ブリッツクリーグ3
ようやくブリッツクリーグのストーリーが進んだー。
戦場さながらの様相で怒号が飛び交う東浦信用銀行金城支店の一角でSAT隊長の竜崎秀雄が無線で怒りをあらわにする。
「ですから、突入の許可はまだですか! これ以上の包囲は人質に危険が及びます!」
『竜崎君、まだ承認が降りないのだよ』
無線の相手の答えに秀雄は不満を募らせてレシーバーを地面に叩き付ける。
「はぁ、総員待機続行」
インカムのマイクに向かって待機を続けるよう命令を下す。警視庁の特殊部隊、SATにとって突入すべき時期に突入できないのは、一番厄介。そんな組織のトップに竜崎はいらだちを隠せずにいられなかった。
「あちゃー。やっぱりSATは動けないかー」
そこへ間延びした男の声が竜崎の背後からした。
「ああ、上がアホばかりだからな。福本元隊長」
声の正体は、伸也だった。
「お久しぶりです、竜崎秀雄現SAT隊長殿」
伸也は、くだけた敬礼をしながらSILFの身分証明書であるタブレット端末を見せる。
「それで、お前が来たってことは……」
「大当たり。奴らの中にM号判定のあるのが一人います。そっちの上が動けないのもその辺りにあるんじゃないか?」
伸也の推測に、竜崎はゲンナリしながらも肯定する。警視庁にとってM号事件とは、触れたくない物である。そもそもM号事件とは魔法を使う事が出来る人間はM号に認定され、その魔法を悪用した凶悪犯罪事件のことをM号事件と呼称される。これにはM号認定を受けた人々を支援する団体からの反発を避けたいという思惑が警視庁のトップの間で認識されている。
それに対して法務局は支援団体の言い分を尊重し、M号認定を受けた人々に対する悪いイメージを持たせないため表向きには一般の犯罪者として、実際には対M号犯罪者に特化した特殊部隊員による素早い鎮圧でマスコミに情報が漏れるのを防ぐ。
それがSILFの設立の目的である。
「んじゃま、こっちの方で片付けときますけど万が一の時はバックアップをお願いします」
「ああ。こっちは待機を続けている。周波数は昔と変わってないからな」
「了解」
ポンっと竜崎の肩を軽く叩いてから無線で命令を下す。
「総員配置につけ。ポイントはARで指示する」
タブレット端末の画面に指を触れる。専用のGPSアプリケーションを起動し、青色の光点と赤色の光点を指でドラッグしていく。
『了解』『了解です』『了解しました』『わかった……』
一斉に応答が返ってきた。伸也はグロックのスライドを引く。
「さて、一気に終わらせるか」
ながかったー。思いつかなかったー。
そろそろ幕引きのはず。こいつら、決めるときはすっぱりと決めるからアクション要素0に近いかも。