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吸血姫になって異世界を私物化!  作者: 塩インク
第1章 新たな世界
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第1話

ぼくの朝は朝5時に始まる。


チリチリチリチリ…


今時、スマホ一つでなんでもできる時代だ。

そんな時代に目覚まし時計を使う人なんてあまりいないであろう。

それでもぼくは、この目覚まし時計独特の音が好きで今でも目覚まし時計を愛用している。


朝起きると、必ずシャワーを浴びる。

朝からスッキリできる長年行っていることだ。


シャワーを浴び終わると毎日、おかあさんが用意してくれる朝ごはんだ。

ぼくはこの豪華でもないこの一般的な『日本人』といった食事が好きだ。

塩鮭、白ごはん、お味噌汁。

ただ、一つ言いたいことがあるとすれば、それは飲み物だ。

水だ。牛乳が飲みたい。

そう言って、いつも水を一杯飲んだ後に冷蔵庫から牛乳をとりだす。


ぼくは中学の頃からバスケ部に入っている。

いつも朝練があるため、朝は早起きだ。

成績は普通。スタメンでもない。

でも、ぼくにとってバスケは楽しめるスポーツだった。

だけど、中学で身長は止まり、

最終的には170に届かなかった。

悲しかった。

それからというもの、ぼくは牛乳を飲み続けた。

今でも飲んでいるが、身長は相変わらず反応を拒否しているようであった。

そんなことを思っているともう時計の短針は6を示していた。


「やっば…」


そう思い、自室へ戻ったぼくは制服に着替える。

必要なものをバックへ詰め、閉める。

幸いにもぼくの通う、楓学園は置き勉が許されているため、

バックは中学時代よりも軽い。


ネクタイを締め、バックを背負う


「よし…おっけ…」


そう言って、自店車の鍵と家の鍵を棚から取り出し、それを握りしめる。

部屋の鍵を閉め、階段を駆け下りる。

いつも履いている靴を見つけ、鍵を握った左手でドアの鍵を開け、

なにも持っていない右手で靴をしっかり履く。

開けたドアから朝の眩しい光が入ってきて、

ここから1日が始まるといった感情に頭が支配される。

玄関の鍵を閉め、自転車の鍵を開ける。

そして、自転車にまたがり、ペダルを踏む。


「よし。行くか。」


そうしてぼくの『いつも』の朝が始まる。

そのときのぼくはまだそれが最後の『いつも』の朝だと知らなかった。



自転車に乗ってはや10分。

最寄りの駅に着く。

最寄りの駅には、自転車を置くスペースがあり、入り口付近はすでに埋まり始めていた。

自転車を置き、駅の改札へ行く。

そしていつものように定期で改札内に入り、準急電車に乗る。

そして3駅乗るとすぐに学校のある駅に着く。

駅からは、レンタル自転車を借りて、学校まで行く。

徒歩だと30分かかるし、バスを使うにもバスの定期代が勿体無いからだ。


いつも通りの坂道。

いつも通りの川沿い。

そんな景色を見ながら走る。

それが楽しみだったりするのだ。


学校につき、朝練をする。

朝練が終わると、着替えて教室に行く。

そして、1〜4時間を終え、休み時間になる。

ぼくは購買にいってパンと牛乳を買い、屋上へ行く。

屋上は人気のスポットで、案外混んでいる。

だけど、ぼくの友達が場所を取っておいてくれている。


「おせえぞ、 瑞樹( みずき)。」

「ごめんごめん。購買、混んでてさ…」


自己紹介がまだだった。

ぼくは瑞樹。16歳。高校一年生だ。

そして、話しかけてきたのが、友達の 啓介( けいすけ)


「そうよ。そんなんなら、私がお弁当作ってきてあげてもいいけど…」


この優しい彼女は(あかね )

ぼくが片思い中の女子高校生。


この二人がいつも学校で仲良くしている友達だった。


「大丈夫だよ。迷惑かけちゃうし。それに、購買のパンも美味しいんだよ。茜もたべる?」

「!?瑞樹の食べかけ…これは間接キス?でもそれっていいのかしら…でも、瑞樹が言い出したことだし、でもでも…」

「おい…本音もろでてるぞ…じゃあ、おれがいただくな…おぉ、確かにうまい…こりゃあ茜の弁当負けたかもな!はっはっは」

「そんなことないよ!わたしが本気だしたら、わたしなしでは生きていけないような美味しいおべんとうだってつくれますのも!いや、べつに将来を共にするなら問題ないんだけどね?そうしたら、わたしがもたないっていうか…その…」

「そんなこと言ってる間は無理だな。あ、卵焼きもらうな。」

「無理じゃないもん!ってかわたしの卵焼きたべるなああ!」


二人はすごく仲良しだ。ぼくもこのくらい仲良くなれるといいなあ。


幸せな時間というものもすぐに過ぎ去り、5時間目の予鈴が鳴る。

3人で急いで教室に戻り、5、6時間目の授業を受け終わる。

啓介と茜は地元が同じで、いつも一緒に帰る。

だけど、啓介と茜はバスで駅に行くため、学校から駅の間は、別行動だ。

ぼくは今週掃除当番だったため、二人には先に帰っててと言った。


掃除を終え、自転車に乗って駅に着く。

一人で帰る日はちょっと寂しい。

改札を通り、ホームで電車を待つ。

その日は疲れていたせいか、とっても眠かった。

後ろでは、ぼくの1個上の先輩たちがふざけあってる。うるさいと思うもあまり知らない先輩達だから、無視をしていた。

『間も無く、電車が参ります。黄色い線の…』

そんな放送を聞いて、黄色い線の一歩手前で立って待っていた。

電車が夕日を反射して光っているのが見えた。駅に近くなり、電車がブレーキをし始めた時、


ドンッ


後ろでふざけあっていた先輩たちがぶつかったのだろう。

一瞬何が起きたのかわからなかった。

ただ、気付いた時にはすでに遅かった。


以外にもぼくは冷静だった。


いろんなことがあった。

楽しいことも、辛いことも。

ただ、後悔は山ほどあった。


朝、もうちょっと早く起きて、おかあさんと話しておけばよかった。

まだ寝ていたお父さんに行ってきます。くらい言えばよかったなあ。

啓介ともっと遊べばよかった。

茜にはちゃんと告白すればよかった。


何より強く思ったのは、

「まだ、死にたくないなあ…」


視界が黒く染まった。


その数秒後のことだ。


ぴちょん…


水の落ちる音だ。

ぼくは死んだはずなのに。

もしかしてまだ死んでない?

そう思ったぼくは、目を開いた。

しかし相も変わらず、そこには黒しか映らない。

なぜだか、身体も軽い。

やっぱり死んだんじゃないか。

そう思った途端、


ぴちょん…


また水の音だ。

やっぱり生きてる可能性が高い。

試しに身体を動かそうとした。

すると、いつもより軽く、より早く動いた。

やっぱり生きてる!

足も軽く早く動く。

ぼくは定期的に鳴る水の音のする方へと歩き出した。

感想など、もらえると嬉しいです。

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