくれてんの。


しかもちょっと先行して罠とか有ったら教えてくれて解除してくれるし、なんや障害になりそうなもんとかウチが気付かんうちにどけて整地してくれてるし、ウチのペースに合わせて進んでくれてるからそんな疲れもたまらんし、疲れたとしても絶妙なタイミングで休憩を提案してくれるし、休憩中に淹れてくれたお茶はめっちゃ美味しいし。


もーなんなんこの子!気遣い上手!結婚して!


そんなハニーの誘導のお陰でかなり順調に探索出来た、杖の性能も試せたし言う事無しやな。

途中出てきた牛人(ミノタウロス)もワンパンでしばき倒したったし、これでいつ王都が魔物に襲われても安心や、いつでもウチが泣きみせたる!
















とか言うからあかんねんな、王都に戻ったらめっちゃ大変な事になってたわ。

誤字、脱字、乱文、誤用など見かけましたら一報頂けると幸いです。

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